静寂と荘厳な山々が紅葉に彩られる南アルプス北部【紅葉コースガイド2025】

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南アルプス北部には、北岳(きただけ)、甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)、仙丈ケ岳(せんじょうがたけ)など、静かながら屈指の名峰がそろう。ダケカンバを中心とした山上の紅葉を楽しもう。

文・写真=伊藤哲哉

目次

長い縦走路を歩き、紅葉に彩られた南ア北部の景色を堪能 白峰三山(しらねさんざん)

南アルプス/3193m
 9月中旬〜10月上旬

絨毯のような秋色のウラシマツツジと北岳
絨毯のような秋色のウラシマツツジと北岳

白峰三山は北岳、間ノ岳(あいのだけ)、農鳥岳(のうとりだけ)の総称で、南アルプス随一の人気縦走コースである。日本一長い標高3000mの稜線では、黄金色に彩られたすべての南アルプス北部の山々が眺められる。

北岳肩の小屋や両俣小屋分岐付近には鮮やかなナナカマド、北岳山頂で眼下に広がる秋色に染まる池山吊尾根(いけやまつりおね)の絶景、中白峰山付近から北岳方面を眺めるとウラシマツツジの紅葉もみごとだ。農鳥小屋の紅葉も見応えがある。西農鳥岳では、朝日に照らされ神々しく輝く間ノ岳の山肌に感動する。また、南西方面には仙塩(せんしお)尾根の先に塩見岳(しおみだけ)が見える。大門沢(だいもんさわ)下降点から樹林帯に入るまではダケカンバの黄葉がみごとで、青空とのコントラストに目を奪われる。

西農鳥岳から間ノ岳、北岳を振り返る。間ノ岳の裾に広がる黄葉が美しい。
西農鳥岳から間ノ岳、北岳を振り返る。間ノ岳の裾に広がる黄葉が美しい。
農鳥小屋から朝焼けの西農鳥岳を眺める
農鳥小屋から朝焼けの西農鳥岳を眺める

MAP&DATA

高低図
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最適日数:2泊3日
コースタイム:【1日目】6時間38分
【2日目】4時間25分
【3日目】8時間
行程:【1日目】
広河原・・・白根御池小屋・・・小太郎尾根分岐・・・北岳肩ノ小屋
【2日目】
北岳肩ノ小屋・・・北岳・・・北岳山荘・・・中白峰山・・・間ノ岳・・・農鳥小屋
【3日目】
農鳥小屋・・・西農鳥岳・・・農鳥岳・・・大門沢下降点・・・大門沢小屋・・・吊橋(森山橋)・・・奈良田第一発電所(農鳥岳登山口)
総歩行距離:約22,900m
累積標高差:上り 約2,693m 下り 約3,325m
コース定数:70
アドバイス:農鳥小屋の宿泊は予約が必要。軽食の提供もある。利用の際は必ず事前に電話連絡すること(TEL:090-7635-4244/大門沢小屋)。大門沢への下りは急坂でペースを保つ。稜線は強風に注意する。寒暖差が大きいので寒さ対策は万全に。
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プロフィール

伊藤哲哉(いとう・てつや)

1969年、神奈川県生まれ、千葉県在住。北アルプス・南アルプス、房総の低山、上信越の山などを主なフィールドに撮影に通う。山岳雑誌に写真と記事を提供し、山と溪谷社から共著で『分県登山ガイド 千葉県の山』、『アルペンガイド 南アルプス』を出版。2020年12月、2021年4月に写真展「SEASONS~北岳~」、2023年6月に写真展「夏山讃歌~南アルプスの歌声」を開催。日本写真家協会(JPS)、日本山岳写真協会会員。

ウェブサイト:https://tetsuyaito.jimdofree.com/

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