火山の絶景と神話の地を歩く霧島登山

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読者レポーターよりゴールデンウィークの登山レポをお届けします。なおさんは霧島山(きりしまやま)の最高峰・韓国岳(からくにだけ、1700m)を訪ねた後で車移動で高千穂峰(たかちほのみね、1573m)にも登り、霧島山を満喫したそうです。

文・写真=なお

まずは最高峰の韓国岳をめざす

ゴールデンウィークに霧島山へ行き、韓国岳と高千穂峰に登りました。霧島山は宮崎県と鹿児島県の境にある火山群の総称で、「霧島錦江湾国立公園」の一部です。

2025年4月2日に霧島山の一つ、新燃岳(しんもえだけ)の噴火警戒レベルがレベル2からレベル3の入山規制に引き上げられ、立入禁止の区域があります。韓国岳から高千穂峰は縦走ルートがありますが、現在は利用できないため、韓国岳、高千穂峰の間は車で移動しました。

早朝4時に熊本市内を出発し、6時前にえびの高原第一駐車場に到着。近くにはきれいなお手洗いや、「えびのエコミュージアムセンター」というビジターセンターがありました。

えびのエコミュージアムセンターと韓国岳
えびのエコミュージアムセンターと韓国岳

駐車場のすぐそばにある韓国岳登山口より、登山を開始しました。最初はコンクリートの道を進んでいきます。

韓国岳登山口
韓国岳登山口

少し歩くと登山道になりますが、整備されていて非常に歩きやすいです。山というより、庭園や公園を歩いている気分になりました。

韓国岳の登山道
韓国岳の登山道

九州では霧島でしか見ることのできない、キリシマミズキが咲いていました。

キリシマミズキ
キリシマミズキ

途中、硫黄山(いおうやま)火口展望所があります。硫黄山からはガスが噴出しており、硫黄の香りが漂っていました。また、このあたりから早くも視界が開けてきて、奥の方の山々がきれいに見られます。

ガスが噴出する硫黄山
ガスが噴出する硫黄山

道端には、オオカメノキというアジサイに似た白い花が咲いていました。

オオカメノキ
オオカメノキ

登山道には、何合目の標識が200mくらいの間隔で置かれています。標識の間の距離が短く、急登や難所もないので、さくさく登れている気分になります。

登山開始から約1時間、7時過ぎに五合目に到着しました。

韓国岳 五合目
五合目

五合目には、休憩所が設けられていました。

韓国岳登山道休憩所

山頂をめざし、岩の道を進みます。

韓国岳の登山道
韓国岳の登山道

山頂に近くなると、韓国岳爆裂火口が現われました。直径約900mもあるそうです。

韓国岳爆裂火口
韓国岳爆裂火口

進行方向右手には、大浪(おおなみの)池、そしてその先に桜島が見えました。韓国岳登山口とは別に大浪池登山口があり、40分ほどで登れるようです。韓国岳山頂付近から大浪池に下りる道もあります。

韓国岳 大浪池
大浪池

山頂の手前までたどり着きました。

韓国岳山頂の手前
韓国岳山頂の手前

この急登を登った先に山頂があります。

韓国岳 山頂手前の急登
山頂手前の急登

7時半過ぎ、霧島山の最高峰・韓国岳に登頂しました!

韓国岳山頂
韓国岳山頂

新燃岳と高千穂峰が眺められます。新燃岳は、所々でガスが湧き出ています。高千穂峰の山容がとてもかっこよく、惚れ惚れします。いつか縦走路を歩いてみたいです。

新燃岳と高千穂峰
新燃岳と高千穂峰

山頂で少し休憩をした後、ピストンで韓国岳登山口まで下山しました。

下山後、えびのエコミュージアムセンターで霧島山について学び、手ぬぐいやステッカーを購入。スタッフの方に、高千穂河原への車道の一部が立入禁止となっており、遠回りが必要であることを教えてもらいました。

NEXT 車で移動して高千穂峰へ

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 2時間40分
行程:えびの高原・・・韓国岳・・・えびの高原
総歩行距離:約4,800m
累積標高差:上り 約521m 下り 約521m
コース定数:12
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この記事に登場する山

