このエントリーをはてなブックマークに追加

山岳ガイドに教わる“雪山登山 入門のススメ”(2)絶対必要な冬山装備って?

基礎知識 2017年12月07日

雪山登山をはじめたいが、「はじめる=出費」はつきもの。そこで、できるだけコストを抑えて、雪山登山はじめる方法を考えてみよう。

絶対必要な冬山装備って?

質問:
「冬山装備」を見ると、冬靴、冬ウェア、アイゼン、ピッケル、ビーコンなど、必要な装備が多すぎて、とても財布がついていきません。雪のない山では「最低限、靴・ザック・雨具」と言われて少しずつ揃えていきました。冬山装備も、できれば少しずつ買い足していきたいです。
冬の雲取山に行くレベルだと、絶対必要な装備、夏山の装備のままで良いものなど、分類できますか?

 

たしかに、雪山装備を一通り揃えるとなると、冬のボーナスは全て消えてなくなると思って間違いないです。それでも所得に対する登山用具の値段は、50年前に比べると格段に安くなっています。

古い山岳雑誌を捜してみたら1968年1月号に「シャルレ モンブラン(今は無き、フランス製のピッケル名)特価10,900円」という広告を発見。1968年の大卒者の初任給が20,000円に届かなかった時代にピッケル一本が、特価でこの値段だったことを考えると、雪山装備を揃えることの厳しさを思い出します。

老舗の社会人山岳会でも冬山全装備を一人一人が購入することをできず、アイゼンやワカンなどは山岳会内で使い回し。サイズは調整可能でも形状までは変えられず、ビニールの絶縁テープをベルトがけに巻いてピッタリサイズに調整していたのを思い出します。

 

1977年「山と溪谷 12月号」では、シャルレのピッケルは特価で13,650円~

 

低山の樹林帯であれば、普段で使ってるトレッキングシューズで大丈夫なことも

質問にあった「冬の雲取山辺りの樹林帯の雪山(2000m以下で樹林帯の山で、積雪の少ない山域)」に行くのであれば、靴のサイズが小さめでなく(靴のサイズに余裕がないと、冬は血行が妨げられて冷える)、防水透湿素材の靴であれば夏に使ったトレッキングシューズでも大丈夫です。それに、スパッツ(夏用レインスパッツでも可)と、軽アイゼン、ワカンが特別な装備となります。

小物類としては、手袋とウールかフリース素材の帽子。アウターはカッパの上下でも大丈夫です。夏はストックを使わない人も雪山では必要となります。

 

 

本格的な雪山登山をするのであれば、自前の“雪山登山靴”が必須です

問題は、それ以上の標高で森林限界を越えた本格的な雪山の装備です。絶対に、これだけは自前の物が必要となるのは“雪山登山靴”。「本格的な雪山登山靴は、何を購入するか?」を語りだすと、それだけで、もう一ページ必要なので、今回は核心部だけを言うと__。

時にはマイナス30度近くまで下がるかもしれない気温の中で、登山者の足を守り、できるだけ軽快に行動できる靴は最低でも6万円はします。とりわけここ数年の「円安」と「デフレ経済」では、給料は上らないのに、輸入登山靴の価格はうなぎ登り。そりゃそうだよね。つい最近まで1ドル80円以下だったのに今では115円。同じ1ドルを持っていても3割も価値が減ったんだから。

でも、雪山登山靴だけは自分の物が絶対に必要です。靴は履けば履くほど、その人の足に馴染んでいくので、あまり貸し借りは勧めません。ハードな雪山となれば、“ラッセル泥棒(トレースの無い雪山で、絶対に先頭に立たず、人のラッセルをあてにする人)”に徹しない限り、ワカンは必須です。それに、靴に合わせたアイゼンも靴と一緒に購入したい。

ピッケルも、これから目指す雪山登山に適当な物がほしい。手袋は、インナー手袋、中厚、厚手のウール製の物を、替えも含めて必要。それとオーバー手袋の使用も、僕はお勧めします。帽子もキャップの他に、目出帽が必要。

いやぁ、ここまで書いていて「オレ、フリーターだから絶対に無理」とガックリくる読者の顔が浮び辛いです。

でも、ズバリ・・・絶対に・・何としても、本当に必要なのは“雪山登山靴”。他は、登山をやめた友達や、山の先輩、親切なガイドに借りる・・・という手もあります。そして、ひとつずつ買い揃えていってはどうでしょうか?

