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寒い日本を離れて、もっと寒い極北の大地カナダ・ユーコン準州で自然の神秘、オーロラに出会おう!

世界の山旅・絶景への誘い
ガイド・記録 2019年10月25日

一生に一度は見ておきたい絶景に、皆さんは何を挙げますか? 上位に挙がるものの1つが「オーロラ」。自然の神秘・オーロラは、いつ・どこに行けば良いのか? 山好きの人にオススメなのが、極寒の真冬に行くカナダ・ユーコン準州です。

 

冬が近づきはじめ、街中でも寒さを感じる日が多くなってきました。寒くなってくると夜空に舞う“オーロラ”を思い浮かべるのは私だけでしょうか?

今回は、一生に一度は見てみたい絶景のひとつ、オーロラの魅力とオーロラ鑑賞のおすすめスポットについて詳しく掘り下げていきたいと思います。

クルアニ湖の上空に現れたオーロラ。これぞ自然の神秘、宇宙からの贈り物にふさわしい景観!

 

自然の神秘・オーロラとは?

そもそもオーロラとは一体何なのでしょう。あまり詳しく説明すると理科の教科書のようになってしまうので簡潔に説明すると、「太陽から発せられる電気を帯びた粒子(太陽風)が地球の磁場の流れに沿って大気に入り込み、その際に粒子と空気の分子がぶつかり合って光る発光現象のこと」を指します。

オーロラの光は地表100~500kmほどの上空に発生し、粒子がぶつかる大気の成分(酸素、窒素)によって色が異なるため、入り込む粒子が強ければ強いほどより明るく発光し、人間の肉眼でも観察することができるようになるそうです。

雲のようにぼんやりとしたものから、カーテンのようにゆらゆら揺れるもの、上空から放射状に降り注ぐものなど、光の強さも形もさまざまです。実際に天空に舞う光を目の当たりにすると、言葉では言い表せない感動に包まれます。まさに宇宙と地球が出会うところで織りなす壮大な自然現象なのです。

クルアニ連山から登った満月とともに出現したオーロラ。まさに絶景!

 

オーロラに出会う条件は非常に限られている!

太陽風は地球の磁場に沿って大気に入り込むため、大気にぶつかる場所(オーロラが発現する場所)は高緯度地域に限定されてしまいます。北極圏に国土を持つ場所、つまり北欧の国々や、北米のアラスカ・カナダが該当します。

また、発光現象は光の強弱があるため、星空観賞と同じように街中など人工の明かりに邪魔されない、できるだけ暗い場所、そして雲に覆われない晴天率の高い場所が条件となります。

この条件にあてはまる場所は、広い地球の中でもごく限られていて、もちろん日本は対象外。国内では見ることができません。

 

山岳景観とオーロラが美しいカナダ・ユーコン準州

それでは実際にオーロラ鑑賞に適したエリアを見ていきましょう。今回、紹介するのはカナダ・ユーコン準州です。

 

カナダ・ユーコン準州、クルアニ国立公園の位置

 

 

世界第2位の面積を誇るカナダは北極海にかけて広大な国土が広がっています。アラスカの東側に位置するユーコン準州はまさにオーロラに出会う条件を満たした場所と言えるます。

ユーコン準州の南西部には、カナダ最高峰マウントローガン(Mt. Logan:5,959m)をはじめとする北米髄一の山岳地帯・氷河地帯が広がっており、その一部はクルアニ国立公園(Kluane National Park)として世界遺産にも登録されています。

クルアニ国立公園に隣接するクルアニ湖から、クルアに連山を望む素晴らしい景観


これらの山脈が海からやってくる湿った空気を遮るため、国立公園の東側は降水量の少ない晴天率の高いエリアが広がっているのです。

素晴らしい山岳景観とともにオーロラが鑑賞ができるので、山好きの読者の方にはうってつけの場所です。地球の造形美である“山”と宇宙からのメッセージである“オーロラ”を同時に見ることで、より壮大なスケールの感動を味わうことができるのです。

クルアニ国立公園の東部にはユーコン最大の氷河湖・クルアニ湖(Kluane Lake)があります。湖畔には一軒家のロッジが建っており、世界遺産のクルアニ連山を間近に望むことができます。目の前には結氷した湖が広がり、正面を遮るものがないため、オーロラ観賞にも抜群のロケーションとなります。

日中はクルアニ連山を正面に眺めながらスノーシュー・ハイキングを楽しみながら過ごすのが良い


日中は山々を眺めながらスノーシューハイキングを楽しむことも可能です。氷結した湖や川の上を歩くのも極北ならではの貴重な体験となるでしょう。

 

オーロラ鑑賞の適期は夜の長い冬に限る!

