人食い化け猫が出た山、死体を操る猫が棲む山、猫が修行する山・・・猫伝説の山を紹介

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2月22日は猫の日。「猫」が入る地名、山名、猫にゆかりがある山は多い。長生きした家猫が猫又になるといわれるが、山に棲んでいる巨大な化け猫・猫又伝説も全国各地に存在する。そんな猫伝説が残る山を紹介する。

構成=山と溪谷オンライン

目次

猫又山 黒部峡谷には巨大な猫又が棲む(富山)

剱・立山連峰主稜線の北に位置する猫又山。毛勝(けかち)山、釜谷(かまたん)山と合わせて毛勝三山と呼ばれている。

また、黒部峡谷を挟んですぐ近くにも猫又山(2308m)があり、「猫の踊り場」という地名もある。

黒部峡谷の猫又伝説は、こんな話だ。元々は富士山にいた猫又が、源頼朝が巻き狩りをした際に軍兵を食い殺したことで富士権現に追い出され、黒部峡谷にやってきた。黒部でも人を襲ったため、猫又退治に多数の狩人が駆り出されたが、狩人たちは巨大な化け猫に立ちすくみ、化け猫も多数の狩人にひるんだのか、何もせずに立ち去ったという。

毛勝山から猫又山を望む(写真=たっちんさんの登山記録より)

毛勝三山の猫又山の登山道は、地元の有志によって開かれた登山道。踏み跡も薄く、ヤブが濃い道だ。コースタイムも12時間以上と長いため、上級者向けといえる。剱岳の展望や、開放的な草原の登山道、点在する池塘など、魅力あるコースには、経験を積んでいつか訪れたい。

行程・コース

最適日数:日帰り 11時間10分
総歩行距離:14,850m /上り標高: 1773m 下り標高: 1773m
行程:馬場島(06:00)・・・取水堰堤(06:50)・・・戸倉谷出合(08:20)・・・ブナクラ峠(09:40)・・・猫又山(12:10)・・・大猫山(13:50)・・・大猫平(14:30)・・・取水堰堤(16:30)・・・馬場島(17:10)
高低図
コースの詳細を見る

関連する登山記録

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この記事に登場する山

福島県 /

猫魔ヶ岳 標高 1,404m

 福島県耶麻郡北塩原村と磐梯町の境に位置する。『新編会津風土記』には「人食い猫が出没することに、この名前の由来がある。猫石付近はいつも草木を生せす、塵埃なく掃除せしか如し」とある。また山麓にはこんな伝説も伝わっている。 「猫魔ヶ岳に化け猫が出て、人々に危害を加えるので、殿様は家来に退治することを命じた。しかし、その計画が化け猫に聞こえ、殿様の奥方が人質に取られてしまった。そこで鉄砲名人の百姓六三に化け猫退治を命じた。六三は危機一髪、化け猫を退治して無事奥方を救い出した。六三はたくさんのほうびをもらった」 という。  この山は、その西側にある雄国沼と組合せて登られる。ベストシーズンは、ニッコウキスゲの咲く6月下旬から7月上旬にかけて。猫魔八方台コースは、所要1時間。雄子沢コースは雄国沼経由で所要3時間。

福島県 /

志津倉山 標高 1,234m

 福島県大沼郡三島町、昭和村と河沼郡柳津町の境に位置する。この山は全山ブナの山であるが、多くの伝説に彩られた山でもある。  昔は雨乞山として存在していた。日照りが続くと村人が集まり、注連縄(しめなわ)を張って雨乞岩まで出かけ、「アンメータンメー、タンサクヤーイ、水たんもれ龍宮やい」と祈ると、たちどころに雨が降ったと伝えられている。また、この志津倉山には、狗ヒン様がいるともいう。その証拠に、ときどき「空木がえし」と呼ばれる大木の倒れる音や、大石の転がるような響きがするという。後刻入ってみてもなんの跡形もない。この音がするときは、村人は決して山には入らなかったという。さらにカシャ猫伝説もあって、興味は尽きない。  登山道は2コース整備され、雨乞岩コースは登山口より所要2時間。細ヒドコースは2時間だが、通常は両コースを周回する。

富山県 / 飛騨山脈北部

猫又山 標高 2,378m

飛騨山脈北部周辺の山です。

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