ロープウェイでらくらく行ける北アルプス・西穂高岳

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ビストロきっちょむ登山隊・興津剛さんによる登山レポート。今回は西穂高岳(にしほたかだけ、2909m)でテント泊。

文・写真=興津 剛


いやぁ〜お盆は雨でしたねぇ。お盆のお休み期間に入ったらずっと雨で、お盆が終わったらスカッと連日晴れて(笑)、山の予定が流れまくった日本中のみなさま、いかがお過ごしでしょうか?

ムカついてないですか? 大丈夫ですか? まぁそんな日もあるってことで、お仕事がんばってください♡

私もお盆の山の予定は一つ流れましたが、お盆最終日の予定は、なんとか予定通りに、西穂高岳に行ってきました!

今回も大好評の(?)ロープウェイで楽々シリーズ! 今年は山ブームが来ているのか、なかなか山小屋の予定が取れない!ってことで、今回はロープウェイ!からの、予約がいらないテント泊で西穂山荘に泊まって、北アルプスを満喫してきました!

新穂高ロープウェイ
新穂高ロープウェイ

西穂高岳&西穂山荘へは、ロープウェイでエントリーします! ロープウェイで上まで行っちゃって、そこから標高の高い「おいしいところ」から歩き出すのが、我々の夏山の基本スタイルです! 可能な限り文明に頼らず歩いて登る!という考えは、平成に置いてきました(笑)。ロープウェイは往復3,700円、荷物6kg以上は+600円なり。

新穂高ロープウェイ
わずか数分で雲の中へ

歩いて登ったら、汗だくになって数時間はかかるであろう道のりを、ロープウェイはたった数分で一気に登ってしまいます。なんででしょうか、歳をとればとるほどに、ロープウェイが好きになります(笑)。これはやっぱり……恋?

新穂高ロープウェイ 眺望デッキ
ロープウェイを降りると眺望デッキ

新穂高ロープウェイに乗ったのは3年ぶり。3年前には工事をしていた観光用のデッキなどが完成していて、たくさんの観光客の方でにぎわっていました。山をやらない人でも楽しめる仕組みって、とってもいいですね!

新穂高ロープウェイ 登山口
我々はいざ西穂山荘へ!

観光の方用の森を後にし、我々はいざ西穂山荘へ! ロープウェイ駅から西穂山荘までは、コースタイムで1時間半ほどです。

西穂山荘
西穂山荘のおすすめポイントその1!

西穂山荘のおすすめポイントその1は、重いテント装備で歩くのは、最初の1時間半だけ、ってところです。この区間だけ重い装備で頑張って歩けば、はい! もう西穂山荘に到着〜。

西穂山荘 テント場
本日の宿はこちら!

西穂山荘で受付を済ませたら、さっそく我が家を設営! 小屋から西穂高岳までは小さいアタックザックで登ればいいので、もう重い荷物を背負う必要はありません。多少ザックが重くても、1時間半くらいならがんばれちゃうでしょ? テント代は1名2000円なり。スペースに限りがあるので、土日は早めに到着することをおすすめします!

西穂山荘の生ビール
西穂山荘のおすすめポイントその2!

西穂山荘のおすすめポイントその2は、こちら、生ビーーールですっ! 小屋で飲めるのが生ビールか缶ビールかで、歩く馬力が50馬力ほど変動しますよね。西穂山荘は生ビールなので、それを思えば1時間半くらい喜んで歩けます♪

この日は1時間半だけ歩いて、そこからビール飲んでラーメンを食べたら終了です(笑)。

西穂山荘
2日目は3時出発!

2日目は2時に起床して、3時に出発して西穂高岳をめざしました。西穂高岳まではコースタイムで3時間ほどなので、そこまで急いで出なくてもいいんだけど、やっぱりどうせなら朝日の最高の時間を山の上で迎えたいから、真夜中に出発!

西穂高岳への登山道
真っ暗闇を進む

さすがに深夜3時だと、あたりは真っ暗! ヘッドライトの明かりを頼りに、岩岩の道を進んでいきます。この時の気温は10℃。暖かい生地の長袖を着ないと寒いほどでした。都心は夜でも30℃とかって言っているのに、山の上ってやっぱりすごい!

西穂高岳への登山道から明るくなってきた東の空を望む
東の空が明るくなってきたぞ!

4時半くらいになると、東の空が明るくなってきました。時間に余裕があるので、立ち止まって空を眺めつつ、ゆっくりと進みました。時間のゆとりは心のゆとり!

西穂高岳への登山道から焼岳と乗鞍岳を望む
世界が明るくなってきた!

登っているとどんどんと世界は明るくなってきて、後ろには焼岳と乗鞍岳が見えてきました! 西穂から見ると焼岳の存在感が半端じゃないっす! あぁ、生まれ変わったら焼岳になりたいぜっ!

西穂高岳 ピラミッドピーク(8峰)
ピラミッドピーク(8峰)に到着!

ねぇ知ってる?西穂高岳が1峰(主峰)、独標が11峰と、西穂高岳まで11つの峰があるんだよぉ。その中の8峰をピラミッドピークって言うんだって〜。なんでピラミッドっていうかと言うとね……やっぱり形がピラミッドぽいからじゃないかな!(当然すぎる予想)

西穂高岳への登山道から朝焼けの空を望む
ちょっとだけ世界がピンクに

5時10分、世界がちょっとだけピンク色になりました。雲がほとんどなかったので、激しく燃えはしなかったけど、こんな静かな朝焼けの空も、けっこう好きだなぁ。

朝焼けの焼岳
朝焼けの焼岳

焼岳や乗鞍岳に朝日が当たってきました! 朝焼けの焼岳、カッケーー!

