信州の名低山・京ヶ倉。手軽なのに岩場と絶景で大満足!

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読者レポーターより登山レポをお届けします。白麻佑季さんは春に訪れて感動した京ヶ倉(きょうがくら、990m)へ再訪。最近注目が高まっている、長野県・生坂村(いくさかむら)の低山です。ハイライトは馬の背などの岩場と北アルプスの絶景。手軽に最高の景色が楽しめる山行です。

文・写真=白麻佑季

目次

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 5時間16分
行程:万平駐車場・・・稜線・・・京ヶ倉・・・大城・・・はぎの尾峠・・・登山口・・・国道・・・関屋下バス停・・・万平駐車場
総歩行距離:約8,600m
累積標高差:上り 約661m 下り 約655m
コース定数:19

京ヶ倉へ再訪

生坂村の京ヶ倉は今年の春に知った。実際に登ってみると犀川(さいかわ)と里山、そして北アルプスの絶景がよすぎたので、再訪したいと思っていた。

今回の登山前日、仕事で近くまで来たので、秋の京ヶ倉を見るために朝を待った。

翌朝5時半、期待して起きたら辺りは霧で真っ白。前回も同じだったから、じきに晴れるだろうと3時間待ったが晴れる気配はない。しびれを切らして8時半に出発した。

でき得る限りゆっくり歩いて霧が晴れるのを待つために、ノブドウや鶏の頭のようなクサギを見つけて撮影したり、空腹ではないけれど立ち止まってパンを食べたりしながら、時間をつぶしていると、少し青空が見え始めた。

枝の朝露に至るまであらゆる自然をじっくり観察しながら歩いたら、いつもよりリラックスしたような気がする。たまにはこういう歩き方もいいかもしれない。

霧が晴れ、ついに現われた絶景!

おおこば見晴台まで登ると霧は完全に晴れて、待ちに待った展望がついにキタ! 生坂ダムと道の駅いくさかの郷が見える。

京ヶ倉 おおこば見晴台から生坂ダム周辺を望む
おおこば見晴台から生坂ダム周辺

冬はまだ先だと思っていたら右手の白馬(はくば)連峰はすっかり雪化粧していた。登山装備や車のタイヤを冬仕様に変える時期が来てしまったようだ。しかし、この日の京ヶ倉は、朝の出発時以外は日中を通して暑いくらいの気温で、無風だった。

京ヶ倉 おおこば見晴台から雪化粧した白馬連峰を望む
雪化粧した白馬連峰

京ヶ倉の核心部・馬の背と山頂からのパノラマ

京ヶ倉は、登山口から山頂までが1時間程度。岩場もあるし、なんといっても絶景が見られるので、手軽に登れて満足度の高い山だと思う。馬の背は、両側が切れているので慎重に歩きたい。

京ヶ倉 馬の背
馬の背

進行方向左手は生坂村、右手には筑北村(ちくほくむら)があり、里山が連なっている。時間があれば冠着山(かむりきやま)や四阿屋山(あずまやさん)なども登ってみたい。

京ヶ倉 馬の背から筑北村方面を望む
馬の背から筑北(ちくほく)村方面

馬の背の先には岩場があり、ここをよじ登っていく。距離は短いので、焦らず慎重に登ればクリアできる。

京ヶ倉 山頂近くの岩場
山頂近くは岩場が増える

山頂の少し下でこの絶景が見える! 奥に北アルプスの常念岳(じょうねんだけ)、蝶ヶ岳(ちょうがたけ)、蓮華岳(れんげだけ)、爺ヶ岳(じいがたけ)、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)など。手前に馬蹄形にカーブした犀川&山々に囲まれた生坂村。空中都市マチュピチュみたいだと思っていたら、本当にそう呼ばれているらしい。

京ヶ倉 山頂近くから望む絶景
京ヶ倉の絶景

山頂直下に平らな場所を発見。しばらくここでヨガをして、なんとも気持ちのよい時間を過ごした。

京ヶ倉 山頂近くの岩稜から犀川を見下ろす
岩稜から犀川を見下ろす

京ヶ倉の展望は山頂より少し下のほうがよいが、山頂は5~6人が座れる広さがあって休憩しやすい。山頂に着くと登山者が次々にやってきては、少し休んですぐ下りていった。

京ヶ倉山頂
京ヶ倉山頂にて

私は山頂でモグモグタイム。この後、ピストンで下りるか、周回するかで悩んでいた。前回は眠り峠まで歩いたが、特に印象に残らなかったので、その手前の大城(おおじょう)分岐から集落に降りて周回することに決めた。

大城から周回ルートで下山

京ヶ倉 馬の背のような場所
山頂から先も馬の背のような場所がある

山頂直下にロープ場があるので少し神経を使うが、その後はほぼ水平移動。

大城跡は広場になっていて展望はなし。戦国時代に戦闘用の小さな城が建てられていた。その先の物見岩は見張り台として使われていた。眼下には集落がある。

京ヶ倉 物見岩からの展望
物見岩からの展望

物見岩の先の分岐を左に曲がり、林道を降りていった。集落手前には獣避けのゲートがあり、チェーンを外したり巻いたりして出入りする。私はこの作業が苦手で、毎回てこずってしまう。

下山後、道の駅でオリジナルグッズをゲット

色鮮やかな柿
色鮮やかな柿

生坂村には柿の木が多く、おいしそうな実がたくさんなっていた。ほかにも道沿いの花や紅葉が美しかった。国道まで降りたら左に曲がり、道の駅いくさかの郷をめざして犀川沿いを歩く。

生坂村 国道沿いの風景
国道沿いの風景

犀川沿いの景色もすてきだった。ちょっと暑過ぎたので日陰がありがたい。国道に入って40分歩いたら道の駅いくさかの郷に到着した。

京ヶ倉のビュースポットで自撮りした写真を道の駅いくさかの郷、もしくはやまなみ荘で見せると、すてきなマフラータオル&ピンバッジがもらえる。タオルの色は黄・青・緑・橙の4色から選ぶことができる。私は紅葉のようなオレンジ色のタオルをいただき、よい記念になった。

京ヶ倉オリジナルグッズ
京ヶ倉オリジナルグッズ

実は京ヶ倉に登った日、当初は北アルプスに行くつもりで登山届を出していたけれど、京ヶ倉に惹かれて変更していた。雪が降る前の北アルプスに登れたのは、もしかしたらこの日が最後だったかもしれない。でも、この日の京ヶ倉は私には価値のある一日だった。春と秋に来られたから、次は冬の京ヶ倉も見たいなともくろんでいる。

(山行日程=2025年10月30日)

白麻佑季(読者レポーター)

白麻佑季(読者レポーター)

中央&南アルプスに挟まれた、長野県上伊那郡在住。ヨガを仕事にしていて山でもヨガをするのが趣味。さまざまな自然が身近にあるおかげで、毎日元気にゆる~く生きてます。

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この記事に登場する山

長野県 /

京ヶ倉 標高 990m

長野県生坂村にある山。標高は1000mに満たないものの、荒々しい岩峰と雄大な山容を持ち、登山道も難易度が高く登りがいのある山。山頂からの展望がよく、北アルプスの山々が眼前に広がり、眼下には蛇行する犀川の流れが美しい。 戦国時代は丸山氏(仁科一族)が山上に城を築いた場所でかつての山城跡も残る。 山頂付近の登山道は特に険しく、慎重に進む必要がある箇所も多い。

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