安心感抜群の新型ストーブ! プリムス/インテグストーブ|高橋庄太郎の山MONO語りVol.113
他社ストーブとの違い
さて、ここまで見てもらったところで、ストーブ類を近年物色した経験がある方はきっとお気付きになったかもしれない。どうも似たストーブをほかに見たことがあったな、と。
たしかにインテグストーブと形状や機能性が似ているストーブがすでに販売されている。ずばり、SOTOの名品「マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター(以下、ウインドマスター)」だ。

上の写真では、左がインテグストーブ、右がウインドマスターである。ウインドマスターのゴトクは超薄型かつ軽量の3本(写真では折りたたんでいる)で、バーナーヘッドから取り外して持ち運べるのが特徴だが、ゴトク以外の形状はかなり似ているのは否めない。
次の写真は、ゴトクを広げた状態。

このままだと、ゴトクの印象が大きく異なるために一見ではそれほど似ているとは思えないかもしれないが、よく見ればすり鉢型のバーナーヘッドの構造はだいぶ似ているのがわかるだろう。

なお、ウインドマスターの左下に置かれているのは、オプション品として別売りされている“4本ゴトク”だ。
その4本ゴトクに変更すると、以下のような状態になる。

こうなるとゴトクの高さが異なるだけで、ますます似ていることは否定しがたい。

安定した炎を生み出すレギュレーターを搭載しつつ、すり鉢型のバーナーヘッドをもっている2つのストーブは、別のメーカーなのに兄弟モデルのようである。いうまでもなく、ウインドマスターが兄で、インテグストーブは弟。ただ、大きく違うのは、インテグストーブはデフォルトとして大型の4本ゴトクをもち、ウインドマスターの基本は3本ゴトクで、大型4本ゴトクは別売りのオプションでしかないことだ。
この写真のウインドマスターは僕の私物である。僕はさまざまなストーブを持っているが、ウインドマスターはもっとも出動回数が多いもののひとつで、まさに愛用品といってよい。アウトドア界の傑作であることは間違いないが、本当は少しは不満もあるのだ。

見ていただけばわかるように、使いこまれた感が出ている4本ゴトクに対し、3本ゴトクはほとんど変色もしていない。これはウインドマスターの3本ゴトクはクッカーを乗せたときに不安定すぎ、僕はいつも4本ゴトクしか使用しないからだ。ウインドマスターの3本ゴトクは華奢過ぎるため、少しでもバランスを崩すとすぐにクッカーをひっくり返しそうになって、非常に怖いのである。
当たり前の話だが、3本ゴトクはそれぞれのゴトクがバーナーヘッドを中心に120度ずつ分かれているが、4本ゴトクに換えれば90度と間隔が狭くなって安定感が増す。しかもウインドマスターのオプションのゴトクはそれぞれを広げれば口径が格段に大きくなって、いっそうしっかりとクッカーを支えてくれるのである。
この連載は基本的に新製品や注目製品の機能性を単体でテストしていくものであり、他社製品と比べて良し悪しを論じるものではない。だから、これら2つのモデルの詳しい比較は行なわないが、以下にスペックは羅列しておくので、興味のある方は確認していただきたい。
●インテグストーブ
重量:100g
ゴトクの直径: 14.8cm
最大出力:3.3KW/2840kcal/h
収納サイズ:7.3×10.1×4.7cm
価格:9,900円(税込)
●ウインドマスター
重量:60g(ストーブ本体)、7g(付属の3本ゴトク)
ゴトクの直径:10.0cm
最大出力:3.3KW/2,800kcal/h
価格:8,965円(税込)
●ウインドマスター専用4本ゴトク フォーフレックス
重量:27g(本体と組み合わせると87g)
ゴトクの直径:14.4cm
価格:1,997円(税込)
インテグストーブは、まるでウインドマスターのゴトクを軽量な3本から安定感が高い4本に変更したようなルックスだ。製品開発の裏事情はよくわからないが、先行品としてのウインドマスターに影響を受けた形で生まれてきたのがインテグストーブなのかもしれない。
プロフィール
高橋庄太郎の山MONO語り
山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート!
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