ラグビーロスなあなたへ――、ラグビー強豪3ヶ国の魅力的な山に行ってみよう!

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ラグビーが盛んな国々は南半球に多いが、その南半球のトレッキングは日本が冬に季節となる時期がベストシーズン。もしワールドカップ以降、「ラグビーロス」となっている人は、現地でのラグビー観戦も楽しみながらトレッキングを楽しんでみてはいかがだろうか。

 

今年、9月20日に開催し、大盛況のなかで幕を閉じたラグビーワールドカップ2019。アジア初、またティア1(ラクビー強豪国)以外の国における初の開催ということで注目を集めた大会は、最終的には南アフリカが優勝、日本は初のベスト8という快挙を成し遂げ、日本中がラグビー熱に沸きました。

そこで今回はラグビー強豪3ヶ国に着目し、これから登山シーズンを迎える南半球の山を紹介したいと思います。

 

ニュージーランド:タラナキ山(2,518m)

「ニュージーランド富士」とも称されるタラナキ山の美しい山容


ニュージーランドはオセアニアのポリネシアに位置し、北島と南島の二つの主要な島と多くの小さな島々で構成されています。南島は同国最高峰の「マウント・クック」や「ミルフォード・トラック」に代表されるように、サザンアルプスの氷河峰や、苔むしたシダの森が印象的です。

対して北島は南北に火山帯が縦断し、独特な景観が展開しています。また、オールブラックスが試合前に演舞する「ハカ」は、ニュージーランドの先住民族であるマオリ族の伝統舞踊で、彼らの多くは北島で暮らしています。

ニュージーランド北島に暮らすマオリ族。「ハカ」はマオリ族の伝統舞踊だ


今回紹介するタラナキ山は北島西部、エグモント国立公園の中心に聳える独立峰で、標高は2,518m。山容は富士山を彷彿させるコニーデ型の名峰です。タラナキ山は麓の山小屋から日帰りで登ることができますが、標高差は1,300mありとても登りごたえがあります。

長い木の階段からザレ場を抜け、岩稜帯と変化に富むトレイルが続きます。周囲に高い山はなく、独立峰ならではの展望が常時望めるため、きつい登りも和らぎます。山頂からの景色は言うまでもなく、360度の大展望を楽しめます。

★ニュージーランド北島の名峰ルアペフ山&タラナキ山登頂へ

ベストシーズンはニュージーランドが夏を迎える1月~3月です。北島は、タラナキ山の他にも山岳地帯の自然保護とマオリの文化遺産の継承を目的とし、珍しい複合遺産として登録されたトンガリロ公園など多くのトレイルを有しています。

タラナキ山の頂上直下を登る。岩稜帯で登り応えも十分

 

南アフリカ:テーブルマウンテン(1,084m)

テーブルマウンテンを縦走する。眼下にケープ市内が広がる


ラグビーワールドカップ2019の優勝国である南アフリカは、アフリカ大陸の南端に位置します。かつて(1990年代まで)は有色人種に対する差別的な政策「アパルトヘイト」が実施されていましたが、マンデラ前大統領を先頭に民主化への舵がきられ、近年では目覚ましい経済発展を遂げています。

今回紹介するテーブルマウンテンは世界最古級の砂岩で形成された山です。テーブルマウンテンを含む、ケープ植物区保護地域は、地球規模で考えると、とても狭い範囲でありながら、世界をわずか6つに分けた6大植物区のひとつに数えられるほど、数多くの固有種を誇るエリアです。ここにある固有種はじつに約6,000種と言われます。

テーブルマウンテンへはロープウェイで一気に山頂部へアプローチすることができます。テーブルマウンテンには複数のトレイルがありますが、台地上のトレイルを歩き、最高点を経由し、カーステンボッシュ植物園まで歩きとおす縦走ハイキングがおすすめです。

★アフリカ最南端の名峰2座登頂と国立公園サファリを楽しむ旅

テーブルマウンテンからの眺望はライオンズへッドやロベン島、ケープ市内などの展望が楽しめます。また、2月、3月はちょうどエリカの花が見ごろを迎え、淡いピンクの色に心が癒されます。「テーブルマウンテンのプライド」と称されるレッド・タイザが咲く季節でもあります。

ケープタウン周辺にはテーブルマウンテン以外にも喜望峰のハイキングや絶景のチャップマンズ・ピークなどおすすめのハイキングポイントが点在していてオススメです。

アフリカ大陸の最南端、喜望峰へ向けてハイキングするのも楽しい

 

オーストラリア:Mt.コジオスコ(2,228m)

オーストラリア大陸の最高峰へ――。登山口からMt.コジオスコの山頂まで緩やかなトレイルが続く


オセアニアに位置するオーストラリアは、オーストラリア大陸本土、タスマニア島及び多数の小島からなります。平均高度が340mと地球上の全大陸中もっとも低く、2,000m以上の地点はほとんどありません。

今回紹介するMt.コジオスコ(2,228m)はシドニーの南西約500kmのところにあり、オーストラリア東部を南北に連なる大分水嶺山脈の盟主であると同時にオーストラリア大陸の最高峰です。

Mt.コジオスコはチェアリフトで一気に1,930mまで上がることができ、自然保護のために整備されたゆるやかなトレイルを辿ります。標高差は約300mですので体力に自信がない方でも7大陸最高峰の1座に登ることができます。

★オーストラリア大陸最高峰、Mt.コジオスコR世界遺産ブルーマウンテンズ

シドニー周辺には他にもおすすめのエリア、世界遺産の大樹海・ブルーマウンテンズがあります。ここは世界の13%にあたる91種類のユーカリが確認されています。ユーカリから出る油分が蒸発して太陽光に反射するとき、青く霞んで見えることからブルーマウンテンズの名前が付けられました。

約6,000万年前から生存してきたシダなど数々の動植物を育む緑豊かな大樹海をぜひ訪れてみてください。

ブルーマウンテンズの峡谷に広がるユーカリの大樹海

 

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プロフィール

寺井 信之

アルパインツアーサービス株式会社/本社営業部
30歳で大手旅行会社より登山・トレッキング専門の同社へ。体育会系でならした体力を活かし年間100日以上ツアーリーダーとして世界の山旅を案内している。
現在は各国最高峰を中心に世界中の山を担当。公私ともに「山」が中心とした生活を送る。趣味は銭湯めぐりで都内を中心に200以上の銭湯を制覇している。

アルパインツアーサービス株式会社

マッターホルン北壁の日本人初登攀を成し遂げた芳野満彦(アルパインツアー元会長)が、1969年に日本で初めてヨーロッパ・アルプスへのハイキング・ツアーを実施して以来、約半世紀にわたり、世界中の山岳辺境地の山旅を企画、実施してきた。「トレッキング」という言葉を日本に定着させた、世界の山旅のパイオニア的存在。

⇒アルパインツアーサービス

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