年末年始に日本一のパワースポットを拝もう! 富士山展望の山5選

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

もういくつ寝るとお正月。新年に向けて、日本一の山・富士山を拝んでパワーをもらおう。富士山の展望が美しい山5選を紹介しよう。

目次

日本一の富士山を、とっておきの展望地から眺めよう

冠雪した富士山は見る人を魅了する
冠雪した富士山は見る人を魅了する

推薦人:西野淑子

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行うフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の会う仲間と山を歩き、下山後に美味しいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

標高日本一の山、富士山。美しい山容は、関東周辺の山のあちこちから眺めることができる。富士山を眺めるなら、やはり頭に雪をかぶっている姿が好ましく、さらに空気が澄んで眺望がよい晩秋から冬にかけてが「富士山展望登山」のシーズンだ。この時期は、雪をかぶった南アルプスの山々を富士山の脇に見ることもできるのも楽しみ。

今回は①天気がよいと思ったらすぐ足を運べる=日帰りで歩ける山、②富士山が大きく分かりやすく眺められる山 という基準で、私の好きな山を選んだ。朝は晴れて空気が澄んでいても、気温が上昇するなどして雲が出てしまうと、富士山が全く見えなくなることも多い。登りにいくときは極力早め出発を心がけ、遅くとも午前中のうちに展望ポイントに到達したい。

連なる山々の向こうに富士山の姿を望む 大岳山(おおだけさん)

東京都/1266m
御岳登山鉄道御岳山駅〜御岳山〜奥ノ院〜鍋割山〜大岳山〜ロックガーデン〜御岳山駅 日帰り/6時間40分

大岳山山頂から富士山を望む
大岳山山頂から富士山を望む

三頭(みとう)山、御前(ごぜん)山と並ぶ「奥多摩三山」のひとつで、山頂直下に大岳神社を擁する。独特の山容は周辺の山々からわかりやすく眺められる。

御岳(みたけ)山から縦走するルートは、歩きやすく変化に富んだ好ルート。ケーブルカーでアクセスし、武蔵御嶽(むさしみたけ)神社の建つ御岳山の山頂までは歩きやすい舗装道路だ。御岳山からは奥の院、鍋割(なべわり)山を経由して大岳山へ。大岳神社手前から山頂にかけてはところどころで岩場の通過があるので慎重に進もう。立派な石の山名柱が立つ大岳山の山頂は、南側の眺望が開け、奥多摩の山々の向こうに富士山が見渡せる。山頂で景色を楽しんだら来た道を戻り、芥場(あくば)峠からロックガーデンを経由して御岳山ケーブルの御岳山駅をめざそう。

大岳神社手前から山頂にかけては岩場がある
大岳神社手前から山頂にかけては岩場がある

MAP&DATA


おすすめの展望スポット

このルートで富士山が眺められるのは、大岳山の山頂。手前に浅間尾根や笹尾根、奥に道志や御坂の山々が連なる先に、秀麗な姿の富士山を望むことができる。御岳山ケーブルカー御岳山駅を下りたところ、御岳平は東側の眺望が開けており、関東平野が一望のもと。天気に恵まれればスカイツリーや都心のビル群も見渡せるだろう。

山麓情報

御岳山ケーブルカーは山麓の滝本駅、山頂の御岳山駅ともに売店があり、御岳山や奥多摩のお土産を買うことができる。滝本駅で販売している「きびもち大福」は、お土産にも行動食にも適した名物。時間が許せば沢井駅で途中下車して奥多摩の銘酒「澤乃井」の小澤酒造に立ち寄り、酒蔵見学や食事を楽しんでいくのもよい。

急な尾根道を登り詰めた先に富士山、相模湾の展望 塔ノ岳(とうのだけ)

神奈川県/1491m
大倉バス停〜雑事場ノ平〜小草平〜金冷シ〜塔ノ岳〜大倉バス停 日帰り/6時間55分

塔ノ岳山頂から
塔ノ岳山頂から

丹沢(たんざわ)山塊でも人気の高い、東丹沢の中心とも言える山。四方に登山道が延びているなかで、比較的短時間で山頂に立てるのは大倉バス停からの大倉尾根ルートだが、それでも標高差は約1200m、ひたすら登り続ける体力勝負のルートだ。

