高尾山にハートを描くロングコース。南高尾セブンサミッツ

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読者レポーターより登山レポをお届けします。ケロケロさんは南高尾セブンサミッツへ。7座を歩くとハートの軌跡になるという、全長約16㎞のロングコース。

文・写真=ケロケロさん


高尾山のメインルートの南側に、南高尾セブンサミッツと呼ばれるコースがあります。大垂水(おおだるみ)峠から南高尾山稜をたどって7つのピークを踏みながら高尾山口に降りてくるもので、高尾山の混雑を避けて縦走が楽しめる、やや長めのコースです。

小刻みにアップダウンを繰り返すので、これだけでも歩きごたえがあるのですが、もうちょっとがんばって高尾山と1号路を足すとハート型を描くことができるのだそう。1号路の薬王院がハートの窪みですね。

南高尾セブンサミッツ
高尾山とセブンサミッツを繋いでハート型を描く(地図出典=高尾山をもっと楽しむためのロングコース。南高尾セブンサミッツ縦走から高尾山ハートルート

実は、南高尾山稜は以前に一度歩いたことがありました。繰り返すアップダウンに脚を削られ、最後の下りでは脚がガクガク。ダブルストックに頼ってなんとか、よちよち歩きで下山したのでした。

苦い思い出を払拭すべく、今回は時計回りで再チャレンジです。うまくハートを描くことができますように。

朝7時、曇天の高尾山口駅前はハイカーもまばらでした。国道20号を歩いて「高尾山入口」信号の少し手前を左に折れると登山口の道標が見え、道標の指す方向へ住宅横の細い道を登って山道に入りました。

草戸山から相模原方面の眺め
草戸山から相模原方面の眺め
セブンサミッツの最初は草戸山(くさとやま、364m)。町田市最高地の看板があります。以前は展望台がありましたが、現在はテーブルやベンチのある広場になっていました。
アオキの赤い実
ヤブツバキの花
春を待つ縦走路にアオキの赤い実やヤブツバキの花が彩りを添える

登り下りを繰り返し、セブンサミッツ2つ目の榎窪山(えのくぼやま、420m)で道はほぼ直角に右折。ここがハートの先端になるんですね。

三沢峠を経て、泰光寺山(たいこうじさん、475m)までの中間に、木彫りのフクロウを見つけました。ボランティアで道を整備されている方のチェーンソーアートで、テレビの情報番組で紹介されていたのを見た記憶があります。力作のフクロウに和んで、記念写真を一枚。

フクロウ
スマホ台
チェーンソーアートのフクロウ

ルート上にはちょくちょく巻き道があり、道標がないので知らずに巻き道を行くと逃してしまうピークがいくつかあります。セブンサミッツ3つ目の泰光寺山もその一つ。分岐で巻き道を選ばず、急な階段を上ると山頂がありました。

さらに進んで西山峠の先には、これまた力作の木彫りの竜が現われました。そして出ました、南高尾山稜名物・ザック掛け。このような設備をほかの山で見たことがないのですが、「ここに重たいザックを掛けて、休んでいって下さいね」というあたたかい心遣いを感じます。ザック掛けはこの先も何カ所か設置されていました。また、このルートはベンチがとても多く、数えてみたら登山口から大垂水峠までの間に23カ所もありました。もう休憩し放題です。

龍の広場
西山峠の近く、龍の広場には手作りのテーブルとベンチ、ザック掛けがある
セブンサミッツ4つ目の入沢山(いりさわやま、490m)へは、テーブルとベンチのある辺りの分岐を右へ登って行きます。山頂は展望が開け、テーブルとベンチがあってくつろげる、ランチ休憩にぴったりの場所でした。山頂からは来た道を戻って縦走路に合流します。
入沢山の山頂
ランチ休憩にぴったりの入沢山の山頂。「天空のレストラン」の看板がある
見晴台のベンチからの丹沢の山々と津久井湖
見晴台のベンチから。正面に丹沢の山々、津久井湖の向こうに見えるはずの富士山は雲の中

セブンサミッツ5つ目の中沢山(なかざわやま、494m)は縦走路から右へわずかに登ったところで、穏やかな顔の観音像が立っていました。

最後の大洞山(おおぼらやま、536m)から先はベンチがなくなるので、その手前で眺めのいい金毘羅山(こんぴらやま、515m)で小休止することにしました。セブンサミッツ6つ目のピークです。ベンチに座ると、木々の間から高尾山山頂辺りが見えました。あそこまであと1~2時間で着くと思ったらちょっと元気が出ました。よしがんばるぞ。

