デジタル時代の地図読みを学ぶ 『地図アプリで始める 山の地図読み』

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評者=松本圭司(アプリ開発者・ライター)

地図アプリで始める 山の地図読み

著:佐々木 亨
発行:山と溪谷社
価格:1760円(税込)

 

 スマートフォンで登山用のGPSアプリが使えるようになったのは12年ほど前。当時はスマホを持っている人も少なく、「GPSなんて使ったら地図読みが上達しない」と言うベテラン登山者もいた。しかし徐々にGPSアプリを使う人は増え、登山雑誌の地図読み特集にもアプリの使い方や機能の紹介が載るようになった。

 ついに出たのが本書である。全ページフルカラー、多くのページにGPSアプリの画面写真が載っており読みやすい。

 GPSアプリはなにができるの? どういうふうに登山に役立てるの? から始まり、アプリ特有の概念や用語の説明にもページを割いている。

 そして最も大事な地図読み。GPSアプリを使おうと紙の地図を使おうと、等高線や地図記号を読んで地形を読み取ってナビゲーションをするのは同じなのだから、地図を読めなければどうしようもない。地形図の読み方やコンパスの使い方を基礎から学べるようになっており親切だ。

 読み終わったらまずは家の近所や行き慣れた公園などでアプリを使ってみてほしい。慣れてきたら山でも使ってみよう。山中で正確な現在地がわかれば、それだけで登山の安全性は大きく上がる。道迷い遭難を防ぎましょう。

 ところで、私は本書で紹介されているジオグラフィカというアプリの開発者なのだが、ここまで詳しく書いてあるとは知らなかった。読んで大変に驚いた次第です。

 

山と溪谷2021年8月号より転載)

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