宮崎県 鹿児島県 / 九州南部

霧島山・韓国岳 標高 1,700m

 鹿児島・宮崎両県にまたがり、霧島火山群の最高峰。コニーデ火山である。山頂には直径900m、深さ279mの大きな火口があるが、火口壁の北西部が爆発の際崩壊し、火口湖はない。地図上では馬蹄形をなし、最高点は壁の南端にある。  韓国岳の名の由来は、古事記に「韓国に向ひ笠沙の御前を真来通りて…」とあり、遠くに韓国を見ることができるということから、つけられたといわれる。  硫黄山の西山麓えびの高原の北面は高原状で、一帯には不動池、六観音池、白紫池などの湖や、白鳥山、甑岳が並ぶ。  周囲を巡る自然深勝路も拓かれ、散策にも最適。アカマツやカエデ、ナラの自然林や甑岳東面のモミ、ツガ、アカマツの原生林は約30万haにわたって、国の天然記念物にも指定されたほど。学術的な価値も高い。  また、硫黄山からえびの高原へ流れる小川の水は温かく、夏は天然の露天風呂に早変わりする。周囲にはキャンプ場やレクリエーション施設も整い、キャンパーやハイカーに人気が高い。  東部の火口は琵琶池となり、直径約400m、東半分は水深2mと浅く渇水期には干上がる。山体は輝石安山岩の溶岩からなり、付近には凝灰角礫岩が分布する。  山麓はモミ、ツガ、アカマツなどの針葉樹のほか、落葉樹を含む混交林で、南九州唯一の紅葉景観が広がる。中腹以上はススキ、ミヤマキリシマの群落、ヤシャブシ、ウツギなどの灌木林や草原を形成する。展望は抜群、南に高千穂峰を含み、さながらクレーターを散りばめた月の表面を思わせる。奥には錦江湾に浮かぶ桜島、高隈山地、開聞岳、東に宮崎市、北に熊本県境、さらに九州山地南部の山々と飽くことはない。  登山口えびの高原は、ススキの穂や茎が、硫黄山の亜硫酸ガスで赤褐色に変色し、「海老」をゆでたような色に見えるため、この名が付いたという。  登山道は、えびの側からが硫黄山を経て1時間30分。大浪登山口からは霧島全山が見渡せる大浪火口壁最高点を経て2時間強。なお韓国、大浪池鞍部からえびの高原までは2時間30分。このコースは、野鳥のさえずりを聞きながらたどる樹間のプロムナードだ。えびの高原に点在する池巡りは2時間30分ほど。なかでも冬季に結氷する白紫池は、天然のスケートリンクとして有名だ。不動池から甑岳への往復は1時間30分。 <火山情報>  霧島山群は火山帯であり、北西部には寄生火山である硫黄山、南には新燃岳、御鉢があり、2000年代に入っても活発な活動が見られる。

宮崎県 / 九州南部 霧島連峰

霧島山・高千穂峰 標高 1,573m

 高千穂峰は霧島火山群の東端にあって、盟主のように美しく、気高い山容。所在は宮崎県内の都城市、西諸県郡高原町(たかはるちょう)の境界にある。西山腹にくっついた格好の御鉢は火口部分から西が鹿児島県で、姶良郡霧島町(現・霧島市)内にある。御鉢の北面は小林市に含まれる。  秀麗な姿の高千穂峰は、東に二子石、西に御鉢を山腹で合体させ、三角錐の山頂に「天の逆鉾」が天から突き刺さった形で立っており、長さ140cmの柄の部分には2つの人面が鋳造されている。山頂小屋は石橋老人の経営で、親子2代で登山者の世話をしている。  御鉢の火口縁の一部は「馬ノ背」と呼ばれ、坂本龍馬がお龍さんと山頂を目指したが、そこから引き返したという伝説がある。  二子石は実は3つの巌頭だが、ふもとから仰ぐと、2つにしか見えないところからそう呼ばれる。  東山麓には、御池、小池、霧島東神社(秡川)、狭野神社、皇子原がある。皇子原にはレジャー施設が整備されつつある。西山麓には高千穂河原の諸施設やキャンプ場がある。  登山道は東西南北からあり、山頂まで2~3時間。ミヤマキリシマの鑑賞は御鉢西斜面が最適。 <火山情報>  霧島山群は火山帯であり、北西部には寄生火山である硫黄山、南には新燃岳、御鉢があり、2000年代に入っても活発な活動が見られる。

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