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トレッキングでヨーロッパ各国の最高峰に登ろう! ポルトガル、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア編

世界の山旅・絶景への誘い
ガイド・記録 2018年06月04日

「大陸最高峰」の登頂となると、相当の技術・経験・体力が求められるが、「各国最高峰」を目指すのなら、山を選べば決して難しくはない。ヨーロッパにある意外な国の意外な最高峰を目指す「ヨーロッパ10サミッター」、今回はポルトガル、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリアの最高峰を紹介。

 

隣のファイアル島から眺めると孤島に浮かぶ富士山のように見える、ポルトガルの最高峰・ピコ山

 

ヨーロッパは現在、約50の国から形成されています。ヨーロッパの山といえばマッターホルン(4,478m)やモンブラン(4,810m)を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、両山とも雪山の技術やスピードを求められるため、夏山装備で気軽に登頂できる山ではありません。

そこで紹介するのは、無理なく登れるヨーロッパの各国最高峰です。特別な登山技術を必要としない、オススメの名山10座を、順番に紹介していきます。

★前回記事:ヨーロッパ10サミッターを目指せ! スペイン、イギリス、アルバニアの最高峰

第2回となる今回は、ポルトガルのピコ山(2,351m)、ボスニア・ヘルツェゴビナのマグリッチ(2,386m)、そしてブルガリアのムサラ(2,925m)の3山を紹介。3000mには満たない山々ですが、そこは国を代表する名山、どれも魅力的な山々です。

 

孤島に浮かぶ絶海の富士山+槍ヶ岳 ポルトガル最高峰ピコ山(2,351m)

アゾレス諸島はポルトガル本土から西に約1,500Km離れた大西洋上に浮かぶ絶海の群島で、9つの島から形成されています。まだまだ日本では紹介される機会も少ないですが、江戸時代に日本から持ち込まれたとされる杉やアジサイが植えられていたり、ヨーロッパ唯一の茶畑があったり、近海で捕れたマグロが日本に輸出されていたりと随所に日本との関りが見られることが特徴です。

ヨーロッパ大陸から西にはるか1500km沖に浮かぶアゾレス諸島にポルトガル最高峰はそびえる

 

火山で形成された島のため、温泉も湧いています。最大の島サン・ミゲル島のテラ・ノストラ公園には約100m四方の大きな温泉があり、そこは深さが150㎝程度もある茶褐色をしています。

最高峰のピコ山はピコ島にあり、西隣のファイアル島から眺めると、まるで「礼文島から眺める利尻山」を彷彿とさせる山容をしています。6月~8月はアゾレスの各島にアジサイが咲き誇り、紺碧の大海とのコントラストが素晴らしい場所です。

アクセスは西隣のファイアル島から船でアプローチします。船上からのピコ山の雄姿がぐんぐんと近づいてきて登頂の意欲が高まります。まるで島全体がピコ山と見まがう大きさで、コニーデ型の美しい山容は「アゾレス富士」と名付けたくなります。

ピコ山は山中に山小屋がないため日帰りで登ります。朝早く麓の町を出発し、標高1,250mの登山口へ。ここから標高差約1,100mを一挙に往復します。

歩きはじめから溶岩帯がひたすら続き、山頂まで登りっぱなしです。明確な登山道はありませんが、所々に番号の付いた柱が立っており、それを目印にしながら歩けば迷うことはありません。

この山の面白いところは山頂部にあります。突然、火口が現れ、中心部に溶岩ドームの山頂が鎮座しています。溶岩ドームの形状がとても魅力的で、「おー!」という感嘆詞が飛び交います。

山頂に近づくと、槍ヶ岳のような鋭峰が現れる。これは溶岩ドームだ

 

溶岩ドームは、まるで槍ヶ岳のように尖っていて、さらに登頂意欲を掻き立てます。槍ヶ岳のように梯子などの人工物はありませんが、所々で手を使いながら登ると辿り着く山頂からは、文句なしの絶景が待っています。

 

ハート型の湖と荒々しい岩峰が印象的 ボスニア・ヘルツェゴビナ最高峰マグリッチ(2,386m)

