妖怪? 仏様? 動けばついてくる謎の光の輪「ブロッケン現象」

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「きれいな夕焼け」「虹」「彩雲」「流星」など身近で見つけたい空から、「笠雲」「環天頂アーク」「グリーンフラッシュ」「オーロラ」など一度は見てみたい素敵な空まで。84の空の現象の仕組みや、見つけかたを空のプロが解説した本『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』(著者:武田康男)より、おすすめの空をご紹介。

第3回目はブロッケン現象の見つけかたです。

 

霧にできた自分の影に3重の光の輪 9月14時群馬県 (写真=武田康男)

太陽を背にした時、自分の正面にある霧や雲に映った自分の影のまわりに、虹のように色づいた光の輪が見られる現象をブロッケン現象といいます。光の輪は自分の影の頭のあたりにできるので、それが仏様に見え、かつては御来迎を拝むことが登山の目的にもなっていました。

ブロッケン現象は、太陽のまわりにできる光環や彩雲と同じで、光の回折・干渉現象によってできます。色ごとの波長に応じて角度が違うために色分かれ、色が繰り返して2重や3重になることもあります。

太陽と反対側にできるため、太陽高度の低い朝や夕方に見ることが多いですが、下の方に霧や雲を見下ろせば、昼前後でも見られます。

人が何人いても、ブロッケン現象は自分の影のまわりに1つしか見られません。飛行機の場合は、飛行機の影のまわりにできます。

飛行機から雲に見えたブロッケン現象 3月13時 (写真=武田康男)

日本では川にできるブロッケン現象もあります。夏の朝の福島県只見川が有名ですが、秋など川の朝霧が多い時期にあちこちで見られます。

 

※本記事は『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』(山と溪谷社)を一部掲載したものです。

 

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84の現象との出会いかたがわかる、美しく楽しい空の旅


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著:武田 康男
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【著者略歴】

武田 康男(たけだ・やすお)

1960年東京都生まれ。 東北大学理学部卒業後、千葉県の高校教諭(理科)、第50次南極地域観測越冬隊員ののち、大学の客員教授や非常勤講師として地学を教えている。 気象予報士、空の写真家でもあり、「空の探検家」として撮影、執筆、講演、出演などを行っている。 主な著書に『楽しい気象観察図鑑』『世界一空が美しい大陸 南極の図鑑』(以上、草思社)、『雲の名前、空のふしぎ』(PHP研究所)、『空の探検記』(岩崎書店)、『虹の図鑑』『楽しい雪の結晶観察図鑑』(以上、緑書房)などがある。

 

note「ヤマケイの本」

山と溪谷社の一般書編集者が、新刊・既刊の紹介と共に、著者インタビューや本に入りきらなかったコンテンツ、スピンオフ企画など、本にまつわる楽しいあれこれをお届けします。

空の見つけかた事典

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