山で出会ったら要注意! 空にできる渦の雲の正体

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「きれいな夕焼け」「虹」「彩雲」「流星」など身近で見つけたい空から、「笠雲」「環天頂アーク」「グリーンフラッシュ」「オーロラ」など一度は見てみたい素敵な空まで。84の空の現象の仕組みや、見つけかたを空のプロが解説した本『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』(著者:武田康男)より、おすすめの空をご紹介。

第4回目は渦の雲の見つけかたです。

 

山から湧いた、空を流れる渦の雲 3月14時 栃木県 (写真=武田康男)

 

地上に降りてこないで、空の上にできる渦の雲があります。

上の写真は、登山家が恐れる、ヘアピン渦という雲のようです。3月ですが、強い冬の季節風が山に当たり、ぐるぐる巻いた不思議な雲が山の稜線から湧き、この形のままゆっくり空を移動していきました。もし、稜線でこの雲に触れたら、吹き飛ばされそうです。

下の写真は、富士山の風下側で見られた、祭で見る竜の舞いのような雲で、くねくねしていました。漏斗雲や竜巻のように下がる雲ではなく、横からの風がぶつかることで巻いた感じの雲です。

 

富士山にぶつかった風が巻いた、竜のような雲 11月10時 山梨県 (写真=武田康男)

 

日本海側に発達した低気圧があるときや、台風が接近したときに、湿った風が富士山にぶつかってできることがあります。色が黒いのは、上にも雲があって太陽の光が当たらないからです。富士山はこうした雲ができやすいです。

雲があれば渦の存在がわかりますが、もし雲ができていなければ渦が見えません。山の近くではさまざまな風に注意したいものです。

※本記事は『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』(山と溪谷社)を一部掲載したものです。

 

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84の現象との出会いかたがわかる、美しく楽しい空の旅


『一生に一度は見てみたい 空の見つけかた事典』
著:武田 康男
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【著者略歴】

武田 康男(たけだ・やすお)

1960年東京都生まれ。 東北大学理学部卒業後、千葉県の高校教諭(理科)、第50次南極地域観測越冬隊員ののち、大学の客員教授や非常勤講師として地学を教えている。 気象予報士、空の写真家でもあり、「空の探検家」として撮影、執筆、講演、出演などを行っている。 主な著書に『楽しい気象観察図鑑』『世界一空が美しい大陸 南極の図鑑』(以上、草思社)、『雲の名前、空のふしぎ』(PHP研究所)、『空の探検記』(岩崎書店)、『虹の図鑑』『楽しい雪の結晶観察図鑑』(以上、緑書房)などがある。

 

note「ヤマケイの本」

山と溪谷社の一般書編集者が、新刊・既刊の紹介と共に、著者インタビューや本に入りきらなかったコンテンツ、スピンオフ企画など、本にまつわる楽しいあれこれをお届けします。

空の見つけかた事典

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