晴れれば暑いが、吹雪く日も。残雪期のウェア選びの正解はコレ!

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冬から春へ、残雪期は季節の狭間。この時期悩ましいウェアの選び方と最新モデルを紹介しよう。

構成=山と溪谷オンライン、取材協力=好日山荘池袋西口店、イメージ写真=uetoraさんの登山記録より

残雪登山、ウェアは登る山に合わせて選ぼう!

冬の間降り積もった雪がしっかりと締まり、雪解けの季節を迎える春。寒さも緩み、雪面が歩きやすくなる残雪期は雪山登山を快適に楽しめる貴重なシーズンだ。しかし、悩ましいのが登山ウェア選び。晴れれば汗をかくほど暑くなる一方で、いったん天気が崩れると冬に逆戻りし、吹雪になることも珍しくない。

ここでは、日本アルプスや北海道・東北、上越・北陸といった、残雪期でもアイゼンを使用して歩く時間の長い山を想定。冬と春が同居する山でなにを着るべきか、好日山荘池袋西口店の高野優さんに教えてもらった。

高野優さん
高野優さん
たかの・すぐる/好日山荘池袋西口店に勤務。日本山岳ガイド協会公認山岳ガイド(ステージⅠ)。クライミング、高所登山、沢登りなどさまざまな登山を実践している。最近では2022年にヨセミテ・エルキャピタンのフリーライダー(12d/13a34ピッチ)、23年はマナスル(8163m)などに遠征。母校の東京農大山岳部のコーチを務めており、毎年大型連休は学生のサポートで巻機山など上越の山に登っている。

レイヤー数は減らさず、各アイテムを入れ替えて保温性を調整しよう

——残雪期のウェアのレイヤリングは、厳冬期とどこが違いますか?

基本的には厳冬期も残雪期もベースレイヤー+ミドルレイヤー+アウターレイヤーという考え方でよいと思います。ただし、各レイヤーのアイテムはスリーシーズンのものに変えていくほうが、温度の変化には対応しやすいですね。保温力は抑えて、暑いときの体温調整機能を重視するイメージです。

残雪期は、登り始めの標高の低いところではかなり気温が上がることがあります。そんなときに厳冬期仕様のウェアを着ていると暑さでバテてしまいます。しかし、森林限界を越えると、気象はまだ冬の続きで、風が吹けばかなり体感気温が下がるので、しっかりしたアウターシェルは不可欠ですね。この「森林限界を越えるかどうか」を目安にしてもらうと、残雪期のウェアは選びやすくなると思います。具体的にどんなアイテムがいいのか、レイヤリングを順番に見ていきましょう。

5月の穂高連峰へ。まったく雪がないアプローチも珍しくない
5月の穂高連峰へ。まったく雪がないアプローチも珍しくない(写真=ミーグルさんの登山記より)
横尾から涸沢へ。雪が出てきても暑さに苦しむことも
横尾から涸沢へ。雪が出てきても暑さに苦しむことも(写真=ミーグルさんの登山記より)
稜線に出ると風が吹き、コンディションが一変することもある
稜線に出ると風が吹き、コンディションが一変することもある(写真=ミーグルさんの登山記より)

ベースレイヤーはスリーシーズン仕様がおすすめ

——ベースレイヤーは保温力と汗対策、どちらを重視すればいいですか?

どちらかといえば「汗対策」をしっかり考えるといいと思います。ベースレイヤーは、すっかり定着したドライ系アンダーウェア+ジップ付きのロングスリーブという組み合わせがおすすめです。

ドライ系アンダーウェアは、腕をまくったり、暑がりの人なら半袖のTシャツを着たりすることもあると思うので、上半身は半袖タイプがよいと思います。ザックで圧迫される腰回りにもかなり汗をかいたりするので、下半身もこのアンダーを着ておくといいですね。特に泊まりの山ではウェアを着用したままになるので、汗冷えは極力防ぎたいところです。下半身は長いタイツではなく、ボクサーのような短いタイプで充分です。快適さがアップするだけでなく、悪天候での低体温症対策としても有効です。

ベースレイヤーの下に着用するドライ系アンダーウェアは残雪期も有効
ベースレイヤーの下に着用するドライ系アンダーウェアは残雪期も有効

ミレー
ドライナミック メッシュ ショートスリーブ

ミレー/ドライナミック メッシュ ショートスリーブ
サイズ S-M、L-XL、XXL
重量 110g
カラー 3色
価格 6,600円(税込)
詳細を見る

ファイントラック
ドライレイヤーベーシックT

ファイントラック/ドライレイヤーベーシックT
サイズ S~XXL
重量 46g
カラー 2色
価格 4,950円(税込)
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ドライ系アンダーウェアの上に重ねるアイテムは、吸汗速乾性に加えて、ほどよい厚みで体温調整機能に優れた長袖がよいと思います。ジップ付きなら胸元に風を通せるのでなおいいですね。真夏の低山はさておき、春から秋までのスリーシーズン万能に使えるこのタイプは、残雪期のベースレイヤーとしてもぴったりです。おすすめは、ポリエステルとウールを混紡した素材です。

ファイントラック
メリノスピンライトジップネック

ファイントラック/メリノスピンライトジップネック
サイズ S~XL
重量 125g
カラー 2色
価格 10,450円(税込)
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ミレー
クータイIIウールジップ ロングスリーブ

ミレー/クータイIIウールジップ ロングスリーブ
サイズ XS~XL
重量 180g
カラー 4色
価格 11,880円(税込)
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ミドルレイヤーにはグリッドフリース、ボトムスはトレッキングパンツ

——ベースレイヤーの上にもう一枚重ねるなら、どんなアイテムがいいですか?

晴れていれば多少の風があってもベースレイヤーの上にアウターシェルを重ねるだけで済みますが、標高が高いところではもう1枚重ねたくなりますよね。そんなときは汗抜けのよいグリッドフリースが最適だと思います。ベースレイヤーが吸い上げた汗を素早く拡散してくれて、ほどよい保温性で暑すぎないのがいいですね。口元まで覆うフード付きならバラクラバを省略できるので、風が強まったときでも心強いです。

ボトムスはスリーシーズンのトレッキングパンツがいいですね。風雨にはその上からシェルパンツ重ねますが、積雪があっても天気がよければ、ゲイターを組み合わせてシェルパンツなしで行動できます。テント泊なら、寒さ対策にタイツを持つのもよいと思います。

ミレー
ロッカ フーディ III

ミレー/ロッカ フーディ III
サイズ XS~L
重量 390g
カラー 4色
価格 15,400円(税込)
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ファイントラック
ドラウトクロージャケット

ファイントラック/ドラウトクロージャケット
サイズ S~XL
重量 340g
カラー 3色
価格 19,580円(税込)
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ザ・ノース・フェイス
アルパインライトパンツ

ザ・ノース・フェイス/アルパインライトパンツ
サイズ S~XXL
重量 385g
カラー 5色
価格 17,600円(税込)
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