知らないとマズイ! 車中泊スポットの探し方とマナー|登山・アウトドアを楽しむ車中泊の基礎知識②

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大型連休や夏休みなど、まとまった休暇がとれる時期は交通や宿泊などの予約がとりにくいのが悩ましいところ。そうした悩みを解決してくれるのが、移動手段のクルマを宿泊にも使ってしまおうという車中泊だ。コロナ禍以降、旅行などのスタイルも変化し、車中泊はますます注目度が上がってきている。ここでは、ムック『CAR CAMPING アウトドアを楽しむための車中泊』(山と溪谷社)に掲載した、車中泊を楽しむために知っておきたい基礎知識を紹介しよう。

文=渡辺圭史、イラスト=日江井香

目次

車中泊スペースの見つけ方

車中泊スペースのバリエーションを理解したところで、その場所の探し方を紹介しよう。今はインターネットを利用した方法が主流だが、どのようなサイトがあるのか、決済方法など、細かいポイントについて解説する。

旅行スケジュールを事前にしっかりと決める人、行き当たりばったりで自由な旅を好む人など、旅のスタイルはいろいろとある。いずれにしても、宿泊する場所を決めることは重要だ。そこで、車中泊スペースをどのように見つければいいのか紹介しよう。

今では車中泊できる場所を紹介した本などもたくさんあるが、多くの人が利用しているのはインターネットでの情報ではないだろうか。車中泊スペースを検索できるアプリや地図連動アプリなどもあるので、簡単に車中泊スペースを探すことが可能になっている。

しかし、そのすべての情報が正しいとも限らないのが問題でもある。例えば、車中泊ユーザーが「ここで車中泊できました」という情報だけで、土地の所有者に確認していない場所がリストに掲載されていることもある。できれば正しい情報ソースを利用したい。

そこで、初心者にとっておすすめできるのが、RVパーク、RVスマート、カーステイ、タイムズのB、オートキャンプ場を利用すること。どれも、宿泊費や駐車料金がかかってしまうが、安心して快適な車中泊したいのであれば、少々の出費も必要といえるだろう。

ではひとつずつみていこう。RVパークは日本RV協会が認定した施設でホームページ(https://www.kurumatabi.com/)から検索する。地図アプリなどでも検索できるが、ホームページに詳細な情報が載っているので、こちらを参考にした方がいいだろう。

全国のRVパークなどを検索できる「くるま旅」

RVスマート(https://rvparksmart.jp/)はRVパークの一部の施設であるが、スマホで予約決済ができて、現地ではバーコードで電源を利用できるのが特徴。現地での支払いもなく、無人で電源が利用できるようになるなど、サービスが充実している。

スマホで予約決済ができる「RVスマート」

スマホでの利用であれば、シェアリングサービスのカーステイ(https://carstay.jp/)もある。ホームページ以外にアプリがあるので、スマホにインストールしておけば、すぐに車中泊スペースを検索できる。施設数は2022年3月現在300強登録されている。

「タイムズのB」は時間貸駐車場「タイムズパーキング 」を展開するタイムズ24の会員制予約専用駐車場サービス。キャンピングカー利用可能なリスト(※車中泊できない場所もあるのでホームページで詳細を確認しよう)がホームページに掲載されている(https://btimes.jp/feature/campingcar/)。こちらも操作はネットで完結。

タイムズ24の会員制予約専用駐車場サービス「タイムズのB」

最後にオートキャンプ場だが、こちらは今まで通り、インターネット、本などを利用して探すのが一般的。できれば車中泊を設定している場所があるといい。テントキャンパーと車中泊キャンパーでは行動パターンが違うので、専用区画があるとありがたいのだ。

焚き火など、自分のやりたい事があるのであれば、それを条件にして検索することで、最適な場所を見つけることができる。紹介したホームページなど、検索サイトもたくさんあるので、自分の条件にあった車中泊スペースがきっと見つかることだろう。

このように車中泊スペースは簡単に見つけることができる。車中泊に興味が出てきたら、まずは自分のクルマで一度体験してみることをおすすめしたい。


マナーを守って車中泊を楽しもう!

