「どっこいしょ」の筋肉を上手に意識できれば、山登りはもっと楽になる!

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次の登山までにやっておきたい「登山ボディのリセット&メンテナンス術」を登山ガイドのヤッホー!!さんが伝授。第3回目は筋肉への意識をリセットするエクササイズ「バックキック」を紹介。お尻の筋肉を意識できるようにして、太ももの負担を少なくした登り方を目指そう。

写真/山田慎一郎  モデル/一瀬立子

 

高い段差を登るとき、上の写真のように手を太ももに当て「どっこいしょ」と押し下げる動作をすることがあると思います。この動作によって、登るときに使う太ももの筋肉が楽になったと感じたのではないでしょうか。

ふだん何気なく行っている動作ですが、楽になるのは理由があります。この理論を知ることで、登りの時に意識すべき筋肉が見えてきます。

上の写真を見てください。高い段差を登るときは①→②と動作しますが、このとき、主に2つの関節の動きが関係しています。1つは膝関節の伸展(a→a’)、もう一つは股関節の伸展(b→b’)です。

多くの人が膝関節の伸展(a→a’)ばかりを意識してしまうため、膝関節を伸展させる太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を過剰に疲労させています。

先に紹介した、手を太ももに当て「どっこいしょ」と押し下げると楽に感じる理由は、意識しづらい股関節の伸展(b→b’)を腕の力で補助しているからなのです。

股関節の伸展には、主にお尻の筋肉(大殿筋)を使っています。大殿筋は単一の筋肉としては人体で最も体積の大きい筋肉です。この筋肉を意識して使うことができれば、大腿四頭筋の負担を軽減できます。

そこで、今回は大殿筋を鍛えるためのレクチャーです。以下に紹介するエクササイズで、大殿筋を意識するコツをつかみましょう。

 

バックキック

四つ這いになり、背筋を伸ばします。

片足を持ち上げて、後ろ斜め上に向かって、伸ばします。

腰を反らさない位置まで足を上げたら、膝を曲げて足を元に戻します。

膝は床につけずにを繰り返します。

片足10回、左右2~3セットずつ行ないます。

 

立った状態でバックキック

片手で柱などにつかまり、まっすぐ立ちます。

つかまっている手と反対側のかかとを上げ、膝を軽く曲げます。

お尻の筋肉を触りながら、脚を斜め後ろに伸ばします。

お尻の筋肉が収縮し、硬くなることを意識します。

片足10回、左右2~3セットずつ行ないます。

 

今回のエクササイズの目的は、筋力をアップさせることではなく、意識することです。登山の時にしっかりとお尻の筋肉を意識して使うことができれば、太ももの疲労を防ぐだけでなく、ヒップアップの効果も期待できます。

登山ボディをリセット&メンテナンスして、次回も安全登山を心がけましょう。

 

プロフィール

いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん

本名:芳須勲。横浜市金沢区在住。管理栄養士・健康運動指導士・登山ガイドの資格を持ち、中高年登山者の健康づくりを、栄養と運動の両面からサポート。
山ごはん・アウトドア料理を得意とし、災害時における野外炊飯法などの講習会も各地で行なっている。
著書に山登りABC「登山ボディのつくり方」(山と溪谷社)、山登りABC「もっと登れる山の食料計画」(山と溪谷社)など。
⇒ホームページInstagram

登山ボディをリセット&メンテナンス!

管理栄養士・健康運動指導士・登山ガイドの資格を持ちながら、楽しく安全な登山を案内する「いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん」こと芳須勲ガイドが、身体のリセット・メンテナンスの面から登山のトレーニングを指南。登山のための身体づくりを目指そう!

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