味にもコスパにもこだわりたい! フリーズドライ山飯実食レビュー①

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山数ある山飯、買う時に失敗したくない! 日頃は山行のために節約している登山者向け。ここぞというときはα米やフリーズドライ食品を購入する人は多いのではないでしょうか。編集部の実食で山飯をレポートします。第1回目はカレーライス。

写真=西村 健 文=丸山瑞貴


最近は、高山でも結構暑い。平地は身の危険を感じるレベルで暑い。こんなに暑いと食欲が減退してしまうけれど、私が山に行くときに楽しみにしているのは、食事。山ではたくさん歩くから、食欲モリモリだ。登山をするときはテント泊が多くだいたい山に食材を持ち込んで調理している。ちょっと重くても、食べたいものを安く購入して山で調理して食べることが多い。その理由は、「値段は安く、好きな料理を食べたい」からだ。

西村:現代の登山者でフリーズドライのお世話になってない人がいるとは信じがたい。まさか生野菜と生米、ペミカンで大学山岳部のときから登り続けてきたの?

丸山:学生のときは、無雪期は夏山では生野菜と生米でした。積雪期は食材をフリーズドライにできる機械をお借りして、自家製フリーズドライを作っていました。なのでフリーズドライのお世話になったことはたくさんあります。おいしかったな。

西村:自家製フリーズドライの話、気になります。

丸山:たしかに、自家製フリーズドライって、珍しいかもしれませんね。次回お話します!

食事は好きなので、山道具屋の山飯コーナーはよく見る。でも、「野菜や肉とかを買ってきて、家にある調味料を持っていけば、山飯を購入しなくてもいっか」という考えが湧いてきて、あまり買ったことはなかった。この山飯の企画を提案したときに、「なにか記事にするなら市販のものを買ってもいいよ」と西村編集長。そこで、(昼食代を浮かせたいという下心はないですよ。)役立つ記事を作ろうという思いで第1回をスタート。

先日、会社の近くの石井スポーツ登山本店で尾西の「100g尾西の赤飯」とアマノフーズの「ひきわり豆のトマトカレー」を購入して、さっそく食べてみる。初回でおめでたいので赤飯にした。あとは、暑い日でも一口食べると食欲が湧いてくることが多いからという理由でおかずはカレーをセレクト。

西村:え、カレーなのに赤飯!? 丸山さんのチョイスに愕然としています。人生で初めての経験かも。栃木県や茨城県西部の「しもつかれ」は赤飯にのせて食べるというヘンテコ郷土料理として有名だけど、カレーは初体験。丸山さんはカレーといえば赤飯なの?

丸山:赤飯を選んだのは、白米より赤飯のほうがおいしそうだなと思ったからです。そういえば、赤飯にカレーをかけて食べるのは今日が初めてです。それより、「シモツカレ」って初めて聞きました。

西村:「しもつかれ」はねぇ、見た目がなかなかすごいんですよ。僕は両親が茨城県西部出身で、子どものころから食べてるから平気だけど。ともかく、ここは丸山さんのセンスを信じて食べてみようか‥‥‥。

尾西の赤飯とアマノフーズのひきわり豆のトマトカレー

赤飯を開封。中から出てきたものとは‥‥‥

尾西の赤飯

尾西の米の袋を開けると、

尾西の赤飯と、中に入っていたスプーン、食塩、脱酸素剤

スプーン、食塩、脱酸素剤が入っていた。赤飯だからごま塩なのかなと思ったけれど、ごまはついてないようだ。赤飯にはごま塩派の方は、黒ごま持参がおすすめ! 

西村:食塩が入っていることに驚いた! 丸山さんはもっと驚かないの? そして、せっかくならごま塩がいいよね~。尾西さん期待してます!

丸山:食塩は赤飯には欠かせないと思うので、ついていて超ラッキー!と思いました。

西村:ああ、ポーカーフェイスなのね。

山に持っていくときは、開封したパッケージ上部と脱酸素剤はごみになるので、あらかじめ取り出しておくのがよいと思った。スプーンを持参するなら、付属品のさじは山で使わないので置いていきたい。調理方法は、パックに110mlのお湯を注ぐだけ。

山ではお湯を沸かして入れるが、今回作ったのは会社。社内は火気厳禁で火おこしはできないので(意外かもしれませんが山と溪谷社のオフィスは都会のビルの22階です)、90度のお湯をテルモスから注ぎ、15分待ちます。これは、高山ではお湯の沸点が低くなったり、ガス節約のために100度まで沸騰させないことが多いだろうということを想定して、90度のお湯を注ぐことにしました。

まるで麩のような軽さ。本当にカレーになるのか!?