すべての準備が整い、さあ実際に車中泊に行ってみよう!となった時、車中泊のマナーについて再度確認してほしい。楽しいクルマの旅を実践するためにも大切なことだ。そこで、ここでは車中泊のマナーについて、細かく確認してみようと思う。

たとえスペースが空いていても、車中泊は許されている場所で

車中泊できる場所かどうかは一番初めに確認すべきこと。ちょっと、空いているから大丈夫だろう、という考え方は厳禁だ

スペースが空いているからといって、車中泊ができるとは限らない。それは道の駅、サービスエリアなども同じこと。場所によっては車中泊禁止の看板が出ていることがある。このような場所では絶対に車中泊しないことが、最低限のマナーとなるのだ。

車中泊のできる道の駅があるなかで、なぜそのような看板が掲げられるようになってしまったのか。その背景には、困っている利用者が必ずいるから、といっていいだろう。施設側も多くの人に気持ちよく使ってもらうため、そのようにしていることを理解しよう。

空いているから大丈夫という考え方は厳禁だ。その場の状況を見て、他の人に迷惑をかける可能性があるのであれば、車中泊するのを控えるのがベスト。自分のことだけでなく、他人のことも考えて行動することで、トラブルも回避できるようになる。

インターネットなどで検索して、車中泊可能となっていても、現場で車中泊禁止の文字を見たら、諦めて次の場所に移動しよう、もし疲れて眠気などがあるのであれば、仮眠するのは問題ない。それは車中泊にはあたらないので、しっかりと休息する必要がある。

車中泊ユーザーのマナーが向上すれば、車中泊可能スペースが増える可能性もあるので、期待してマナー遵守を心がけよう。

クルマを停止している時はアイドリングストップが基本

条例でも決まっていることだが、クルマのアイドリングは禁止された行為。ついついエンジンを掛けたくなる気持ちを抑えよう

条例でもアイドリングストップが厳守されているので、車中泊に限った話ではないが、停車中はエンジンを止めるのが基本。トラックなどエンジンを止められないクルマもあるので、「トラックがエンジンを掛けているから」という解釈は間違っている。

アイドリングストップなど当たり前と思うが、ちょっとスマホの電気を充電したいから、エアコンをつけたい時など、ついついエンジンを掛けてしまうことがある。特に高速道路のサービスエリア・パーキングエリアでは自分ぐらいはいいだろうと考えてしまう。

アイドリングにより有害な排気ガスが発生して、クルマの周囲に充満させることもあるだろう。自身が吸い込んだら危険だが、隣のクルマに乗っている人も危険にさらしていることを理解しなければならない。車中泊していて、どちらも気づかなかったら大変だ。

とはいえ、健康を害するような危険な状態であれば、エンジンを掛けてエアコンを利用することは許されている。真夏の車内では簡単に熱中症を引き起こすことがある。このような状況では、遠慮することなくエンジンを掛けてエアコンを活用しなければならない。

排気ガス、エンジン騒音、そのどれもが回りにいる人たちを不快にさせる。エンジンをかけることへの配慮をしすぎることはない。

車中泊の夜は静かにしよう!そして、行動にもちょっとした注意を

キャンプ場と同じように、車中泊であっても、静かに過ごすのがマナーとなっている。話し声だけでなく、行動も注意が必要だ

キャンプなどと同じように、車中泊スペースの夜も静かに過ごすことがマナーとなる。クルマで移動していると、自分達が発する音に関してはそれほど気にしなくなってしまうので注意が必要だ。まずは、音を気にすることが大切ともいえるだろう。

夜は車内で宴会をすることもあるだろう。お酒なども入って、話が盛り上がり、声が大きくなることも。クルマであれば密閉度が高いので音が漏れにくいが、笑い声などは特に外へ聞こえていて、隣のクルマに乗っている人などは気になってしまうことがある。隣のクルマには疲れて寝ている人がいるかもしれない、または、翌日早く出発するために早く寝たい人もいるだろう。そんな人たちにとって、近隣の騒音は非常に迷惑であり、時には体調を崩す原因となってしまう。回りの人の気持ちも理解することが大切なのだ。

会話以外にもエンジンのアイドリングなども騒音被害を引き起こす要因。エアコンを稼働させていたら、コンプレッサーのスイッチがオンになって、音が大きくなることもある。一度、クルマの外に出て、自分たちがどんな音を出しているのか確認してみよう。特に気をつけたいのは、ドアの開閉音。これはドアを開け閉めしている人は気づかないかもしれないが、クルマの周辺に不快な音と振動を発生させている。車内で寝ていると、ちょうど頭の位置でバタンという音が響いて、非常に不快であることがよく分かる。

ドアの開閉などは気づきにくい音だが、他の人を不快にさせる音でもある。このように気づかないことも多いので、さまざまな行動をするごとに、自分がどのような騒音を立てているのかを確認しながら、周りへの配慮を忘れないようにすることが大切といえる。

持ち込みゴミを捨てるのはダメ!旅のプランにゴミ捨てを設定しよう

高速道路などのゴミ箱は、その場で出てきたゴミを捨てる場所。旅の途中で出てきたゴミをまとめて捨てる場所ではない

公共のゴミ箱に家庭用ゴミを捨てることはできない。同じように、旅行でたまった車内のゴミをパーキングなど、公共のゴミ箱に廃棄することもできない。道の駅、サービスエリア・パーキングエリアに設置されたゴミはその場で出たゴミを捨てるための設備だ。

