秋、始まってます! 東北・秋田駒ヶ岳へ

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ビストロきっちょむ登山隊・興津剛さんによる登山レポート。今回は秋が始まった東北・秋田駒ヶ岳(あきたこまがたけ、1637m)へ。

文・写真=興津 剛


みなさん、長らくお待たせしました! ついに! ついに! 「秋」がそこまでやってきました!

思い起こせば今年も6月あたりから夏が始まり、41℃とか、連続猛暑日とか、もうそんなことばかりで本当に暑かった。そんな暑く長い夏が終わりを告げ、ついに秋が玄関口までピンポーンってやってきました!

山といえば秋です。これはマジで間違いないですよ。山といえば秋! 川といえば夏! 海といえば水着ギャル!

ってことで、今回は涼しい風が吹く、秋田県の秋田駒ヶ岳へ行ってきました! 秋田の気持ちのいい涼しい秋の風を、みなさまのご自宅の玄関先へ送料無料で置き配しておきますね。

秋田駒ヶ岳 スタート地点の駐車場
スタート地点はこのちっこい駐車場

秋田駒ヶ岳のスタート地点の定番は、この八合目の駐車場です。人気の割に駐車場がマジでちっこい(笑)! 土日や夏休みシーズンはマイカー規制がされています。マイカー規制時には麓の駐車場からバスでエントリーすることになります。

クマよけスプレー
1人1本クマよけスプレー

今年は本当にクマのニュースが多いので、今回は1人1本クマよけスプレーを持ってきました。みなさまも可能でしたらご用意をお願いします。

秋田駒ヶ岳
駐車場に車を停めたらいざ出発

八合目の駐車場は無料で、お手洗いもあります。支度を済ませたら出発!

秋田駒ヶ岳
快晴の空がまぶしい!

あの山頂が最高峰の男女岳(おなめだけ)。秋田駒ヶ岳は、複数のピークの総称で、「秋田駒ヶ岳」っていう名前の山頂はないんだって〜。

秋田駒ヶ岳
クマよけスプレーと長袖と

この写真のポイントは、手に握りしめたクマよけスプレーではありません。ポイントは、きている服が「長袖」ってこと! もう秋田の山の上は、風が気持ちがよくて、長袖でも汗をかくことなく歩けました。

秋田駒ヶ岳 木道
木道が気持ちがいい

登り出して45分ほどで、気持ちのいい木道に出ました。なんかうっすら黄色く紅葉、始まってない?

秋田駒ヶ岳 男岳
まずは男岳へ

まず最初は男岳(おだけ)へ。ちょっと岩岩しているけど、スニーカーでも余裕で登れちゃうレベルです!

秋田駒ヶ岳 男岳の稜線から女岳を望む
稜線まで上がってくると女岳登場

稜線から向こうに見えるのが女岳。男岳に女岳(めだけ)に男女岳って、まぁまぁ昭和感があるネーミング! 令和にそんな名前をつけたらクレームの電話がかかってきそうじゃない?(笑)

秋田駒ヶ岳 男岳から横岳を望む
後方には横岳

男女岳、男岳、女岳ときて、急に「横岳」(よこだけ)と普通の名前になったな(笑)。横岳方面もうっすらと紅葉が始まっている説!

秋田駒ヶ岳 男岳の山頂と田沢湖
男岳の山頂と田沢湖

男岳の山頂からはすぐ横の田沢湖がよく見えます。

秋田駒ヶ岳 男岳の山頂
男岳の山頂

快晴の男岳の山頂! 今回は本当は北アルプスに行く予定だったんですが、台風が来ているってことで、唯一晴れ予報だった秋田・青森に急遽来たんです(笑)。曇り・雨の北アルプスは危ないし、そういう天気の時に無理をしても、マジでいいことありませんから。どの山に行くかは、結局は天気次第ですね!

秋田駒ヶ岳 クレーターとムーミン谷
クレーターとムーミン谷

あのクレーターの山が小岳、その横の木道あたりを通称「ムーミン谷」って言うんだって。なんでムーミン谷なのか、ムーミンのことは詳しくないからわからないけど、このご時世でムーミンが草むらから「こんちは!」って急に出てきたら、間違いなくシロクマだと思って全員でクマよけスプレーを噴射しちゃうね(笑)。

でもあの通称ムーミン谷あたりは、チングルマがめちゃくちゃキレイらしいよ! 次回は必ずあっちを歩きたいなぁ〜。って、まったく同じことを、3年前に来たときも言っていた(笑)。

秋田駒ヶ岳 男岳から見下ろした阿弥陀池と避難小屋
男岳から見下ろした阿弥陀池と避難小屋

阿弥陀池とその畔に立つ避難小屋。なんでかわからないけど、山の上で池や池塘と出会うと、うれしくてちょっと興奮しちゃいますよね!? そこらへんの神社の池とコイとかじゃ、ぜんぜん興奮できません。

秋田駒ヶ岳 男岳から男女岳を望む
男岳からの男女岳

男岳の上から撮った男女岳。木道をメンバーが歩いてるの、わかりますか? 男女岳は最高峰だけど、ぽっこりとしたかわいらしいフォルム。

秋田駒ヶ岳 男女岳
近くから見た男女岳

やっぱりちょっと紅葉が始まっている感じがしますよね〜。秋だな〜って、秋感ゼロのサンダル男が写っているけど、彼のことは気にしないでください(笑)。

秋田駒ヶ岳 阿弥陀池
阿弥陀池

阿弥陀池の水はめちゃくちゃ透き通っててキレイ! キレイな池、興奮するぅ〜!

