梅薫る、春の幕山ハイキング
読者レポーターより登山レポをお届けします。naobonさんは梅が見頃の湯河原・幕山(まくやま、625m)へ。
文・写真=naobon
3月初日は、湯河原の幕山で、梅見の山歩きを楽しみました。先日のニュースでは、幕山公園の梅は「七分咲き」とのこと。快晴の下、朝9時過ぎに湯河原駅に到着しました。登山口のある幕山公園では3月9日まで「梅の宴」を開催中で、幕山公園までの無料送迎バスは長蛇の行列となっていたので、登山口まで1時間ほど歩いていくことにしました。
この季節、湯河原はみかん天国で、無人販売所がいたるところにオープンしています。しかも、みかんの種類も多く、香りもみずみずしく、価格も安い! 山行のビタミンC補給用に、湯河原産の「大津みかん」と「湘南ゴールド」を購入。荷物は増えましたが、夏山に向けたトレーニングと前向きに考えて歩きます。
途中の東海道新幹線の高架のそばには、大きなお地蔵様が鎮座して、このあたりを見守っているような様子でした。
鍛冶屋バス停の分岐を左に進むと、梅の宴ののぼりが並び、雰囲気が盛り上がってきます。駐車場の順番待ちの車を横目に歩みを進め、入口で入場料200円を支払い、幕山公園に到着です。目の前には、太陽の光をたっぷり浴びて梅の花が赤に白に輝き、幕山がドーンとそびえ立ちます。幕山公園では、「梅の宴」の特設ステージや出店も出てお祭りムードです。
幕山への登山口は梅園の中にあります。幕山の斜面には、約4000本の梅の木が植えられており、ちょうど見頃を迎えていました。斜面を眺めると、まるで梅の絨毯が広がっているようで、多くの観光客でにぎわっています。梅の種類も豊富で、しだれ梅や、紅梅・白梅が同じ苗木から咲く梅など、さまざまな梅を楽しむことができます。歩みを進めると梅の甘い香りがほのかに立ち込めて、非常に爽やかな気持ちになります。
また、途中の幕岩では、クライミングを楽しむ人たちもいました。気軽に歩ける梅見のハイキングから、山頂をめざす登山、岩山でのクライミングなど、多様な楽しみ方があるのも、幕山が愛される理由かもしれません。
あずまやを過ぎると、ジグザグの登山道となり、ひたすら登りが続きます。乾いた土に、日差しも強く、黙って登り続けます。時折、樹木の間から視界が広がり、麓の湯河原の町や、真鶴(まなづる)半島も見渡すことができ、海の近くの山であることを実感します。視線を山に戻すと、牛の背中のようなゆったりとした南郷山(なんごうさん)の稜線が見え、いつかあちらの道も歩きたいと思いました。傾斜がだんだん緩やかになり、山頂周回コースの分岐を超えると、幕山山頂に到着です。
広場のような幕山山頂は、ちょうどお昼時で、ランチを楽しむ人たちで大変なにぎわいでした。ゆっくり座れそうな場所を探して、ランチタイムです。今日はおにぎりが主食、途中で購入したみかんがデザートです。
ランチの後は、幕山山頂のお散歩コースをぐるりと散策し、下山路へと進みます。今回の山行は周回コースで、登りと下りで異なる道を歩けるのも楽しみです。途中、南郷山との分岐を超えて、両脇にササが生い茂る登山道をどんどん下り、大石ヶ平(おおいしがだいら)で一休み。
その後はなだらかなハイキングコースとなります。山の神の鳥居を過ぎ、幕山公園に近づくにつれて、梅の宴のにぎやかさが戻ってきました。幕山公園は、朝より人が増えており、ステージでは落語会も開かれていました。
幕山公園で一服した後は、温泉経由で湯河原駅まで歩いて戻ります。途中でお土産用のみかんを購入後、のんびり里山を散歩。少し登り返した高台に、「ゆとろ嵯峨沢の湯」があります。ここは自家源泉をもち、やわらかいアルカリ性単純泉で、心地よい露天風呂でゆったり過ごせる穴場的な温泉です。
湯浴み後、ここから駅までさらに30分、住宅地の路地を歩き、電車の時間まで駅前にある居酒屋「和酒あさり」へ。ビールで乾杯のあと、近海で獲れた新鮮なお魚など、味わい豊かなお食事を楽しみました。梅にみかんに温泉に魚と、と湯河原の恵みを存分に堪能した一日でした。
(山行日程=2025年3月1日)
MAP&DATA

naobon(読者レポーター)
東京都在住、神戸市出身。夏山シーズンは日本アルプスの稜線縦走を、冬は低山・里山ハイキングや山城巡りを、気ままに楽しんでいます。山行後の温泉とビールにこの世の極楽を感じる、週末ハイカーです。
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