山の紅葉と好展望! 入笠山で秋の自然を堪能する【紅葉レポート】
読者レポーターより登山レポをお届けします。東武さんは長野県・入笠山(にゅうかさやま、1955m)へ。
文・写真=東 武
紅葉も見たいし、山頂からの絶景も見たい。できれば登り慣れた東京・神奈川から少し離れたところがいい。でも休みは1日しかないので日帰りできる場所がいい。
そんなワガママを叶えられそうな理想の山を探して、長野の入笠山に登りました。
東京方面から、入笠山の最寄りである富士見駅まで中央本線に乗っていきます。
中腹までのゴンドラが動いている富士見パノラマリゾートまでは、無料シャトルバスが出ています。スキーシーズンは9時15分、10時の2本が出ているようですが、10月は10時の1本のみでした。
9時前には富士見駅に到着したため、ウォーミングアップを兼ねて富士見パノラマリゾートまで1時間弱、歩きます。
平日ということもあり、ゴンドラ待ちで並んでいる人もおらず貸し切りのような状態でした。ゴンドラを降りると、すぐ目の前に八ヶ岳の大絶景が広がっています。
遠目にも八ヶ岳が紅葉に色づいているのがわかりました。八ヶ岳の展望台としてこの場所は最高なのではないでしょうか。もうここがゴールということにして一日ゆっくりしていようか、と考えてしまうほどの景色でした。
でもせっかく来たのですから、当初の予定通り入笠山の山頂をめざします。
10月なのに夏日だったり、雨が続いて肌寒かったりと、気温の安定しない日が続いていますが、山はすっかり秋の雰囲気でした。
入笠山の山頂に向けて、木の遊歩道が巡らされた入笠湿原を歩きます。花が咲いていなくてもきれいな景色ですが、入笠湿原はすずらんの群生地らしいので、春に訪れても楽しめそうです。
入笠湿原を越えたあたりは、ちょうど黄色に色を変えたカエデが多く、太陽の光を受けて葉が光っているようでした。
ヒュッテ入笠からいよいよ山頂に向けて本格的な登りが始まりました。
とはいえここまでほとんど平坦な道で、山頂までの登りもコースタイムで30分程度。山を歩き慣れた人にとってはアッという間についてしまう距離です。
途中、岩場と迂回コースで道が分かれているところがありますが、どちらを選んでも山頂までの距離は変わりません。今回は岩場を歩きましたが、特に危険を感じる箇所はありませんでした。
体が温まってきたくらいのタイミングで山頂に到着です。
山頂からは聞いていた通り八ヶ岳がきれいに見えましたが、うれしい驚きだったのは、北アルプスや中央アルプスの方面まで、三六〇度きれいに展望が開けていたことです。
北アルプスや中央アルプス方面も感動するような絶景です。憧れの山がこれでもかと並んでいました。
平日でしたが人気の山だけあって、山頂は多くの人でにぎわっています。景色を堪能しながらしばらく山頂で休憩しました。
休憩後は、山頂から大阿原(おおあはら)湿原の方面に下っていきます。山頂のにぎわいからうって変わって、大阿原湿原の方面に進むと途端に人の姿が減りました。
下りの道は長い距離ではありませんが急坂で、道も荒れているので滑らないように気を付けて進みます。ササヤブの狭い道を抜けると、広々とした湿原に出ました。
大阿原湿原は乾燥化が進み、植物相も陸生の低木が侵食しています。気の遠くなるような長い時間をかけて形成された地形ですが、湿原としては終わりを迎えつつある状態なのだとか。
湿原の木道にほかの登山者の姿はなく、景色を独り占めでした。
湿原を抜けると次は森の中へ。沢沿いの道が続きます。地図によると「テイ沢」という名前の沢のようです。湿原の静けさと違い、沢を流れる水の音が耳に痛いくらいに響きました。
ひとり静かに沢の音に聞き入っていましたが、あまりにもほかの登山者の姿が見えなかったので「もしかして道迷いしてしまったのでは?」と心配になるくらいでした。
道中に危険な場所はありませんが、橋が崩れかけているところや道幅の狭いところがあり、コケや木々に見とれていると足を滑らせてしまいそうです。
テイ沢を抜けて広い山道まで出たら、あとは平坦な迂回路をヒュッテ入笠に戻るだけです。ヒュッテ入笠からゴンドラ山頂駅まで戻って、この日の登山は終了です。
紅葉は見頃で、山や湿原の景色も沢沿いの道歩きも楽しめる。いろいろな自然を一度に満喫できるぜいたくな一日になりました。
(山行日程=2025年10月29日)
この記事に登場する山
プロフィール
東 武(読者レポーター)
晴れた日は山に出没し雨の日には本を読む、そんな暮らしにあこがれる文系山男。文学サークル・ペンシルビバップを主宰している。山と文学と相模原市を愛してやまない。
山と溪谷オンライン読者レポート
山と溪谷オンライン読者による、全国各地の登山レポートや、登山道具レビュー。
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