秋を探しに、快晴の吾妻連峰最高峰・西吾妻山へ【紅葉レポート】

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読者レポーターより紅葉登山レポをお届けします。naobonさんは吾妻連峰の最高峰・西吾妻山(にしあづまやま)へ。

文・写真=naobon


快晴の三連休は、小さい秋を探しに、東北の名峰、西吾妻山に登りました。二度目の西吾妻山、前回は、山形県側の天元台(てんげんだい)からでしたが、今回はコースを変えて、福島県側のグランデコスキー場からスタートです。このコースは、ゴンドラで1396m地点へ一気に登ることができ、動力のありがたさをあらためて感じます。

最初は開けたスキー場の斜面を登ります。思いのほか傾斜がきつく、いきなり息が上がりますが、振り返れば磐梯山(ばんだいさん)の絶景が飛び込んできて、モチベーションを高めてくれました。磐梯山は、火山独特の勇壮な形状をしており、会津(あいづ)地方のシンボルというのもうなずけます。

福島県グランデコスキー場の登山道。振り返れば磐梯山
スキー場の登山道。振り返れば磐梯山

スキー場の上り斜面を終えると、樹林帯の登山道に入ります。一気に山道の様相が変わり、泥道・岩道地帯になったため、足元に注意しつつ、慎重に登ります。

西吾妻山 樹林帯の登山道
樹林帯への入り口。紅葉が始まっています

樹林帯を抜けると、1982mの西大巓(にしだいてん)です。三六〇度の展望が広がり、深呼吸をしました。目の前にめざす西吾妻山と、そこに向かう続く稜線の道が一望でき、目的地に着実に近づいていると実感します。展望を楽しみ、小休憩をとります。

西大巓山頂
西大巓山頂
西吾妻山への稜線
西吾妻山への稜線

ここから先、西吾妻山への道は、遠目に見た緩やかそうな稜線の道のイメージとは裏腹に、赤茶けた火山の砂礫の道をいったん下り、下ったぶんの登り返しがあります。登山道が平坦になり少し歩くと、遠くに見えた赤い三角屋根のかわいらしい西吾妻小屋(避難小屋)に到着です。この西吾妻小屋分岐(1979m)で進路を右にとり、柴犬の背中のような草もみじのなかを進み、少し登ると、西吾妻山頂(2035m)に到着しました。展望はまったくありませんでした。

西吾妻小屋分岐
西吾妻小屋分岐
西吾妻山山頂道標
西吾妻山山頂道標

それほど広くない山頂にどんどん人が集まってきたので、写真を撮って早々に撤収し、吾妻神社方面に向かいます。山頂へ向かう人とのすれ違い、進みつつある紅葉に秋の空気を感じながら歩いていくと、ゴツゴツとした岩場地帯になり、吾妻神社に到着。三六〇度の景色が広がります。

西吾妻山の山頂から吾妻神社への道
山頂から吾妻神社への道

神社にお参りをしたあと、天狗岩近くに腰かけて、景色を楽しみながらランチ休憩です。近くでカップラーメンをおいしそうにすする人たちを横目に、いつも通りおにぎりとどら焼きで補給します。秋の山は、じっとしていると冷えるので、カップラーメンが心底恋しくなりました。

吾妻神社
吾妻神社
吾妻神社からのビュー
吾妻神社からのビュー

休憩後は、西吾妻小屋方面に向かいます。西吾妻小屋はトイレに大行列ができていたので、早々に通過しました。ここからは往路に通った道を戻ります。西大巓で再度ビューを楽しんだあと、スリッピーな岩と泥道を慎重に慎重に進み、スキー場上に到着です。この先は磐梯山を目の前に眺めながら、ロープウェイ乗り場まで下りていきます。

西大巓から歩いた道を振り返る
西大巓から歩いた道を振り返る

下山後は少し足を延ばして磐梯熱海温泉で汗を流して帰路につきました。終日秋晴れの、眺望に恵まれた楽しい山行でした。山は、いよいよこれから秋本番、彩が楽しみです。

(山行日程=2024年10月13日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 5時間37分
行程:グランデコゴンドラ山頂駅・・・西大巓・・・西吾妻小屋・・・西吾妻山・・・西吾妻小屋・・・西吾妻小屋・・・西大巓・・・グランデコゴンドラ山頂駅
総歩行距離:約8,800m
累積標高差:上り 約942m 下り 約942m
コース定数:23
naobon(読者レポーター)

naobon(読者レポーター)

東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。

この記事に登場する山

福島県 山形県 / 奥羽山脈南部(吾妻山とその周辺)

吾妻山・西吾妻山 標高 2,035m

 吾妻連峰の最高峰で、米沢市と福島県耶麻郡北塩原村との境をなす。基盤を覆う西大巓火山岩類をさらに新期火山噴出物が覆っているため、なだらかな山容である。全山針葉樹原生林に覆われ、亜寒帯林相を呈している。  山頂の展望は利かないが、西に見晴台があり、北の天狗岩には、吾妻神社が祭られる。  山体北西部に広がる天元台や若女平の緩やかな傾斜地は、地形の逆転現象によって生じたものらしい。かつて花崗岩からなる山地に谷が刻み込まれていたところに、火山活動により噴出した溶岩が流れて埋めてしまった。その後、埋め残された尾根の花崗岩の浸食が進み、新しい谷となった。そして過去の谷が緩やかな傾斜の溶岩台地状の地形となり、末端に赤滝、黒滝、火焔滝などを懸けている。  山頂へは白布峠から4時間ほど。縦走路のほかに白布温泉からのルートもある。

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