初めての登山靴。基礎知識と目的別の選び方

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山に登るための靴だから、登山靴。山登りの必需品です。必要なのはわかるけど、スニーカーとはなにが違うの? そんな素朴な疑問から、主な特長、種類、足に合う靴の選び方まで、登山靴についてわかりやすく解説します。

文=吉澤英晃、写真=福田 諭

目次

登山靴とは? スニーカーと登山靴の違い

山道でスリップを防いで安全に登山を楽しむための道具

春から秋までの登山では主に、土や岩、もしくは整備された木道の上を歩きます。いずれも乾いていればスリップの心配は少ないですが、雨や霜で濡れている場合はどうでしょう。滑りやすくなり、転倒などによるケガの危険性が高まります。

誰もが持っているスニーカーでも山に登れますが、登山道の滑りやすさなどは想定外。そんなスニーカーに対して登山靴は、山歩きに特化した設計なので、土や岩、木道といった路面で滑りにくいという特長があります。

アスファルトがない山道でスリップを防ぎ、安全に登山を楽しむための道具。それが登山靴です。


登山靴の種類

主な種類はふたつ。得意なルートが異なる

ここでは代表的な「トレッキングシューズ」「アルパインブーツ」のふたつを紹介します。

トレッキングシューズ

トレッキングシューズ
トレッキングシューズ

国内の登山道では主に、土や木道の上を歩くことのほうが多くなります。トレッキングシューズは、そんな土が多いルートを水平方向に移動するシーンを得意とする登山靴です。

トレッキングシューズは土や木道のルートを歩きやすい
土や木道のルートを歩きやすい

適度に硬いソールは蹴り出しやすく、岩場の上り下りは少々苦手ですが、多くの登山道では滑りにくく、しっかりグリップしてくれます。

登山靴を買うときは、まずはトレッキングシューズから検討するといいでしょう。

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アルパインブーツ

アルパインブーツ
アルパインブーツ

北アルプスの穂高岳や剱岳周辺に代表される、岩が多い状況を想定した登山靴があります。それが、アルパインブーツです。トレッキングシューズが土が多いルートを水平方向に移動するシーンを得意とするなら、アルパインブーツは岩が多いルートを垂直方向に移動するシーンに長けている登山靴といえます。

アルパインブーツは岩や雪のルートで活躍する
岩や雪のルートで活躍する

アルパインブーツの主な特長は、岩との接地面積を増やすアウトソールのブロックパターンや、小さな足場に立ち込みやすくなる硬いソールです。

さらに、雪上の歩行も想定しているものが多く、アイゼンを装着するための出っ張りがあり、完全な雪山用のモデルになると、保温性や断熱性を備えるようになります。

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同じく岩場での歩行を想定した靴に、アプローチシューズと呼ばれるものもあります。

アプローチシューズ
アプローチシューズ

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登山靴の特長

しっかりグリップするアウトソール

左が登山靴、右がカジュアルシューズのブロックパターン
左が登山靴、右がカジュアルシューズのブロックパターン

登山靴は山道でスリップを防ぐ道具。だからこそ、アウトソールがいちばん重要です。一般的なカジュアルシューズと比べてみると、凹凸が多いのが分かりますよね。土の上を歩く場合、このブロックパターンが路面に噛み込むことで、強いグリップ力が生まれます。

もちろん岩や木道の上でもグリップ力を発揮しますが、これはブロックパターンではなく、見た目ではわからないソールの性能による所が大きいです。

足元を濡れから守る防水機能

足元を濡れから守る防水機能

登山靴のもうひとつの特長が「防水機能」です。もしも靴が濡れてしまい、中まで浸水したらどうでしょう。不快なのはもちろん、そのまま歩き続けたらマメや靴擦れができて、歩行が困難になるかもしれません。

靴が濡れる状況は雨の日だけでしょうか。たとえば、草や笹が繁茂した登山道を歩くとき、朝露で足元が濡れる場合があります。春や秋など、夜と日中の寒暖差が大きくなる季節では、霜が溶けて道が泥だらけなんてことも。沢沿いに作られた道では、登山道に沢水が流れている場合もあります。

山登りではさまざまなシーンで足元が濡れる可能性があるため、登山靴には防水機能が欠かせません。


足に合った登山靴の選び方

靴の幅や甲の高さもチェックしよう

自分の足に合った登山靴を選ぶときは以下の2点が重要になります。

  1. 登山用の靴下を履いて足を入れたとき、かかと側に指一本分の余裕がある。
  2. 靴の幅や甲の高さが自分の足に合っている。

最後に、すべての登山靴に共通する、フィッティングの手順を紹介します。

  1. 登山靴を試す前に、必ず登山用の靴下を履きましょう。店頭で試し履き用の靴下を借りるか、すでに持っているなら持参を。
  2. 靴下を履いたら登山靴に足を入れて、隙間がなくなるまでつま先を前につめます。
  3. この状態で、かかと側に指が1本入れば、サイズはOK。
  4. 最後に足をかかと側につめてから靴紐を結んで、周囲を歩いて違和感がないか確かめましょう。

これを意識しながら試し履きをすることが、失敗を防ぐポイントです。


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※この記事は2021年4月1日に公開した記事を更新したものです

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プロフィール

吉澤 英晃

1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出合い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンとして約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。

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