それでも、車内に散乱したゴミを捨てたくなってしまう心境は理解できる。ペットボトルを捨てて、新たにドリンクを買うなどであれば許されるかもしれないが、あまりにも多くのゴミを持ち込むのはマナー違反。別の方法でゴミを処理することを考えてみよう。

例えば、RVパークなどでは有料でゴミ処理を引き受けてくれるところがある。このような施設を利用して、ゴミをためないようにしておくことも大切。道の駅によっては、有料でゴミ処理をしてくれる場所もあるので、スタッフに確認するのもいいかもしれない。

ゴミを減らす努力も必要となる。なるべくゴミが出ないパッケージのものを購入したり、自宅から準備するのであれば、箱などから出しておくなども効果を発揮する。ドリンクもリフィルのボトルなどを使って、ペットボトルを減らすこともできるだろう。

長期旅行の場合、ゴミの量は驚くほど多いことに気付かされる。普段通りの生活をしていては、車内はゴミであふれてしまう。そこで、ゴミ捨ての日を決めて、ゴミ処理できる施設をルートに組み込むというのもいいだろう。車中泊でもゴミの日を設定するのだ。

慣れてくると、1日にどのくらいのゴミが出てくるか想定できるようになる。そのゴミのサイズに合わせて、ゴミ用のストレージを用意しておくことも効果的。匂いなどが気になるようであれば、ルーフキャリアでゴミ用のボックスなどを運んでもいい。

車中泊は移動しながら楽しむもの。道の駅などでは長期滞在しないように

道の駅などで長期滞在する人を見かける。その施設の目的などを考えてみても、許される行為ではないのが分かるだろう

ニュースなどでも話題になるが、道の駅などで長期滞在する人がいる。場合によっては洗濯物を干して、そこに住み着いているような状況。ヨーロッパではキャンプ場に長期滞在するスタイルもあるが、公共の駐車場でそれをやってしまうことは完全なルール違反。

長期滞在がなぜいけないのか? それを考えた時、いろいろなことが思い当たるだろう。例えば、他の人が駐車するスペースが少なくなってしまうなど。さらに、そのような景観でくつろぐことができるかなど、他の人が何を感じるかも考えなければならない。

場所は空いているし、公共の場所で利用が許されているから、という理由で居直る人も多いが、車中泊しているユーザーのイメージを悪くしてしまい、結果として、車中泊スペースの場所を減らすことになってしまう。将来の環境にも影響を及ぼしてしまうのだ。

やはり、車中泊をしながら旅をするのであれば、1カ所に滞在するのではなく、いろいろな場所を訪れることをおすすめしたい。たくさんの場所を自由気ままに旅できることが車中泊の醍醐味でもあるので、その特徴的な楽しみ方を思いっきり享受してほしい。

どうしても長期滞在が必要な時はキャンプ場などを利用しよう。そして、旅の拠点として利用して行動すればいい。例えば、釣りなどで同じ場所を攻めたい時などは、長期滞在が許されている場所を探して、他人へ迷惑がかからないように心がけなければならない。

公共の場所は開放されているが、同じ人が長期間利用することは想定していない。多くの人が同じように、快適に利用できることが大前提。公共の場所での占有行為は車中泊でなくても避けなければいけない行為であることを十分に理解しなければならない。

火気厳禁!そこはキャンプ場ではない。ルールを守って、楽しく過ごそう

時々、駐車場でキャンプ行為をする人を見かける。もちろん、この行為は禁止事項。看板などでしっかりと明記されていることが多い

車中泊では調理のために火器を使うことがあるが、車外で利用するときは注意が必要だ。キャンプ場であれば、車外での火器利用が可能だが、公共の駐車場や一部のRVパークでは利用が禁止されている。ちょっとお茶を飲むだけ、という場合も同じである。

公共の駐車場でBBQする人もいるという。もちろん、禁止された行為なのだが、広い駐車場などで、回りに人がいなければ、やってしまう人が現れるかもしれない。それが、山の中であったり、広い芝生などがあればなおさら、火器を使う傾向が強くなる。

火災の原因となることから、火器の使用が禁止されていることがほとんど。さらに、国立公園など、地域で火気厳禁の区域もある。安全を確保したとしても、火器を使うには役所に申請をして許可を取らなければいけない場所である可能性も考えなければならない。

最近では、火の不始末で山火事を起こしたニュースなども聞かれる。火消しの水を用意していたとしても、乾燥した芝生などであれば、延焼も早く、すぐに消火できない。火事になってしまったら、せっかくの楽しい旅が台無しになってしまうことを想像してほしい。