西穂高岳への登山道
西穂高岳をめざして前進!

焼岳の朝焼けを満喫したら、主峰・西穂高岳をめざして、前進あるのみ! このルートは終始こんな感じの岩場が続きますので、ヘルメットの着用をお願いいたします。滑り止めのついたグローブがあると、重宝しますよ!

影西穂高岳
影西穂高岳

ふと気がつくと、背後にくっきりと影西穂! バッチリ三角で、これもまたかっこいいなぁ!

西穂高岳への登山道を振り返る
背後には歩いてきた峰々

独標から西穂高岳までは、めちゃくちゃ危ない!って箇所はありませんが、ずっと緊張を強いられる岩場が続きます。でもこんな岩場を歩けるのは、国内にはそんなにないから、アドレナリンがドバドバ出ちゃいますね!

西穂高岳 主峰
ついに主峰に到着!

西穂山荘を出て3時間ちょい! ほぼコースタイム通りで主峰・西穂高岳にたどり着きました! 大きく「主峰」がかっこいい!

西穂高岳山頂から見たジャンダルムと槍ヶ岳
山頂から見たジャンダルムと槍ヶ岳

西穂高岳の山頂からは、ジャンダルム(右)と槍ヶ岳が見えます。この日も何組かの熟達者たちがジャンダルムへと歩いて行きました。やっぱりジャンダルムは、日本で山に登る人の憧れですね!

西穂高岳 絶景を満喫しながら下山
絶景を満喫しながら下山

山頂からの景色を満喫したら、のんびりと下山しました。中央に小さい赤い屋根、わかりますか? あれがスタートした西穂山荘です。あんなに遠〜くに小さく見えるんですが、あそこからわずか3時間で、見えてる稜線を登ってここまで来れちゃうなんて、人間の足ってマジですごい! 

西穂高岳の全容
西穂高岳の全容

西穂山荘の方まで降りてきて撮った一枚。西穂高岳、久しぶりだったけど、岩登り、かなり楽しかったです!

帰り、のんびりとロープウェイ駅まで歩いていると、小学生になっているか、なっていないかくらいの小さな子ども連れのファミリーと、何組もすれ違いました。きっと丸山までだと思うけど、「あんなに小さい子どもまでこれちゃうのか!」って、西穂の懐の深さにびっくり。西穂高岳は通過点でジャンダルムに登って奥穂をめざす熟達者から、そんな小さな子どもまで、誰でも来られて、みんなが楽しい西穂高岳。本当に最高!

今度の休みにお天気がよかったら、絶景をゲットしにぜひ西穂へ行ってみてください!山をほとんど登ったことがなかったら、ロープウェイ駅まででもいいし、丸山まででもいいし。行ける人は独標でも、西穂高岳主峰でも。どこまで登ったとしても、どこでも最高に気持ちがいいこと、間違いなしですよ!

(山行日程=2025年8月17~18日)

MAP&DATA

高低図
最適日数:1泊2日
コースタイム:【1日目】1時間30分
【2日目】6時間50分
行程:【1日目】
西穂高口駅・・・西穂山荘
【2日目】
西穂山荘・・・西穂独標・・・西穂高岳・・・西穂独標・・・西穂山荘・・・西穂高口駅
総歩行距離:約7,755m
累積標高差:上り 約1,049m 下り 約1,049m
コース定数:28 

この記事に登場する山

長野県 岐阜県 / 飛騨山脈南部

西穂高岳 標高 2,909m

 穂高連峰の南端にあり、さらに南へ続く稜線は焼岳に至る。東側は上高地の谷を隔てて霞沢岳と向かい合い、西側は蒲田川の新穂高温泉を挟んで笠ヶ岳がすばらしい。  標高は3000mを切っているが、岩稜、お花畑、ハイマツと、高山帯の要素がそろっているので、北アルプスの入門コースとして人気がある。  この山から奥穂高岳への岩稜は北アルプスでも最も難しいコースで、初縦走は大正元年(1912)、鵜殿正雄が行っている。同じ年、辻村伊助は『スウイス日記』の中で「神河内ならぬ上高地は不快な所である」とその俗化を嘆いている。とはいえ昭和45年(1970)に新穂高温泉から千石尾根にロープウェイが架かり、登山が容易になった現在の山の賑わいと比べようもあるまい。  昭和42年(1967)には西穂高岳・独標で松本深志高校の生徒11人が落雷遭難を起こしている。低くても登りやすくても、アルプスは危険と紙一重の山なのである。  千石尾根が主稜線に突き上げた森林限界に西穂山荘が建っている。  登山道は上高地から所要6時間30分。新穂高温泉からは、ロープウェイ終点から歩いて西穂山荘、独標経由所要3時間30分。

プロフィール

興津 剛(おきつ・つよし)

静岡県静岡市出身。本業は登山隊の隊長。 副業はフォトグラファー、キャニオニングガイド、WEBデザイナー。2011年より山のHP「ビストロきっちょむ登山隊」を運営。最近では登山ツアーや、ポップアップカフェなど、みんなで「ワハハ!」ってできるイベントを定期的に開催中です。山に行かない日はジョギングと水泳をして、ダイエットに励む日々。今年の目標は、あと2kg痩せたい!

今がいい山、棚からひとつかみ

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