春、花の低山へ。春を告げるカタクリに出合える山ガイド【山と溪谷2025年3月号】

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雑誌『山と溪谷』2025年3月号の特集は「春、花の低山へ」。春の訪れを告げるカタクリ、ニリンソウなどのスプリング・エフェメラル。山を華やかに彩るサクラ、ツツジ……。自然の息吹を感じるこんな季節には、のんびり花を楽しめる低山がおすすめ。春の花を愛でる、あの花に会える、ぽかぽかハイキングコースを多数紹介している。特集の中から、カタクリを愛でる低山のコースガイドを見てみよう。

構成=山と溪谷編集部

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三毳山のカタクリの群落。例年3月下旬から4月上旬に見頃を迎える

足元に咲く人気の花 カタクリ

早春、野山で目を引く花といえばカタクリである。ピンクの色、反り返った形、まさに春の妖精と呼ばれるのにふさわしい。カタクリの花言葉に「初恋」「片思い」がある。純粋で淡い恋心、ドキドキするような初めての恋のときめきを感じさせてくれるようだ。

私は、この季節、カタクリの群落をカメラに収めようと各地を訪れている。首都圏に近いところでは栃木県の三毳山(みかもやま)。また、新潟県の西蒲三山(にしかんさんざん)や福島県会津地方、秋田県仙北(せんぽく)の群落も大好きな場所である。

時には北海道へも足を延ばす。北国のカタクリの花は色が濃いのが特徴的で、旭川周辺には隠れた群生地が多い。比布町(ぴっぷちょう)との境界にある突哨山(とっしょうざん)。私の30年来の友人は自生する花の管理をボランティアで行なっている。下草狩り、笹の除去、夏には種を採取して補植することもあるという。こうして一面ピンクの絨毯のような大群落を維持しているのである。

可憐な花に出会える時が私の至福の時間だ。

文・写真=井上のぞみ
山岳写真同人四季会員。1991年「第29回岳人写真賞」を女性として初めて受賞。現在、自然や花を被写体に日本全国を撮影。
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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。

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雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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