前半はうっそうとした針葉樹の林の中を登っていく。所々に茶店があり、よい休憩ポイントになるだろう。堀山(ほりやま)の家を過ぎ、花立(はなたて)山荘が近づいてくると徐々に眺望が開けてくる。振り返れば相模湾、そして大山や表尾根が間近に眺められる。丸太の階段や、やや足場の悪いガレ場を交えた登りを詰め、塔ノ岳の山頂へ。広々とした山頂は南から西側の展望がすばらしい。尊仏(そんぶつ)山荘が立っており、夕日や朝日も楽しめる泊まりでの山行もおすすめだ。下山は来た道を戻る。

山頂からは相模湾を眺められる
山頂からは相模湾を眺められる

MAP&DATA


おすすめの展望スポット

樹林帯を抜け、花立山荘付近からは歩いていても眺めがよいのだが、落ち着いて眺望を楽しめるのは塔ノ岳の山頂だろう。手前に丹沢の山々が連なる先に、富士山が秀麗な姿を見せている。冬、空気が澄んだ時期なら、富士山の右手に雪をかぶった南アルプスの山々も眺められるだろう。大山や表尾根、相模湾も見渡せる。

山麓情報

大倉バス停前のそば処「手打そばさか間」は、素材を厳選し、丹沢の水で打つ手打ちそばが味わえる人気店。バス停前のYAMA CAFEは、バスを待つ時間に喫茶や軽食でくつろぐのにおすすめだ。渋沢駅周辺にも食堂、居酒屋が点在している。温泉に立ち寄るなら、鶴巻(つるまき)温泉駅から徒歩4分の「弘法の里湯」などがある。

道中のあちこちで富士山の絶景を満喫 金時山(きんときやま)

神奈川県/1212m
乙女峠バス停〜乙女峠〜金時山〜公時神社分岐〜金時神社入口バス停 日帰り/2時間45分

金時山山頂から
金時山山頂から

箱根外輪山の最高峰で、遠くから見ると丸く突き出た山頂が目を引く。坂田金時(金太郎)が幼少の頃にこの山で暮らしていたという伝説が山名の由来だ。

山頂への登山道が複数ある中で、富士山と箱根の山々の景観を満喫できるのが乙女峠バス停からのルート。針葉樹の樹林を進み、乙女峠で外輪山の一角に出たら、外輪山を時計回りに進んで金時山の山頂をめざす。長尾山から先は、ところどころで木の根が露出した急斜面や岩場が現れるので慎重に進もう。山頂が近づくと、外輪山に囲まれた中央火口丘の山々や芦ノ湖が箱庭のように見渡せる。2軒の茶店が建つ金時山の山頂からは、遠くに相模湾も眺められる。下山は外輪山を明神(みょうじん)ヶ岳方面に進み、分岐から公時神社方面へ下っていく。金時宿り石を過ぎ、林道を横切るとゴールの公時神社は近い。

箱根の大涌谷や芦ノ湖を眺める
箱根の大涌谷や芦ノ湖を眺める

MAP&DATA


おすすめの展望スポット

金時山の山頂は、山麓に向かって裾を美しく広げた富士山の姿が眺められる文句なしの絶景スポット。「天下の秀峰 金時山」の看板とともに富士山の写真を撮るのが定番だ。木造の展望台が建つ乙女峠からの富士山もすばらしい。また、スタート地点の乙女峠バス停前からの富士山の姿も美しい。とりあえずバスを下りたら写真を1枚、が鉄則だろう。

山麓情報

箱根は関東地方有数の温泉郷。下山地周辺や、箱根の入口となる箱根湯本など、17の温泉地がひしめき合う。日帰り入浴施設や、立ち寄り湯ができる温泉宿などで体を温めて帰りたい。山麓の温泉宿に1泊し、観光を組み合わせても楽しい。芦ノ湖の遊覧船や大涌谷(おおわくだに)、美術館めぐりなど、観光の楽しみが多いのも箱根の魅力だ。

富士山にどんどん近づいていく稜線散歩 石割山(いしわりやま)

山梨県/1412m
平野バス停〜石割神社〜石割山〜大平山〜大出山入口〜富士山・山中湖バス停 日帰り/4時間 

石割山山頂から
石割山山頂から

富士五湖のひとつ、山中(やまなか)湖の北側に位置する山で、山頂直下に石割神社を祀る。富士山に近い位置にあるだけに、ひときわ雄大な富士山の姿を満喫できる山だ。

平野バス停からスタートし、まずは石割山の山頂をめざす。長い石段を上ってから登山道へ。広葉樹の森、木々の間から富士山がちらちらと眺められる。石割神社はふたつに割れた大きな岩が御神体。岩のすき間を時計回りに3回通ると運が開けるという。神社から急斜面を登り切ると石割山の山頂だ。目の前に富士山が大きくそびえている。石割山からは、平尾山(ひらおやま)、大平山(おおひらやま)へと、山中湖の北側に連なる稜線を歩く。富士山に向かってアップダウンを繰り返しながら進んでいく。花の都公園分岐は直進、その後山中湖方面に下り、ゴールの富士山・山中湖バス停に向かう。

