つまずきを予防しよう|登山者のための肉体改造塾(16)

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もっと健康的で、タフな登山ボディをめざして。さまざまなお悩みに、肉体改造の達人が答えます。今回は、つまずきを予防するエクササイズを紹介。

文=芳須 勲、イラスト=平のゆきこ

【登山者のお悩み】

疲れてくると、木の根などに
つまずくことが多くなります。

爪先・ふとももを上げる動きを
「力強く」「スムーズ」に。

まずは筋トレで力強さを身につけよう

山でつまずきやすくなるのは、爪先を上げるすねの筋肉(前脛骨筋)や、ふとももを上げる筋肉(腸腰筋や大腿直筋)が、疲労によって筋力低下を起こすためです。これらの筋肉は日常で使う機会が少なく衰えやすいので、筋トレで強化しておきましょう。

ストレッチでスムーズな動きに

拮抗筋(目的と反対の働きを持つ筋肉)の柔軟性不足が、スムーズな動きの抵抗になります。爪先を下ろす働きを持つふくらはぎの筋肉や、ふとももを下ろす働きを持つお尻の筋肉を、毎日お風呂上がりや寝る前にストレッチして、柔軟性を保ちましょう。

爪先をあげるときは、すねの筋肉が縮んでふくらはぎの筋肉が緩む

 

【実践1】ニーレイズ
(片足10回×左右3セットずつ)

爪先を上げる前脛骨筋と、ふとももを上げる腸腰筋・大腿直筋を同時に強化するエクササイズです。つまずき防止だけでなく、登山で基本となるフラットフッティング(足裏全体を接地させる歩行技術)の安定や、ザックを背負ったときの姿勢維持にも効果があります。

仰向けの姿勢で、エクササイズバンドを両足の甲にかけます。足首を直角に保ったまま片足を軽く持ち上げ、膝を曲げてエクササイズバンドがたるまない程度にテンションをかけます。

持ち上げている膝を頭の方向に引き寄せます。エクササイズバンドが伸ばせないところまで引き寄せたらの位置に戻します。これを10回繰り返します。

【実践2】ふくらはぎストレッチ
(片足20秒×左右3セットずつ)

ふくらはぎの柔軟性を高めることで、爪先を上げやすくします。登山時にも休憩中に行ないましょう。

両足を前後に開き、かかとを地面につけます。後ろ側の膝を伸ばしたまま前側の膝を軽く曲げて、後ろ側のふくらはぎを伸ばします。20秒キープしたら左右を入れ替えて行ないます。

【実践3】お尻ストレッチ
(片足20秒×左右3セットずつ)

お尻の柔軟性を高めることで、ふとももを上げやすくします。登山時にも休憩中に行ないましょう。

片足立ちになり、背筋を伸ばしたまま浮かせた足の膝を両腕で抱えて体に引き寄せ、お尻の筋肉を伸ばします。20秒キープしたら左右を入れ替えて行ないます。

『山と溪谷』2023年12月号より転載)

プロフィール

芳須 勲さん(登山ガイド、健康運動指導士)

よしず・いさお/いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん。として活動。管理栄養士の資格も持つ。「登山で健康づくり」をモットーに運動・食事指導・山の安全管理を柱とした登山プログラムを提案している。

登山者のための肉体改造塾

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