
【緊急レポート】下山したら車のガラスが割れていた! 登山中の車上ねらい被害を防ぐために
登山中の車上ねらい被害を防ぐには?【傾向と対策】
実は車上ねらい自体は近年減少傾向にある。警察庁のまとめによると、2023年の車上ねらい件数(全国)は約25,000件。5年前の18年の約45,000件と比較すると、4割以上減少している。今回被害が発生した長野県内では近年ほぼ横ばいで、23年は255件、24年には273件(速報値)の被害が発生した。24年の被害のうち、無施錠の車から金品が盗まれるケースは約75%にあたる206件だった。同県警では登山に絞った統計はとっていないものの、登山の際の長時間駐車でドアロックをしないことは考えにくいため、登山者の被害件数はさほど多くないと言えそうだ。しかし、登山記録サイトには登山口の駐車場などで被害に遭ったという報告や注意を喚起する記述がかなり多い。また、今回の年末年始の事例のように、実際に自分や山仲間が被害に遭った人も少なくないのではないだろうか。いったん駐車すれば、少なくても数時間は戻ってこないのが登山者。犯人にとっては、比較的狙いやすいターゲットといえるかもしれない。
では、登山中の被害を防ぐ方法はないのだろうか。同県警生活安全企画課では、犯罪者心理に注目して、対策のポイントとして次の4点を挙げる。
①人の目
なによりも自分の姿や犯行を目撃されることを嫌う
②光
自分の姿を他者から見えやすくする太陽光や街灯、ライトなどを嫌う
③音
人目を引く防犯装置のブザー、サイレンといった警告音のほか、砂利を踏む音など自分の存在を知られる音も嫌う
④時間
犯行に気づかれたくないため、犯行に時間がかかることを嫌う
長野県警の紹介してくれた4つのポイントを踏まえて、山と溪谷オンラインでは登山口周辺での車上ねらいの対策を検討してみた。
駐車位置で被害を防ぐ(人の目、光、時間)
まずは、駐車位置に気を配ろう。駐車場の中でも奥まった位置ではなく、出入り口に近い道路側に駐車すれば、道路を通行する車などから見えることもあって、多少は狙われにくくなる可能性がある。また、駐車する向きも、道路に車のサイドを見せる方向だと死角が生まれやすい。車のフロントやリアを道路に向ける方向で駐めれば、車の両側がよく見え、サイドウインドウを破る手口の犯行を防ぐのに役立ちそうだ。常夜灯が設置されている駐車場なら、その近くを選びたい。もちろん、車を離れる際はすべての窓をしっかりと閉め、ドアロックを確認すること。
防犯装備で対策する(人の目、音、時間)
車の装備で被害を防ぐ方法もある。今やほとんどの車に警戒音を発する盗難防止のイモビライザーが装備されているが、それでも車上ねらいの被害を防ぎきれていないのが現状だ。急速に普及するドライブレコーダーの中には、自動車盗や車上ねらいに備えて駐車中も録画を継続する駐車監視機能を備えたものがあるので、選ぶ際に機能をチェックしてみよう。犯行の証拠が残せるほか、「駐車監視録画中」などの市販ステッカーを併用すれば、抑止効果も期待できる。さらに、窓ガラスを割れにくくするための防犯フィルムを貼れば、犯行に時間がかかることを察して断念させることができるかもしれない。車両盗難防止のためのハンドルロックも、所有車の防犯意識の高さをアピールするという点で車上ねらいに対する効果を期待できる。
なによりも、貴重品は置かない、荷物は見せない
今回の被害レポートでも報告されているように、「車内に貴重品を置かないこと」「外から見えるところに荷物を置かないこと」がすぐに実践できる対策であり、いちばん重要なものだ。見るからに貴重品が入っていそうな財布、ポーチ類はもちろん、下山後の着替えを入れたバッグなども犯人の食指を動かすことになる。もしなにも盗まれなくても、車のウインドウを割られてしまうだけで大損害なので、まずは「狙われないこと」をめざしたい。貴重品は車内に残さず、着替えなどをデポする際も、セダンタイプなら外から見えないトランクルームに。ハッチバックやミニバン、SUVなら、カーゴスペースを覆うトノカバーでしっかり荷物を見えなくしておこう。荷物が少なければ、見えないようにシート下に押し込んでしまうのも一案だ。
登山を終えて車に戻ってきた瞬間は、緊張から解放されてほっと安心するときでもある。そんなタイミングで落胆することのないよう、車上ねらい対策を習慣づけよう。
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