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雪山装備を一式用意したい。できれば安く! 山岳ガイドに教わる“雪山登山 入門のススメ”(5)

山の疑問・難問、山岳ガイドが答えます!
登山技術 2018年01月12日

雪山をはじめるための装備を一式揃えるには、やはり出費がかさみます。ギアは代用品がきかないので妥協せずに目的に合った製品を購入することをお勧めしますが、ウエア類はなるべく安く揃えられたら雪山がはじめやすいでしょう。

雪山装備を一式用意したい。できれば安く!

質問:
今年から本格的な雪山登山に挑戦しようと装備の準備を始めました。雪山登山靴、アイゼン、ワカン、ピッケルと購入した所で冬のボーナスは底を尽きました。ウエア類、小物なども準備したいのですが失敗せずに選ぶポイントとなるべく経済的に手に入れる方法をアドバイスください。

 

雪山用のウエアを選ぶ時のポイントは3つ、“動きやすい”“濡れても寒くない”“できれば自然に乾くモノ”です。

最も重視したいのは下着で、上記の原則に従うと素材は登山用に開発された新素材(以下、化繊)かウールになります。登山専用以外で化繊の下着を購入する時は、綿が入っていないものを選ぶと良いでしょう。僕は「下着はウール派」なのですが、一般量販店で買えるメリノウール、またはカシミヤ素材でできた薄手のVネックのセーターを肌着にしています。値段は登山用の五分の一!で性能的にも遜色ありません。

フリース類はポケットが使いやすい場所に配置されていることと、丈が長めのモノをお勧めします。「空気が着込める」ほどのサイズの余裕があると暖かくて、長時間着るには楽です。また、激しい動きをすると背中が出てしまうようなデザインは雪山では不適切。“お尻が隠れるほど長さ”が理想です。袖も着用した時に掌の半分が隠れる長さがあると良いです。

 

 

アウターでは素材が防水透湿素材であることが原則。更にストレッチ性があると着用時の拘束感が少なく快適です。日本の雪山は北アルプス北部でも雨やミゾレが降る事があるので防水性が完璧でないと濡れた後に凍結してしまいます。防水性が心配なものは雪山で使う場合は、日帰り、山小屋泊用に留めましょう。

フードは大きくて風雪下で顔を守ることができるつくりのモノ、できればフードのサイズ調整が可能なデザインが良いでしょう。ポケットは大きく、手袋を何枚か重ねていてもストレスなく必要な物が取り出せるモノを選ぶと失敗がありません。

また、胸の高さを越す湿った雪をラッセルすることもあるのでフリースと同じく、お尻が隠れる長さがあり、必要ならばオーバーズボンに裾が入れられると良いでしょう。上下とも、断熱材の入った物は避けたましょう。雪山と言っても気温の高い日があります。

手袋は“インナー手袋”と“オーバー手袋”が別のものがお勧めです。外からの濡れはもちろんですが、極寒でも行動中は汗をかくので手袋は濡れています。泊りの山行の場合、翌日にも手袋を使いますので完全に乾かせないと翌朝外に出た途端、寒さで手袋は凍ります。山小屋に強力なストーブがあって乾かせれば良いのですが、テント・ツェルト泊では一体型の手袋は乾きません。また、フリース素材のインナー手袋はウールほどの保温性はありません。本格的な雪山や長期山行を目指すなら、薄手のインナー手袋+中厚・厚手のウール手袋(どちらかは状況による)+長いオーバー手袋の三点セットが間違いなく、オーバー手袋以外は一組の替えを準備すれば万全です。

雪山のウエアは、できれば専門店で用意したいですが、ユ〇クロやシ〇ムラ、上〇屋などでも、押さえるべきポイントが判っていれば代用可能です。安く、失敗のない準備をしてください。

冬山用品
教えてくれた人

山田 哲哉

1954 年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。著書に、登山技術全書「縦走登山」(山と溪谷社)ほか、「奥秩父、山、谷、峠そして人」(東京新聞出版局)など多数。
 ⇒山岳ガイド「風の谷」

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