夏空の唐松岳に登り、白馬八方温泉まるいしで手作りの料理と地酒三昧

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第31回は唐松岳の下山後に白馬八方の宿へ。

写真・文=月山もも

後立山連峰の唐松岳は、リフトなどを利用することで日帰りでも無理なく登れる人気の山です。

7月下旬のよく晴れた日の早朝から、日帰りで山頂を目指すことにしました。

 

八方池や雪渓、高山植物など見どころいっぱい

白馬八方尾根スキー場からゴンドラリフト「アダム」とリフトを2本乗り継ぎ、標高1830メートルの八方池山荘までものの30分ほどで到達。ありがたいことに雲一つない晴天です。

歩き始めて1時間少々で八方池へ。池の畔まで下りて、水面に映る白馬三山を眺めたいところですが、余裕を持って登頂したいので美しい山並みを目に焼き付けて歩を進めます。

山頂までは八方尾根を2時間半、ひたすら登りっぱなしです。きついけれど途中の雪渓歩きで涼んだり、高山植物の美しさに癒やされつつ登っていきました。

咲き始めたばかりのクロユリ。思わず立ち止まって眺めてしまいます。

八方池山荘から4時間ほどで山頂に着きました。立山連峰もくっきりと見えます。

混み合う山頂を避け、唐松岳頂上山荘まで下りて昼食休憩を取っていると、夏山らしい雲が、あっという間に湧いてきました。

下山中は太陽が雲に隠れることもあり、涼しく快適に歩けました。

リフトとゴンドラリフトを乗り継いで白馬八方に戻ります。

 

予備の枕の用意もあり。涼しい和室でごろごろ

本日のお宿は白馬八方温泉のまるいし。
スキー場のゴンドラリフト乗り場から徒歩8分、白馬八方バスターミナルからも徒歩5分の便のいい場所にあります。

宿泊するお部屋は2階の和室です。

チェックイン時には冷房で快適な温度に調節されており、暑い中を歩いてきたので涼しさに感動! 早朝からの登山で疲れていたこともあって、清潔な畳でしばらくごろごろしてしまいました。

空気清浄機や電気ポット、冷蔵庫も設置してあり、トイレ・洗面所も付いた文句のつけようのないお部屋です。

さらに、廊下に出てみると……「枕の高さが合わない人のため」の、予備の枕まで用意してありました。なんと至れり尽くせりなことでしょう。

1階の食事処の手前には応接間があり、信州産の薬膳茶「えんめい茶」やコーヒーのサービスがあります。

観光雑誌なども置いてあるので、こちらでお茶をいただきつつ、翌日の予定を決めたりするのも良さそうだなと思いました。

 

高アルカリ性の美肌の湯に夜通し浸かれる

1階には男女別の浴室があり、チェックインから翌日の午前8時まで、夜通し入浴可能です。

内湯のみですが、浴室内はどこもかしこもとても清潔です。

浴槽には白馬八方のPH11を超えるという高アルカリの源泉が静かに注がれています。
加水せずに源泉100%の状態で提供することにこだわっているそうです。ぬるぬる、ツルツルした浴感の美肌の湯を、深夜や早朝でも好きなときに楽しめます。

 

夜は酒三昧、朝は手作りパンと自家製ジャム

まるいし滞在中の最大のお楽しみは、食事です。

1階の食事処の、窓の外を眺められるテーブルに通していただきました。

お酒は「酒三昧」を注文します。10種類以上のお酒から3種類選んで、飲みくらべセットでいただけるというもの。どれもすばらしくおいしく、にごり酒や梅酒があったりとラインナップも豊富。選んだお酒の銘柄が書かれた紙を10枚集めると、1回無料で酒三昧を楽しめるというおまけ付きです。

三段のお重の1番上には、色とりどりの前菜が10種類以上詰まっていました。

スナップエンドウ、小松菜、青梅、丘ひじきなど、白馬山の野菜がふんだんに使われており、他の食材も信州の地物食材です。

お重の2段目は「白馬の豚とトマトのミルフィーユ風 信州レタスを添えて」

3段目は蒸し物で「新じゃがのお饅頭 山桜の葉を添えて」と、見た目にも美しく、野菜たっぷりで優しいお味の手作りの料理です。

お刺身は、朝締めの「シナノユキマス」。白身のお魚ですが適度に脂がのっており、新鮮です。

鍋料理は「信州プレミアム牛の青朴葉焼き」。たっぷりのきのこと一緒に、甘めの味噌だれでいただきます。

最後にご飯とお味噌汁と漬物。漬物も自家製、お米も宿のご主人が作った自家米とのこと。

デザートも、見た目にも美しく味も良く、大満足の夕食でした。

 

翌日の朝食も、同じ食事処でバイキングです。

野菜のおかずがとにかく多いのですが、すべて手作りにこだわっているそうです。
おかずだけでなくパンとジャムまで!

しっとりモチモチの手作りパンに「信州りんご」「ルバーブ」「プルーン」「あんず」の4種の自家製ジャムを塗っていただきました。

食べずに早朝出発したら一生後悔しそうなすばらしい朝食なので、前泊よりも下山後の一泊で泊まりたい宿です。

 

*紹介した食事、サービス、登山道の情報は2022年7月取材時の内容です。
 

白馬八方温泉 まるいし

料金:1泊2食付き/1室1名利用11,000円~、2名10,500円~ ※プラン、時期によって変動
住所:長野県北安曇郡白馬村八方
電話:0261-72-2116
HP:http://www.happo.jp/

唐松岳データ

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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