アマノフーズのひきわり豆のトマトカレー

カレーなのに、とても小さくて軽い。これを買えば、1人分のカレーの材料の5分の1以下の軽さ。カレーなのに軽量化できる夢の山飯。まるで麩。いや、麩よりも軽い。パッケージでは具材がゴロゴロ入っているように見えるが、この軽い四角形に野菜は本当に入っているのか? ほんとにとろみのあるカレーになるのか? 半信半疑だ。

カレーにお湯を注ぐ

調理方法は、中身を器に移して、150mlのお湯を注いでかきまぜるだけ。これをカレーの調理と言ってよいのだろうかというくらい楽。

そして完成。写真やテキストでは伝えられないこの香り……

完成した赤飯とカレー

お湯を注いでかきまぜて待つだけでおいしそうなカレーライスが完成した。持ち運びは軽いし、山行で疲れたときに調理が楽なのはとてもありがたいと思う。 赤飯はお茶碗大盛り一杯分ができた。半信半疑だったカレーは、いい香りで具材のゴロゴロ感も見た目にはある。しかもスープカレーぽくなるのかなと思いきや、とろみもあって驚き。

いざ実食!

もち米の味と食感で赤飯の味がする!おいしい。パッケージの裏側を見てみると原材料はきちんともち米。付属の塩をかけるとよりおいしかった。

西村:「赤飯食べて赤飯の味がする」って、コメントが当たり前すぎて驚いたわ!

丸山:市販の買いたてのものはやはりすごいですね。というのも、α米に関しては大容量の炊き出しα米を開封して、それを小分けにして持っていき、家の棚のにおいがついたα米を食べることが多かったもので‥‥‥。

西村:比較の対象がひどすぎるな。フリーズドライ食品を「市販の買いたて」って表現する人を初めて見たわ。でも、やっぱりうまいねぇ。

カレーは、お湯を注いだだけでできただけとは思えない、とろみも具材も入っている普通のカレーになった。平地のホテルの朝食バイキングにあったら絶対おかわりする味。疲れたときも食欲がわいてくると思う。野菜はしっかり形がでてきて、特に煮豆の重量感や食感が再現されているのに感動した。インスタント感がない。アマノフーズのカレー、スゴイ。カレーと赤飯を一緒に食べると赤飯の味は分からなくなったので、やや赤飯に申し訳ないことをしたなと思った。次からはカレーのときは白米にしよう。

ボリュームは……

例えば、テント泊装備で北アルプスを合計5時間歩いたと考えると、私の消費カロリーは2500kcal以上。行動食を食べることを想定しても、この献立(合計545kcal)では足りないというのが正直な感想。おかわりが必要だ。もしくは、朝食メニューならちょうどいい。

がんばりたい山行で1gでも軽くしたいときや、計画を立てたら1日の行動時間が長くて、行動後に料理をしたくない日は誰でもあると思う。そんなときに、お湯を注ぐだけでカレーライスができるα米とフリーズドライ食品はあなたの強い味方。フリーズドライカレーは山だけでなく、平地で忙しくて料理ができないなどの日常的エマージェンシーにも役立ちそう。そんな日がないのがいちばんだけれど。

西村:丸山さんは、去年は雑誌編集部だったよね。その時にフリーズドライの手軽さとうまさに気づいていたら、校了後にクタクタになったときはお世話になっていたかもね! それでも赤飯とカレーそれぞれ2人前食べると1,498円か……。

データとまとめ

赤飯 カレー
購入価格(税込) 393円 356円 749円
カロリー 353kcal 192kcal 545kcal
重量(パッケージの重さは含まない) 100g 36g 136g
1円あたりのカロリー 0.99kcal 0.54kcal 0.77kcal
使用するお湯の量 110ml 150ml 260ml

今回が初回だったので、赤飯+カレーの1食約750円、約550kcal、約150g(調理前)を基準に星で可視化。購入価格は安いほど、カロリーは高いほど、重量は軽いほど星が多くなる。

購入価格    ★★★☆☆
カロリーコスパ ★★★☆☆
重量コスパ   ★★★☆☆

次回は、チャーハンです! お湯を入れるだけ、炒めなくても炒飯はできるのでしょうか。

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