このエントリーをはてなブックマークに追加

雪山の怖さと魅力って? 山岳ガイドに教わる“雪山登山 入門のススメ”(1)

山の疑問・難問、登山ガイドが答えます!
基礎知識 2017年11月27日

雪山登山に興味はあるけど・・・。正直、怖さがあって一歩が踏み出せません。雪山をやっている方、雪山の怖さ、魅力って何だと思いますか?

冬山の怖さと魅力って?

質問:
冬でも登山をしたいと思っていたところ、雪山に先輩から誘われましたが、トライしようかどうか迷っています。先輩には「冬山こそ山の魅力」と言われましたが、すごく特殊で怖いところというイメージがあります。冬山の怖さと魅力って、どんなところでしょうか?

 

夏に、厳しく難しい山として知られている北アルプス・劔岳に登ることを想像してください。アルペンルート・室堂から歩きだし、ろくに地図を見なくても、親切な指導標や、岩場でのペンキ矢印に導かれ、健康で一定の運動能力があれば、大きなトラブルなく、劔岳の山頂に立つことができるでしょう。

もちろん、初めて体験する岩場やクサリ場に「怖いなぁ」と思う箇所もあります。ただ、注意不足や準備不足がなければ悩むことなく登頂できることが多いはずです。

 

雪山では、どうでしょうか? いったん雪が降ってしまえば、慣れ親しんだ山であっても、指導標やペンキマークは雪で埋まっているかもしれません。何より登山道そのものが雪の下、自分で雪崩や滑落にあわない合理的なルートを見つけて、雪を踏み固め「道」を作らなくてはならないこともあります。

また、「何かあったら山小屋に逃げ込めばいいや」「わらないことがあったら、他の登山者に聞こう」と思っても、山小屋の多くは春までお休み、これまた雪の下。雪の季節の山行は、すれ違う登山者の数もグンと減ります。

 

 

〝全部自分で考えて行動する事〟は怖さでもあり、魅力でもある

私の考える雪山の怖さや難しさは、何よりも〝全部自分で考えて行動する事〟であると思います。深い雪が出てくればラッセルしてトレースを作りあげ、凍結した斜面が出てくればアイゼンなどで対応し山頂を目指します。宿泊を伴う大きな山であれば、衣食住の全てをザックで背負います。

でも、その全ては裏返しの魅力でもあります。雪の山はアッと驚くほど美しい。雪が全ての汚れを覆い隠し、銀屏風の連峰を見せてくれます。樹林帯は樹氷の森に変身し、雑木林をキラキラと光らせます。雪の降った次の日に訪れれば、誰の踏み跡にも汚されていない斜面にアナタと仲間の足跡を刻み山頂に立つ! おそらく太古の昔に、登山をしていた人と同じ感動が味わえます。

この魅力は、南北アルプス等の本格的な雪山だけでなく、例えば東京近郊の雲取山のような、身近な山でも、状況によっては十分に体験できますよ。

 

また雪山登山は、どんなに自分のレベル、体力、技術を磨いていても、冒険的要素は皆無にはなりません。丁寧に危険な要素と向き合うことが必要になります。しかし、そこも魅力なのです。雪山の怖さと魅力は、表裏一体。

〝怖い〟という気持ちは困難や危険を伴う場所に向かうのですから、当然あるべきです。雪山を知り、準備と計画を十分に行い、良い仲間を作って、ぜひ、怖さも美しさも詰まった雪山を目指してください。

雪山・冬山
教えてくれた人

山田 哲哉

1954 年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。著書に、登山技術全書「縦走登山」(山と溪谷社)ほか、「奥秩父、山、谷、峠そして人」(東京新聞出版局)など多数。
 ⇒山岳ガイド「風の谷」