秋田駒ヶ岳 阿弥陀池の避難小屋
阿弥陀池の避難小屋

避難小屋に到着。お手洗いもあって、中は座れるので、池のほとりでのんびりと休憩できます。

秋田駒ヶ岳 男女岳山頂への登山道
最高峰の男女岳へ

避難小屋でのんびりしたら、いざ、男女岳へ。

秋田駒ヶ岳
メンバーで記念撮影

避難小屋から10分とかからずに、男女岳の山頂に到着!

秋田駒ヶ岳
ここから本格的な紅葉へ

男女岳から駐車場までの下りは、のんびりと1時間ちょっと。まだまだ紅葉が始まってるか始まってないか、微妙な感じだったけど、ここからちょっとずつ紅葉してくるはずです。

秋田駒ヶ岳
2022年10月3日の回想

ちなみに2022年10月3日に来たときは、こんな感じ。めちゃくちゃ最高でしたよ!

秋田駒ヶ岳は花の百名山でもあるし、紅葉もめちゃくちゃ最高だし、本当におすすめです。関東から遠いから日帰りはインポッシブルなので、麓の温泉に泊まってのんびりと秋田を満喫しちゃってください。山歩き自体は、のんびり不真面目に歩いてトータル4時間くらいなので、初心者の方でも安心して歩けます。

クマがちょっと怖いので、可能だったらクマよけスプレーだけ持って、秋を感じに行ってみてください。「あ、秋ってこんな感じか! 暑すぎて忘れてた」ってなりますよ、マジで(笑)。

(山行日程=2025年9月4日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間5分
行程:八合目小屋・・・男岳・・・男女岳・・・阿弥陀池避難小屋・・・横岳・・・焼森・・・八合目小屋
総歩行距離:約6,400m
累積標高差:上り 約581m 下り 約581m
コース定数:14

この記事に登場する山

秋田県 / 奥羽山脈北部

秋田駒ヶ岳・男女岳 標高 1,637m

 秋田駒ヶ岳は、男女岳(おなめだけ・1637m)、男岳(おだけ・1623m)、女岳(めだけ・1512m)の総称で、十和田八幡平国立公園の南端に位置する、北東北の名峰のひとつである。  春先の山肌に残る駒形の雪が、ふもとの村人の農作業の目安となり、昔から「だけ(岳)」と呼ばれ親しまれてきた。山越えの途中で倒れて死んだ馬にちなむ伝承もあり、駒ヶ岳の名で呼ばれるようになった。  古くからある中生保内からの道は、今はさびれているものの、白滝、金十郎長根、五百羅漢などの名称が残る、かつてのメインコースである。今は8合目(1310m)までバス利用(バス運行日はマイカー乗入禁止)が主流だ。このコースは国見温泉からのコースとともに、多くの登山者で賑わう。冬は田沢湖国際スキー場と田沢湖高原リフトが利用可能。  JR田沢湖駅前から、駒ヶ岳8合目行バスで1時間15分、避難小屋を兼ねた休憩所のある駐車場に着く。ここから1時間30分で男女岳、1時間20分で男岳に至る。女岳への道も2本ほどあるが、足場はよくない。ここから横岳、湯森山、笹森山、駒ヶ岳8合目へと回遊もできる。乳頭山、乳頭温泉郷、岩手側の国見温泉への道も整っている。  避難小屋の裏から乳頭山への縦走コースが始まっていて、男岳と横岳を結ぶ稜線上に出る。この辺りは遅くまで雪渓が残るときがある。稜線上の分岐から東に進むとすぐ横岳だが、ここからは国見温泉への道が分かれている。西側は昭和45年に突然噴火した女岳だが、今は白い水蒸気が立ち昇るだけだ。ここからは火山礫の幅広い尾根を北東に進む。付近はコマクサの群生地で、保護柵が作られている。  砂礫地の中を過ぎると道はハイマツの中を通るようになり、緑一色のジュウタンの上をのんびり登ると、やがて平坦で眺望のよい湯森山に着く。ここから笹森山を経由して乳頭温泉郷、その途中の分岐点から8合目の駐車場への道があるので、エスケープルートとしても活用できる。湯森山からさらに笊森山を通り千沼ガ原の高層湿原を眺めて乳頭山へ至る。千沼ガ原への往復を含め、駒ヶ岳から4時間30分の行程。  なんといっても、ここは高山植物の宝庫である。年々数が減っているコマクサは7月5日~10日ごろが見頃となり、シャクナゲやニッコウキスゲは7月20日すぎに美を競う。ハクサンチドリ、エゾツツジ、ヒナザクラ、イワカガミ、チングルマ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイなど、まさに百花繚乱の趣がある。

プロフィール

興津 剛(おきつ・つよし)

静岡県静岡市出身。本業は登山隊の隊長。 副業はフォトグラファー、キャニオニングガイド、WEBデザイナー。2011年より山のHP「ビストロきっちょむ登山隊」を運営。最近では登山ツアーや、ポップアップカフェなど、みんなで「ワハハ!」ってできるイベントを定期的に開催中です。山に行かない日はジョギングと水泳をして、ダイエットに励む日々。今年の目標は、あと2kg痩せたい!

今がいい山、棚からひとつかみ

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