平尾山からも富士山の眺めがよい
平尾山からも富士山の眺めがよい

MAP&DATA


おすすめの展望スポット

石割山の山頂から見える富士山は雄大で見応え充分。山麓には青木ヶ原樹海が広がり、左手には真っ青な水をたたえた山中湖も美しい。天気に恵まれれば奥秩父の山々や南アルプスも眺められて気持ちがよい。石割山から先の縦走路も「展望スポット」と言いたいところ。進むにつれて富士山の姿がどんどん大きくなっていく。

山麓情報

下山後の立ち寄り湯のおすすめは、山中湖温泉紅富士の湯。富士山・山中湖バス停から徒歩約10分とアクセスが便利で、露天風呂から眺める富士山が見事だ。山中湖 花の都公園は季節ごとの花風景と富士山の絶景が楽しめる公園。12月1日から1月9日までの期間は園内のライトアップイベントを開催しており、幻想的な風景が冬の夜を彩る。

ダイヤモンド富士でも人気、富士山の展望台 竜ヶ岳(りゅうがたけ)

山梨県/1485m
本栖湖バス停〜竜ヶ岳登山口〜あずまや〜竜ヶ岳〜本栖湖畔登山口〜本栖湖バス停 日帰り/4時間

山頂から眺めるダイヤモンド富士
山頂から眺めるダイヤモンド富士

富士五湖の最西端、本栖(もとす)湖の南岸にそびえる山。ダイヤモンド富士の山として人気が高く、年末年始ごろに富士山の山頂から昇る朝日が眺められるので「初日の出でダイヤモンド富士」を楽しむ登山者も多い。

本栖湖バス停から、キャンプ場を横切って登山口へ。丸太の階段を交えた登りから稜線に出ると、富士山や御坂(みさか)の山々が眺められるようになる。あずまやを過ぎ、深い笹の草原を進んでいく。広々とした山頂は360度の大展望で気持ちがいい。 帰りは来た道を戻ってもよいが、新道分岐から本栖湖方面に下ると、青々とした水をたたえた本栖湖が所々で眺められる。下り始めはやや足場が悪いので慎重に。湖岸の舗装道路に出たら、湖の眺めを楽しみつつ本栖湖バス停に戻る。

中之倉峠方面へ足を延ばせば本栖湖と富士山の景観が美しい
中之倉峠方面へ足を延ばせば本栖湖と富士山の景観が美しい

MAP&DATA


おすすめの展望スポット

樹木がなく笹に覆われた山頂は文字通り「360度の展望」。裾野を広げる富士山がひときわ美しい。富士山の右側には駿河(するが)湾や伊豆半島がうっすら眺められるだろう。西側には南アルプスの山々も連なっている。あずまやの前の広場からの眺めもよく、山麓の朝霧(あさぎり)高原から富士山が立ち上がっている様子は見応え十分だ。

山麓情報

本栖湖の北岸、中之倉(なかのくら)峠は、千円札に描かれた「逆さ富士」が見られる名所。湖岸道の登山口から徒歩30分、時間と体力が許せば下山後に立ち寄ってみたいところだ。湖畔のキャンプ場に宿泊して、登山と富士五湖観光を楽しむのも一案。本栖湖湖畔の飲食店は本栖湖バス停周辺に点在し、山梨名物のほうとうや、ジビエ料理が味わえる店も。

惜しくも選考から漏れた名山たち

泊まりで行く山も交えるなら、奥多摩・雲取山(くもとりやま)はぜひ入れたいところだった。山頂のみならず、石尾根縦走路から見える富士山はほれぼれする美しさ。また、あまりにも低山すぎて選考から外したが,三浦半島・逗子(ずし)市の披露山(ひろやま)公園からの富士山もみごと。相模湾の向こう、丹沢や箱根の山々を従えて見える富士山は、海沿いの山ならではの景観だ。

目次

登山の達人が教える関東近郊名低山

都市圏から、日帰りで楽しめる低山は数多く存在する。登山ガイドや山岳ライターなど、山を歩き尽くしている登山の達人が、関東近郊の名低山を紹介する。

編集部おすすめ記事