同じテーマの記事
緊急提言! この酷暑の山から身を守るために、知っとくべきこと、ふだんの生活からできること
最近の夏の暑さは厳しい。標高の高い山に行けば少しは涼めると思いきや、やっぱり暑いのは変わらない。この暑さの中で山を登り切るために、知っておくべき知識と、生活習慣について緊急提言!
信頼できる「山仲間」を作るには? 山岳会への入会は?
本格的な登山をするには、どうしても信頼できる「山仲間」が必要になってきます。では、信頼できる「山仲間」は、どう作ったら良いでしょうか。現在の山岳会の状況をふまえて、山岳ガイドの山田哲也さんにアドバイスをもらいました。
ヤマヤの超難題!? 家族に笑顔で見送られて、山に行く方法は? 
山に夢中になってしまい、休みとなれば山行に向かってしまう皆さん。そんな姿を家族から冷ややかな目で見られているという方は、多いのではないでしょうか? 悪いことをしているわけではないのに、なぜか肩身が狭い登山が大好きな皆さんに向けて、家族に笑顔で見送られて山に行く方法を山岳ガイドの山田さんに聞いてみました。
山小屋に泊まりたい! 泊まる前に知っておくべきこと・やるべきこと。山岳ガイドに教わる“登山 はじめの一歩”(4)
山小屋には5人くらい入れば一杯になってしまう避難小屋から、1000人が宿泊できるホテルのような山荘まで。山小屋と言っても、規模、設備、ルール―などはさまざま。これから山小屋泊まりの登山をされる方へ向けて、ズバリ山小屋って、どんな所かを解説。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇のち雨
明後日

曇時々雨
(日本気象協会提供:2018年9月23日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 小林千穂さん、オーダーメイドのインソールを試す!
小林千穂さん、オーダーメイドのインソールを試す! 山岳ライターの小林千穂さんが、オーダーメイドでインソールを成形し、穂高岳の山行で試しました。果たしてその使用感は?
NEW 秋山PICK UP ITEM! ファイントラック 
秋山PICK UP ITEM! ファイントラック  寒暖差が激しい秋、低体温症のリスクを軽減するfinetrackのスキンメッシュ。『秋山JOY』連動企画でその秘密を紹介
NEW 平成最後の紅葉シーズン幕開けです!
平成最後の紅葉シーズン幕開けです! 山は紅葉シーズン目前! ことしはどんな紅葉の山に行く? 全国の紅葉登山の名所と、紅葉の見頃時期を、ヤマケイオンラインでチ...
NEW 優秀賞ほか、受賞作品全42点の写真が決定!
優秀賞ほか、受賞作品全42点の写真が決定! 沢山の方に参加いただいた「飛騨から登る北アルプス 写真コンテスト」。525点の写真の中から入賞作品を発表!
NEW 田中陽希さんに訊く、コンディショニング
田中陽希さんに訊く、コンディショニング 「日本3百名山ひと筆書き」に挑戦中の田中陽希さん。身体のケア、リカバリーはどうしてるの? そのノウハウを訊きました
NEW 分厚いミッドソールのトレッキングシューズ
分厚いミッドソールのトレッキングシューズ 高橋庄太郎さんの連載「山MONO語り」は「ホカ オネオネ」のミッドカットモデルをインプレ。ミッドソールの推進力に注目!
NEW 山形県寒河江市で実現するライフスタイル
山形県寒河江市で実現するライフスタイル シリーズ「山の麓に住む」は、山形県寒河江市を紹介。適度に田舎で暮らしやすい、その魅力に迫る。移住説明会も開催!
NEW 再掲載! 大町市に移住した2つの家族の物語
再掲載! 大町市に移住した2つの家族の物語 登山者なら憧れる、山の麓に住む暮らし。長野県大町市へ移住した2つの物語を再掲載。移住説明会、現地体験会も開催!
NEW 女性専用ヘルメットのフィールドレポート
女性専用ヘルメットのフィールドレポート 女性のために設計され、カラーも豊富なravinaのヘルメットを、ライター山畑理絵さんが妙義山の岩場で使ってみました
NEW 「カントリーマアム」は行動食の優等生
「カントリーマアム」は行動食の優等生 しっとりさっくりで食べやすい、行動食の定番「カントリーマアム」。登山の行動食に適した理由を探りました
NEW 隠れた山岳県・福島。ふくしまの山旅をご紹介!
隠れた山岳県・福島。ふくしまの山旅をご紹介! 飯豊山、安達太良山、会津駒など、百名山7座を抱える山岳県、福島の山の魅力を紹介します。写真コンテストも開催中!
はじめての日本百名山なら大菩薩嶺はいかが?
はじめての日本百名山なら大菩薩嶺はいかが? 初心者の日帰り登山から上級者のテント泊縦走まで、さまざまな山歩きをアレンジできる大菩薩嶺。帰りの温泉も楽しいぞ!