現れたら強い雨や風の前兆? つるし雲が見られやすい条件とは

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「きれいな夕焼け」「虹」「彩雲」「流星」など身近で見つけたい空から、「笠雲」「環天頂アーク」「グリーンフラッシュ」「オーロラ」など一度は見てみたい素敵な空まで。84の空の現象の仕組みや、見つけかたを空のプロが解説した本『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』(著者:武田康男)より、おすすめの空をご紹介。

第5回目はつるし雲の見つけかたです。

 

富士山の横に浮かんだ、翼の形のつるし雲 3月7時 山梨県(写真=武田康男)

 

山からちょっと離れた場所に、流れずにぽっかり浮かんだ雲を、つるし雲(吊し雲)といいます。翼の形、円形、渦動形などのいろいろな形があって、見るたびに楽しませてくれます。山を越えた風と、山腹を回ってきた風がぶつかったところにでき、風が強くても雲は動きません。

笠雲のときよりも湿った風が入ったときにできやすく、笠雲と一緒に見られることもあります。低気圧や台風の接近時に大きくなると、強い雨や風の前兆となります。

笠雲と同様、出やすい時刻はありません。夜間に月明かりで見られることもあります。朝日や夕日に染まる姿が美しく、太陽の近くで彩雲になることもあります。

 

朝日に染まった、奇妙な形のつるし雲 8月5時 山梨県(写真=武田康男)

 

山頂付近からつるし雲を見ると、横に浮かんで見えます。目の前で変化していき、下から見たときとは違う印象です。

巨大なつるし雲は、梅雨明けの頃によく見ます。また、台風の通過直後にも大きなつるし雲が現れ、嵐が収まるタイミングで富士山の近くへ行くと、つるし雲マニアが結構います。

※本記事は『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』(山と溪谷社)を一部掲載したものです。

 

『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』

84の現象との出会いかたがわかる、美しく楽しい空の旅


『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』
著:武田 康男
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【著者略歴】

武田 康男(たけだ・やすお)

1960年東京都生まれ。 東北大学理学部卒業後、千葉県の高校教諭(理科)、第50次南極地域観測越冬隊員ののち、大学の客員教授や非常勤講師として地学を教えている。 気象予報士、空の写真家でもあり、「空の探検家」として撮影、執筆、講演、出演などを行っている。 主な著書に『楽しい気象観察図鑑』『世界一空が美しい大陸 南極の図鑑』(以上、草思社)、『雲の名前、空のふしぎ』(PHP研究所)、『空の探検記』(岩崎書店)、『虹の図鑑』『楽しい雪の結晶観察図鑑』(以上、緑書房)などがある。

 

note「ヤマケイの本」

山と溪谷社の一般書編集者が、新刊・既刊の紹介と共に、著者インタビューや本に入りきらなかったコンテンツ、スピンオフ企画など、本にまつわる楽しいあれこれをお届けします。

空の見つけかた事典

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