金毘羅山のベンチとザック掛け
金毘羅山のベンチとザック掛け
落葉樹の道
小雪の舞う中、明るい落葉樹の道を歩く

セブンサミッツ最後にして最高峰の大洞山を過ぎると急な下りになり、下りきったところが大垂水峠で、セブンサミッツひとまず完登です。あとはハートの仕上げ、高尾山へ向かいます。

車の行き交う道路を陸橋で渡り、ゆるやかに山腹を巻く「学習の歩道」を通って大弛峠分岐へ出ると、そこはもう奥高尾縦走のメインルート。これまでの静かな森が一変してにぎやかになりました。

タチツボスミレ
カントウカンアオイの花
今季初めて見たタチツボスミレと、道中いくつか見つけたカントウカンアオイの花

高尾山山頂に着いた頃、雪が本格的に降り出しました。屋根のあるベンチは人でいっぱい。こんな天気でも山頂標識には記念写真を撮る人が絶えなくて、さすが高尾山です。木陰のベンチで雨具を着込みながら持参のおにぎりを食べ、下山することにしました。

にぎやかな1号路を歩いている間に、ササやアオキの葉の上、冬枯れの樹の枝にも雪が降り積もっていきました。「見て、きれい」という人の声に振り向くと、景色はすっかり冬の顔をしていました。

雪の薬王院
雪の薬王院
天狗焼
「天狗焼」は黒豆のあんこが絶品

途中ケーブルカー高尾山駅では「天狗焼」を並ばずに買うことができてラッキー! 外はカリッと、中はほくほくの甘すぎない黒豆あん。温かい天狗焼を食べながら雪の1号路を歩いた時間は、かなり幸せでした。

快調に歩いて高尾山口駅へ戻り、無事、ハートルートが完成しました。 南高尾山稜セブンサミッツに加えて高尾山、それにセブンサミッツにカウントされないルート上の東山や高岩山なども加えるとテンサミッツくらいになりそうです。たっぷり歩いて雪の降る景色も楽しんで、充実したハイキングでした。

(山行日程=2025年3月8日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 6時間45分
行程:高尾山口駅・・・四辻・・・紅葉台分岐・・・草戸峠・・・草戸山・・・三沢峠・・・西山峠・・・中沢山・・・中沢峠・・・大洞山・・・大垂水峠・・・大垂水峠分岐・・・高尾山・・・高尾山駅・・・金比羅台・・・高尾山口駅
総歩行距離:約15,900m
累積標高差:上り 約1,263m 下り 約1,263m
コース定数:30

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ケロケロさん(読者レポーター)

ケロケロさん(読者レポーター)

散歩をするように山を歩いて、木々や草花の折々の姿や、生き物との偶然の出会いを楽しみたい。双眼鏡をぶらさげて、関東近郊の山をのんびり歩いています。

この記事に登場する山

東京都 / 奥多摩

高尾山 標高 599m

 関東の三霊山の1つ、薬王院有喜寺がある。天平16年(744)奈良期の高僧行基が開山したと伝えられている。高尾山頂は有喜寺からさらに登った所にある。山頂の三角点のかたわらに十三州見晴台の標識がある。  山麓には高尾自然科学博物館があり、山中の動植物の標本の展示がある。また山頂に向かうケーブルカーとリフトがあるが、低い山なので歩いて登りたい。1号から6号の自然歩道があり、山の自然を観察することができる。山頂から冬の晴れた日には相模湾に浮かぶ江ノ島まで見渡すことができる。  山頂から西に山稜をたどり、一丁平、城山、小仏峠を経て景信山、陣馬山へと足を延ばす登山者が多い。高尾山一帯は有喜寺の境内だが、開発で一部の自然が破壊されつつある。  高尾山口駅から薬王院有喜寺―高尾山―城山―小仏峠を経由して高尾駅まで約4時間。

東京都 神奈川県 /

草戸山 標高 364m

ハイカーで賑わう高尾山の南側に位置する山で、登山口は高尾山と同じだが、こちらは静かな山旅が楽しめる。 山頂からは丹沢の山並みや、眼下の城山湖が美しい。

東京都 神奈川県 /

中沢山 標高 494m

津久井湖城山公園から津久井湖を隔てた北岸に広がる南高尾兵陵にある山。山頂からの展望はないが、立派な観音菩薩像が鎮座している。 展望は、山頂近くのビューポイントからが良く、眼下には津久井湖と道志橋、前面に石老山、後方には大山から丹沢山塊の山並みがパノラマとなって広がる。また、大室山の背後には富士山も顔を出している。

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