北アルプス望む低山! 京ヶ倉の岩と絶景ルート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

読者レポーターより登山レポをお届けします。今井良子さんは長野県生坂村(いくさかむら)の京ヶ倉(きょうがくら、990m)へ。

文・写真=今井良子


長野県生坂村の最高峰である京ヶ倉から、大城(おおじょう)を経由するトレッキングツアーに妹と一緒に参加したので紹介します。

京ヶ倉はハシゴやロープなどが連続する登りごたえのある山で地元では人気があります。毎年、生坂村主催でトレッキングツアーが開催されていて、私達は今回で2回目の参加になります。4つの班に分かれ、私達の班は6名とガイドさん3名のパーティです。

このルートは別の登山口に下山するため個人で行く場合はそこがやや難儀です。今日はありがたいことにマイクロバスの送迎付きです。やまなみ荘という温泉施設付近が集合場所で、8時30分に出発式をしてバスに乗り込みます。5分ほどでバスを降り、獣避けゲートを開け、万平(まんだいら)登山口に到着しました。簡易トイレもあります。

京ヶ倉 万平登山口
すでに7台ほど車が止まっている万平登山口

ここで準備体操をして出発すると、すぐにチゴユリが迎えてくれました。まだつぼみです。

チゴユリ
チゴユリ

スミレとフデリンドウもちらほら顔を出しています。

スミレ
スミレは種類がたくさんあってなんというスミレなのかわかりません
フデリンドウ
フデリンドウ

しばらくするとガイドさんの無線から、「おとといの地震の影響で落石あり。注意して登ってきてください」と声が聞こえました。4月18日夜、この辺りは震度4だったので影響があったのですね。

急登になってきたあたりで落石箇所に着きました。登山道には大きな石がゴロンと転がっていました。縦だったものが横になった、という感じでしたが、歩くには支障なく通行できました。

京ヶ倉 地震による落石
地震による落石

落石を避けて進んでいくと白い花が目に留まりました。崖のような岩場に生えています。透き通るようなクリーム色でとても綺麗です。これがヒカゲツツジですね。コースマップに載っていたのですがまさか今日お目にかかれるとは思っていませんでした。ちょうど見頃の時期に来れてラッキーでした。

ヒカゲツツジ
ブーケのようなヒカゲツツジ

おおこば見晴らし台の手前からはハシゴとロープがでてきます。

京ヶ倉 ハシゴとロープ
しっかりした橋がかけられていて安心
京ヶ倉 ハシゴとロープ
ここはロープがありますが使わずに登れます

もう一つハシゴを登るとおおこば見晴らし台に到着。見晴らし台からは北アルプスが見えました。少し霞んでいましたが、たっぷり残雪が残る常念岳と大天井岳が見えています。

京ヶ倉 おおこば見晴らし台からの眺め
おおこば見晴らし台からの眺め

ここからはヒカゲツツジ群生地になり、急登をハシゴとロープで進んでいくとリスの食痕と思われるものがありました。

京ヶ倉 リスの食痕と思われるもの
松ぼっくりなどを食べた跡

残念ながらリスの姿は見れませんでした。

尾根に出ると本日の山場である馬の背です。ここからはいい景色が広がっていました。大きく蛇行した犀川(さいがわ)と、その向こうにそびえる北アルプス。欲を言えば青空が欲しいところですね。

京ヶ倉 馬の背からの眺め
馬の背からの眺め

私の記憶では馬の背は鎖だったのですがロープに変わっていました。昨年秋の整備で交換したそうです。

京ヶ倉 馬の背
マツの木で高度感が少し和らぎました

1人ずつ慎重に渡ります。ヘルメットを持参しましたが結局使わずに渡りました。全員無事に馬の背を越え、ひと安心しました。もうじき山頂です。

京ヶ倉
この岩を登れば山頂!

よじ登るというのはただ歩いているのとは違って、全身に力が入って気持ちがいいですね。

京ヶ倉山頂
京ヶ倉山頂到着

山頂からの眺めはあまり開放的ではなかったですが、ここでみんなで集合写真を撮りました。小休止してから大城へ向かいます。またまたロープが続きます。ロープを使っての下りは足を置く場所がよく見えないので一歩一歩確認しながら慎重に。

京ヶ倉 ロープを使っての下り
ロープを使いながら逆の向きで下ります

京ヶ倉から30分ほどで大城に到着しお昼休憩にしました。暑くもなく寒くもなく風もほとんどなく、快適に休憩できました。

ここからは林の尾根道を下っていきます。東側には冠着山(かむりきやま)や四阿屋山(あずまやさん)などの里山が見えました。名前は聞いたことがありますが、未踏の山々です。

奥の左のとんがりが冠着山
奥の左のとんがりが冠着山

眠(ねむり)峠から下山口に向かう途中、サクラの倒木があり、驚くことに満開に咲いていました。生きているのか死んでいるのか……来年も咲くのか気になります。

倒木のサクラ
倒木でも満開

道路が見えてきて眠峠登山口に無事下山しました。一同達成感でいっぱいでハイタッチをして喜びました。今日初めて会った仲間ですが、一体感が生まれたうれしい瞬間でした。実は、初めてこの山に登った時はもう途中で帰りたい気持ちでいっぱいでした。しかし今日はみなさんと楽しく登ることができました。

眠峠登山口
無事下山

車道にはヒトリシズカが待っていてくれました。

ヒトリシズカ
ヒトリシズカ

こちら側にもゲートがあります。すでにマイクロバスが待っていて集合場所まで送ってもらえました。アンケートに記入し、お土産を受け取り、やまなみ荘で温泉に入りさっぱりしてから帰宅の途に就きました。

トレッキングツアーのお土産
京ヶ倉の標識と自分を撮影すると道の駅でこのマフラータオルがもらえます

お土産の灰焼きおやきはビッグサイズで、皮が硬いのですが、これが意外と癖になるおやきです。お腹も心も満腹の一日でした。

(山行日程=2025年4月20日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間20分
行程:万平駐車場・・・稜線・・・京ヶ倉・・・大城・・・はぎの尾峠・・・登山口
総歩行距離:約5,100m
累積標高差:上り 約465m 下り 約545m
コース定数:12
今井良子(読者レポーター)

今井良子(読者レポーター)

長野県在住。山の中で育ったせいか森が好き。そして歩くことが好き。ケモノは怖いのでいつもドキドキしながら里山や街道歩きを楽しんでいる。

この記事に登場する山

長野県 /

京ヶ倉 標高 990m

長野県生坂村にある山。標高は1000mに満たないものの、荒々しい岩峰と雄大な山容を持ち、登山道も難易度が高く登りがいのある山。山頂からの展望がよく、北アルプスの山々が眼前に広がり、眼下には蛇行する犀川の流れが美しい。 戦国時代は丸山氏(仁科一族)が山上に城を築いた場所でかつての山城跡も残る。 山頂付近の登山道は特に険しく、慎重に進む必要がある箇所も多い。

プロフィール

山と溪谷オンライン読者レポーター

全国の山と溪谷オンライン読者から選ばれた山好きのレポーター。各地の登山レポやギアレビューを紹介中。

山と溪谷オンライン読者レポート

山と溪谷オンライン読者による、全国各地の登山レポートや、登山道具レビュー。

編集部おすすめ記事