旧ユーゴスラビアの中心的な国だったボスニア・ヘルツェゴビナは、内戦終結から20数年が経過しました。現在では治安も落ち着き、首都のサラエボや世界遺産の街モスタルなどは多くの観光客が訪れています。エキゾチックかつどこか哀愁漂うボスニア・ヘルツェゴビナの街は、他に類を見ない独特な雰囲気を醸し出しています。

モンテネグロとの国境にほど近い、ボスニア・ヘルツェゴビナの最高峰マグリッチ(Maglić)

また、近年同国では貴重な原生林や、風光明媚な山岳地帯が注目を浴びはじめ、ヨーロッパのトレッカーが訪れるようになっています。その中でも見事な石灰岩のアーチが印象的なドリナカ峰や最高峰マグリッチの雄々しい岩稜帯は、登山愛好家であれば心惹かれるフィールドとなっています。

ボスニア・ヘルツェゴビナ最高峰マグリッチの荒々しい岩峰

 

マグリッチ山中には山小屋がなく、ティエンステの村外れの森から山頂を日帰りで往復するか、ハート型の湖トルノヴァチコ湖を経由する周遊コースが一般的です。マグリッチの山頂までは所々手を使う岩場が連続します。下山後に飲むボスニア・コーヒーは絶品ですので機会があればぜひ訪れてみてください。

マグリッチと共に人気が高いのが、石灰岩のアーチ(ハイドチカ・ヴラタ)のあるドリナカ峰

 

ヨーロッパのトレッカーに大人気 ブルガリア最高峰ムサラ(2,925m)

ブルガリはギリシアやトルコと隣接するバルカン半島に位置する人口約700万人の小国です。日本人にとっては「ヨーグルト」が有名で、次に「バラ」のイメージが先行しがちですが、実はアウトドアスポーツが盛んな国。特にトレッキングや登山は若者に大変人気があります。彼らの多くは日本人トレッカーに対して興味があるようで、トレイルで出会うと笑顔で声をかけてくれる様子がとても印象的でした。

ブルガリアの最高峰ムサラ(2,925m)はバルカン半島の最高峰でもある山です。標高こそ3000mに満たない山ですが、山容や山頂からの眺望は抜群で、バルカンの王者たる貫禄があります。

バルカン半島の最高峰でもある、ブルガリアのムサラ山

登山はゴンドラで標高2,369mまで上がり、日帰りで往復します。前半は緩やかなトレイルを歩きますが、山頂直下はザレ場の登りが続きます。日本の北アルプスを彷彿とさせ、親しみの持てる景観が広がっています。山頂はいつも多くの登山者で賑わっており、リラ山脈の展望を楽しむことができます。

ブルガリア最高峰ムサラに向かって歩く。どこか日本の北アルプスの風景を彷彿とさせる

 

国内第2の高峰ビフレン(1,960m)も魅力的な山で、山全体が大理石で形成された名山です。山頂には隣国ギリシア最高峰であるオリンポスと同標高のケルン支柱があります。両国で高度を競い合っており、登頂者の多くはその支柱に石を積むという興味深い習慣があります。

ブルガリア第2位、山全体が大理石の山・ビフレンも大人気の山のひとつ

 

次回はスウェーデン最高峰ケブネカイセ、ノルウェー最高峰ガルホピッケン、ポーランド最高峰リシイ山、ギリシア最高峰オリンポス山を紹介します。

 

海外
教えてくれた人

寺井 信之

アルパインツアーサービス株式会社/本社営業部
30歳で大手旅行会社より登山・トレッキング専門の同社へ。体育会系でならした体力を活かし年間100日以上ツアーリーダーとして世界の山旅を案内している。
現在は各国最高峰を中心に世界中の山を担当。公私ともに「山」が中心とした生活を送る。趣味は銭湯めぐりで都内を中心に200以上の銭湯を制覇している。

アルパインツアーサービス株式会社

マッターホルン北壁の日本人初登攀を成し遂げた芳野満彦(アルパインツアー元会長)が、1969年に日本で初めてヨーロッパ・アルプスへのハイキング・ツアーを実施して以来、約半世紀にわたり、世界中の山岳辺境地の山旅を企画、実施してきた。「トレッキング」という言葉を日本に定着させた、世界の山旅のパイオニア的存在。

⇒アルパインツアーサービス

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