オーロラは冬に出会える確率が高くなります。これは寒い日に見られる、というわけではなく、寒くなる季節のほうが日照時間が短くためです。

オーロラが出現する高緯度地帯は、夏になると太陽が沈まない「白夜」となるため、夜は暗くならず、オーロラを鑑賞することができなくなるのです。そのため、夜の時間が長い秋から冬が最適期となるのです。

オーロラ目的では秋より冬がオススメですが、秋のユーコンの広大な大地は草紅葉で秋色に染まる時期、日中のハイキングが魅力的な時期なので敢えて秋に訪れるのも良いかもしれません。

凍結した湖の上を歩くスノーシュー・ハイキング


ところで、ユーコンの冬は本当に寒く、特に夜は氷点下30℃を下回ることもしばしばなので、万全の防寒対策が必要となります。そのため、オーロラ鑑賞に必要な装備といえば、何はともあれ防寒対策です。ただしマイナス30℃ともなると、日本で購入できる一般的な登山装備では太刀打ちできません。

極寒地用の特殊なアウター、分厚いミトングローブ、スノーブーツなどは必須になりますが、これらは現地でレンタルできます。日本から用意するものは冬山登山で着用する保温性のあるベースレイヤーや、フリース、ダウンジャケットなどとなります。

オーロラ鑑賞時には、その上から重ね着で極寒地用のアウターを着用することになります。なお、ロッジなどの室内は強力な暖房設備が整っているため、シャツ一枚でも過ごせるほどです。

完全に凍結した川の上もハイキングできる。日本では味わえないスノーハイキングです!

 

オーロラの撮影は難しくない! 大自然の神秘を写真に残そう! 

オーロラの撮影は、星空の撮影のように特殊な機材が必要ではありません。必要な装備さえ揃えれば、自分の手で写真に収めることができます。

必須となるものは、シャッタースピードの調整できるカメラ(一眼レフやミラーレスカメラなど)と三脚です。オーロラは暗いため、シャッタースピードを10秒~15秒と長く開ける必要があります。さすがに手で持ちではブレてしまうので、三脚で固定しておく必要があります。

撮影に集中してしまうと、自分の目で見るチャンスを逃してしまうこともあります。 刻々と姿を変えるオーロラは、やはり自分自身の目にしっかりと焼き付けたいものです。

凍結したクルアニ湖上でオーロラ撮影。一眼レフと三脚があれば撮影は簡単に神秘的な景色を撮影できる。一生の想い出になること間違いなし!


ユーコン準州をはじめとする世界各地のオーロラの鑑賞地域は、日本出発から帰国まで最短で約6日~8日間の日程で訪れることができます。あまり滞在日数が少なすぎるとオーロラが出現しないまま終わってしまうこともあるため、最低でも現地の滞在は3日~4日は取り、チャンスが増やしたほうがよいでしょう。

★極北のユーコン 世界遺産クルアニ国立公園とオーロラの旅 8日間

オーロラは太陽の活動周期により出現率が変わるとも言われることがありますが、実際のには活動周期に関わることなく爆発的なオーロラが観察されることもよくあります。太陽の活動周期を待つのではなく、思い立ったが吉日です。寒い日本を飛び出して、もっと寒い極北の地で大自然の神秘にふれてみてはいかがでしょうか。

 

海外
教えてくれた人

小林 博史

アルパインツアーサービス株式会社/本社営業部。同志社大学山岳部出身。学生時代にはヒマラヤ8,000m峰の登頂経験を持ち、未踏峰の頂きも目指した根っからの山男。持ち前の語学力を活かし、ジョン・ミューア・トレイルをはじめとした世界各地のロングトレイルや、キリマンジャロ登山、スイスやカナダのハイキングまで、年間100日以上、ツアーリーダーとして「世界の山旅」を案内している。
〝鉄道オタク〟の一面もあり、日本中のあらゆる路線を制覇することも夢のひとつ。

アルパインツアーサービス株式会社

マッターホルン北壁の日本人初登攀を成し遂げた芳野満彦(アルパインツアー元会長)が、1969年に日本で初めてヨーロッパ・アルプスへのハイキング・ツアーを実施して以来、約半世紀にわたり、世界中の山岳辺境地の山旅を企画、実施してきた。「トレッキング」という言葉を日本に定着させた、世界の山旅のパイオニア的存在。

⇒アルパインツアーサービス

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