うーん。やっぱり雪山装備はお金がかかります。

雪山・冬山
教えてくれた人

山田 哲哉

1954 年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。著書に、登山技術全書「縦走登山」(山と溪谷社)ほか、「奥秩父、山、谷、峠そして人」(東京新聞出版局)など多数。
 ⇒山岳ガイド「風の谷」

同じテーマの記事
山岳ガイドに教わる“雪山登山 入門のススメ”(1)雪山の怖さと魅力って?
雪山登山に興味はあるけど・・・。正直、怖さがあって一歩が踏み出せません。雪山をやっている方、雪山の怖さ、魅力って何だと思いますか?
登山中の歩く速さ、どのくらいが適切? 歩行ペースの見極め方
登山中の歩くペースについて、「一定のペースで、ふだんよりゆっくり」と言われるが、この感覚的な表現を実践するのはなかなか難しいもの。とくにパーティ登山では他のメンバーのことも考えて歩かなければならないわけだが・・・。
不安な登山者・パーティーと山ですれ違ったとき。声をかけるべき?お節介は不要?
間もなく夕暮なのに登り始めようとする人、明らかに山に不相応な服装・装備な人・・・。そんな不安な登山者とすれ違ったとき、声をかけるべき? それともお節介は不要? 皆さんならどうします?
登山パーティの並び順、リーダーは先頭か最後尾か、 決まりはある?
パーティで登山すれば、細い山道では当然1列になって歩くことになる。このときの歩く順番は、一般的にはどう決めるのだろう。先頭と最後尾、どちらがリーダーが担うべきなのだろうか?
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

明後日

晴時々曇
(日本気象協会提供:2017年12月12日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 生涯保証をうたう「ダーン タフ」など掲載中!
生涯保証をうたう「ダーン タフ」など掲載中! 抜群のタフさとクッショ性が特長のソックスブランド「ダーン タフ」など登山用ソックスを大特集!
NEW 3種の生地を使い分けた最強の行動保温着
3種の生地を使い分けた最強の行動保温着 保温性と通気性に、快適性までプラスした最強の行動保温「エイサームフーデッドジャケット」をワンゲル編集部がチェック!
NEW 雪が早い今年こそ! スノーシューで楽しもう
雪が早い今年こそ! スノーシューで楽しもう 用具レンタル、現地ツアーなどもあり、誰でも楽しめるスノーシュー。みなさんもトライしませんか?
NEW みなかみ町でスノーシューを満喫!
みなかみ町でスノーシューを満喫! 東京から1時間半、雪の多い谷川岳・水上エリアでは無数のフィールドでスノーシューが楽しめる。1月のイベントも注目!
NEW メリノウール製ミッドレイヤーをテスト
メリノウール製ミッドレイヤーをテスト 山岳ライター高橋庄太郎さんの連載「山MONO語り」は、アイスブレーカーのミッドレイヤーを晩秋の奥秩父でテスト
NEW 遭難体験・ヒヤリハット体験のアンケート
遭難体験・ヒヤリハット体験のアンケート 日本大学工学部の嶌田研究室と共同でアンケートを行っています。安全登山の研究のために、ぜひご協力ください!
渋滞の心配なし! 駅から歩いてらくらく登山。
渋滞の心配なし! 駅から歩いてらくらく登山。 日没時間が早まる時期は、アクセス時間を減らして行動時間を長くするような登山にしたい。「電車で行ける・帰れる山」で時間を短...
いよいよ紅葉真っ盛りの高尾山
いよいよ紅葉真っ盛りの高尾山 都民の憩いの場として、登山者のみならず、多くの人を魅了する高尾山。その魅力がぎっしり詰まった「高尾山ナビ」に注目
日本昔ばなしで見た、あの山はここだ!
日本昔ばなしで見た、あの山はここだ! 山にはさまざまな伝説が残っている。山の名前の由来や、山にまつわる物語を紐解いてみると・・・。伝説・悲話・昔話の舞台となっ...
山形から行く飯豊山の山旅 レポート掲載
山形から行く飯豊山の山旅 レポート掲載 7月、4名のモニター参加者と飯豊山へ。急登から長く続く稜線、圧倒的なお花畑…、その魅力を充分に味わった山旅ルポ。
紅葉は山を下り、街でも色づく季節
紅葉は山を下り、街でも色づく季節 紅葉シーズンも最終盤。どんな秋の山を楽しみましたか? みなさんの秋の報告をご覧ください。
奥多摩の山々は秋から冬へ――
奥多摩の山々は秋から冬へ―― 首都圏からの登山者を満足させる地・奥多摩は、いよいよ紅葉は終盤。稜線上では霧氷が付く時期となってきた