島の山から見る大海原の大絶景! 伊豆諸島の神津島・天上山へ

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読者レポーターより登山レポをお届けします。naobonさんは、神津島(こうづしま)の天上山(てんじょうさん、571m)へ。観光オフシーズンですが、天気に恵まれ大満喫したそうです。

文・写真=naobon


天上山のある神津島へは東海汽船のフェリー「さるびあ丸」で向かいます。東京の竹芝桟橋(たけしばさんばし)を22時に出航し、伊豆大島や新島(にいじま)などの島々を経由しての、約12時間の船旅です。2等客室はオフシーズンで乗客もまばらで、広々として快適。毛布を借りて、雑魚寝で熟睡でした。

冬の海でしたが幸い波も穏やかで、予定通り10時に神津島に到着。港からも、これから登る天上山がドーンとそびえ立つ姿が見えました。天上山にはいくつかトレッキングコースがありますが、今回は、天上山山頂を周遊するコースを歩きます。今晩宿泊する民宿のご主人が登山口まで送迎してくださったので、予定より早くトレッキングをスタートすることができました。

港から見える天上山
港から見える天上山
黒島登山口
黒島登山口

黒島登山口から、第1のピークの黒島展望山までは約60分、標高差約280mをひたすら登ります。1合目から10合目の道標があるので、刻みながら登っていきます。景色は開けており、今日到着した前浜港と一面の海をみごとに見わたすことができました。港の向こうには太平洋が広がり、地球の丸さを感じます。

さらに進むと、10合目の道標が。束の間の平地を歩き、最後のザレ場の急登を登り詰めると黒島展望山山頂(524m)に到着です。海の向こうに、雪をかぶった富士山と南アルプスも見えました。

天上山 登山道の道標
登山道の道標、眼下に港
黒島展望山
黒島展望山、遠方に富士山と南アルプス

いったん10合目の道標まで戻り、さらに5分ほど歩くと、オロシャの石塁です。ここは、江戸時代後期に、幕府により外国船の往来に備えて築かれた石塁の跡だそうです。オロシャの石塁から尾根沿いに10分ほど歩くと、千代池(せんだいいけ)があります。天上山は昔の火山の噴火の名残で山頂付近にいくつか池があり、千代池もその一つです。晴天続きのためか、池に水はありませんでした。

天上山 千代池
千代池
天上山 ジャングルのような道
ジャングルのような道

千代池をあとにして、ジャングルのような南国の島らしい道を20分ほど進むと、表砂漠に到着です。表砂漠は窪地状の地形で風をしのぐことができ、ベンチもあったので、ここでランチをとることにしました。今日のランチは乗船前にコンビニで購入したパン。パンの甘味が疲れた身体に沁みます。

ランチでエネルギーをチャージした後、20分ほど歩き、裏砂漠に向かいます。砂地の裏砂漠は、まるで月面のように荒涼とした風景でした。ここは6月ごろには一変してオオシマツツジが咲き乱れるとのこと。花の百名山たるゆえんです。今度、季節を変えて登ってみたいと思いました。

天上山 表砂漠
表砂漠で休憩
天上山 荒涼とした裏砂漠の風景
荒涼とした裏砂漠の風景

裏砂漠の先にある裏砂漠展望地からは、さらに先にある、御蔵島(みくらじま)、三宅島(みやけじま)を望むことができました。特に、三宅島は、山頂付近が噴火の跡と思われる赤茶けたギザギザとした形状をはっきりと見ることができ、遠目にも噴火の勢いを感じました。

天上山 裏砂漠展望地
裏砂漠展望地から三宅島・御蔵島をのぞむ

裏砂漠展望地から尾根沿いに20分ほど進むと、新東京百景展望地に到着します。名前の通り、新東京百景に選ばれた景勝地で、ここからは、正面に式根島(しきねじま)、新島、利島(としま)、伊豆大島と、伊豆諸島の島々を洋上に確認することができました。ここから見ると、円錐状の利島、平べったい式根島など、それぞれ特徴的な島の形状がよくわかります。ここで景色を楽しみながら、しばし小休憩を取ります。

天上山 新東京百景展望地
新東京百景展望地から伊豆諸島の島々が見えた

新東京百景展望地からいったん不動池に下ります。季節柄、不動池も干上がっていました。ここには神社の鳥居があり、龍神様が祀られています。さらに不動池から先、天空の丘に登ります。天空の丘も三六〇度ビューで、不動池や表砂漠、遠く伊豆諸島の島々まで見渡すことができました。天空の丘から、ババア池(ここも干上がってました)を経由して、不入(はいらない)が沢に向かいます。ここは大きな窪地で、はるか昔、この地で伊豆諸島の神様たちが集い、水を分ける相談をしたと言い伝えられています。

天上山 天空の丘
天空の丘から不動池を望む
天上山 不入が沢
不入が沢

不入が沢から尾根沿いに、さらに10分程度登ると、天上山山頂の最高地点(572m)に到着です。天上山山頂からも、はるか富士山と南アルプスが望めました。山頂道標の上には、りっぱな龍神様が飾られていました。

天上山山頂からの風景
天上山山頂からの風景
天上山 龍神様
龍神様

景色を堪能した後、天上山山頂から、白鳥登山口まで一気に下山します。途中、神社の鳥居をくぐり、30分ほどで白鳥山登山口に到着しました。その後、島の集落を歩き、本日宿泊予定の民宿に帰着しました。

夕方、宿から海沿いの日帰り温泉に行き、海に沈む夕陽も堪能できました。海の青と、島の緑、火山の白、夕陽の赤、カラフルな島の景色を満喫した、冬の山旅でした。

神津島 海に沈む夕陽
海に沈む夕陽

(山行日程=2025年1月26日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 4時間40分
行程:黒島登山口・・・表砂漠・・・裏砂漠・・・天空の丘・・・天上山・・・白島登山口
総歩行距離:約5,800m
累積標高差:上り 約536m 下り 約348m
コース定数:16
naobon(読者レポーター)

naobon(読者レポーター)

東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。

この記事に登場する山

東京都 / 伊豆諸島・神津島

天上山 標高 572m

 伊豆七島の1つの神津(こうづ)島は海岸線からすぐ山がそびえ立ち、狭い海岸線に沿って人家が密集している。神津の町の裏手にある登山道は急な斜面に作られた道だから、すぐに展望が広がる。山頂近くに江戸末期、外国船に備えて築かれた防塁の跡がある。そこを過ぎると山頂の平坦地となり、右下は千代(せんだい)池だ。起伏のある砂地を歩いてゆくと、北に展望があり、式根島、新島、利島が見えてくる。さらに進むと不動明王を祭る小さな島のある不動池があり、池のまわりは草地でベンチもある。  最高峰の天上山は不動池の先の砂と石の間を登った所で、三角点のかたわらから海の展望が広がる。下山路はハイラナイ沢に沿った階段を下って車道に出る。車道からさらに下ってゆくと、左手に那智堂がある。林から露地栽培の畑の間を下り、沢沿いの車道を町中に入る。天上山往復で約3時間30分。

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