登山中のコンパスの出番とは? 今年こそコンパスを使える登山者になろう!
「最低でも地図とコンパスは持参すべし!」という言葉どおり、登山に地図もコンパスも持っていくけど、山で一度も使ったことがない――、とすっかり宝の持ち腐れな方へ。どんなシチュエーションでコンパスは必要になるのだろうか?
文=編集部/写真=中村英史
コンパスは使わない・・・?
槍ヶ岳からの下山後、「今回も使わなかったなあ~」と思いながら、バックパックの雨蓋からコンパスを取り出した。“地図とコンパスは登山者必携のアイテム”と耳が痛くなるほど聞いて、必ず山行には持って行く。・・・にも関わらず、コンパスを使った試しがない。
上高地から分岐に行けば、立派な道標があっちは槍ヶ岳、こっちは涸沢と書いてあるし・・・。コンパスなんて方角わかるだけだし、地図があれば別にいらなくない?
正しい方角を知ることがとても重要
登山を始めた人の中には、そう考えている人もいるのではないでしょうか。「コンパスは方角がわかるだけ」、全くその通りなのですが、正確な方角を知ることこそが、読図ではとても重要なことなのです。
登山道がよく整備されていて、分岐ごとにしっかりした道標があるような人気の山では、上記のようにコンパスの出番がないこともあるかもしれません。
しかし、例えば奥多摩などの登山道と作業用林道が多く、時には地図にない道まで現われるような低山では、道迷いのリスクが高くなります。そのような山域では、コンパスを使った読図の重要性は増します。コンパスを使うことで、地図上の道や尾根と現在見えている地形の方角が合っているかを判断することができるからです。
コンパスを使う場所
コンパスで正確な方角を知ることで、道迷いを防ぐことができます。例えば、以下のような地点が、地図とコンパスの出番です。自分がどの方角を向いて歩いているのかを意識することも重要です。
1.分岐点
低山には、地図(地形図)には書かれていない道があることも多いものです。また、地図と見えている道の方角が合っているかを確認することで、正しい分岐なのかを判断できます。
2.尾根が分かれる地点
下りでいつの間にか違う尾根に入ってしまいやすい注意地点。道がはっきりしていれば問題なく進めるかもしれませんが、間違った踏み跡が、地図上の東の尾根方面についている可能性もあります。いつまでも東に向かって歩いていたら、間違った尾根に入ってしまったということ。それに気がつけるかは、あらかじめ地図で間違いやすいポイントを把握していることも必要です。
3.登山道の屈曲点
こちらも尾根の分かれる地点と同様に、下りでの要注意地点です。途中で大きく西に曲がり、急斜面を下って行くのが正しい道ですが、気がつかないと尾根通しに歩いてしまいやすい場所です。
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