グループで行動していると、気持ちも大きくなり、普段はしないことであっても、ついついやってしまうことがある。駐車場でBBQをやっている人はグループやファミリーが多いのもうなづける。その場の雰囲気だけでなく、しっかりとルールを再確認しよう。

火器を使わなくても、公共の駐車場でリアゲートを上げて、テーブルを出し、イスを並べてくつろぐのもマナー違反。道の駅などに長時間滞在してしまうと、つい気が緩んでこのような行動を起こしやすいので注意。みんなが気持ちよく使えることが大切なのだ。


安全・安心の車中泊を楽しむために

車中泊を楽しんでいる人も多いが、残念ながら、なかには怖い思いをしたという人もいる。そこで、安全に楽しむために、どのようなことを考えて行動すべきか、今一度確認してみたいと思う。しっかりと対策をしたり、行動することで、より楽しい車中泊生活が待っている。

車中泊の楽しさを紹介してきたが、不快な体験をした人もたくさんいるのを知ってほしい。クルマに悪戯をされたり、盗難事件などもある。楽しく過ごしているからこそ、隙があるのかもしれないが、なるべく注意して行動することを心がけなければならない。

不快な体験をしないようにするために、どのような行動を取るべきか。それは、ちょっとした行動で改善できることも多い。例えば、盗難では鍵の施錠をしっかりとするだけでも十分な効果がある。また、車内に人がいるような気配を感じさせるのもいいだろう。

最近では女性の一人旅も増えてきたので、車内に人の気配を感じさせるのは効果が高い。カーテンを閉めてしまえば、女性がいるのか男性がいるのか、外からは分からないだろう。ドアを開けた時も、女性的なインテリア装飾が見えないようにするのも大切だ。

クルマを停める時も安全な場所を意識しておく必要がある。人目につきやすいく、ある程度の人やクルマがいる場所がいいだろう。道の駅などに停める時は、事前にインターネットなどで周辺の状況を確認して、人里離れた場所でないかなどを調べておこう。

高速道路の駐車場などは人も多く、明るいので安心できるが、大きなトラックや施設の物陰になるような場所はかえって危険なので、避けた方がいい。サービスエリア・パーキングエリアでも不快な経験をした人もいるので、完全に安全とは言えないのが現状だ。

健康面でも十分に注意してほしい。車中泊の旅をしていると、運転する距離も長くなり、長時間のドライビングで、体を酷使する傾向がある。まだまだ大丈夫だと思っていても、体が突然動かなくなることがあるので、少しでも体に変化があったら休息を取ろう。

暑さ寒さは、クルマの装備にも左右されるが、部屋の中にいるようなものだから、と自宅にいるような感覚で過ごしてしまうのは危険。暑くなれば熱中症になってしまうし、寒くなれば低体温症になることも考えられる。命を落とすこともあるので注意が必要だ。

クルマの中で暑くなったり、寒くなったら、アイドリングストップのことは忘れて、すぐにエンジンをかけて空調を利用しよう。そのような危険な状態にある場合には、エンジンをかけることが許されているのだ。無理をせず、体調第一で考えなければならい。

快適性が天候に左右されるのは車中泊車両にとっては避けることができない。高級キャンピングカーでさえ、エアコンがなければ、暑くて熱中症を起こすことがある。真夏や真冬は車中泊を極力避けて、車内グレードアップのシーズンとするのもいいだろう。

車中泊は実際に行動することで、その楽しさを感じられる。その楽しさのためには、マナーを守り、安全を意識する行動が大切だ。ここで学んだことを実践しながら、思いっきり車中泊を楽しんでほしい。


別冊山と溪谷『CAR CAMPING アウトドアを楽しむための車中泊』

別冊山と溪谷『CAR CAMPING アウトドアを楽しむための車中泊』

キャンプ・釣り・登山・自転車・スキー・スノーボード・ウォーター系(サーフィン、カヌー、カヤック、SUP)、山岳&自然写真など、アウトドアを趣味としてディープに楽しんでいるユーザーの車中泊カスタム実例にフォーカス。軽自動車から普通車ワンボックス、バンコンなどのキャンピング車まで、お金をかけずにできるライトカスタムから、本格キャンピング仕様まで詳しく紹介します。また、Youtubeで人気の「クルマで日本一周旅」から、クルマで日本一周旅をしたい人に向けて、有益な情報をしっかり解説します。車内のDIYやカスタムポイントもまとめているので、車中泊に必要な情報がまるわかり!

山と溪谷社 編
発行 山と溪谷社
価格 1,980円(税込)
Amazonで購入する
楽天で購入する

目次

Yamakei Online Special Contents

特別インタビューやルポタージュなど、山と溪谷社からの特別コンテンツです。

編集部おすすめ記事