メレルの靴は「カメレオン」よりも「モアブ」にユーザー投稿集まる
「ジャングル モック」や「カメレオン」などのメレルのトレッキングシューズは街でもよく見かける。ヤマケイオンラインのユーザーは登山歴5年を超えるベテランも多いが、メレルの靴ではどんなものを使っているのだろうか? 今回は「みんなの山道具」に投稿されたメレルの靴の投稿を数の多い順にピックアップ。そのアイテムについて、さかいやスポーツ 斎藤さんに解説してもらった。
取材/文=吉澤 英晃
監修=さかいやスポーツ 斎藤 勇一
モアブ|街歩きや日帰りハイキングにちょうどいい柔らかさ
アメリカの企業である「メレル(MERRELL)」の特徴は、日常生活のそばにある自然を楽しむための靴を数多く手掛けていること。高い山を目指すためのアルパインブーツといった靴は開発していないので、登山靴メーカーというより、アウトドアシューズメーカーと呼ぶほうがしっくりくるかもしれません。
そんなメレルが販売するシューズのなかで、「みんなの山道具」の投稿数が最も多いシリーズが「モアブ(MOAB)」になります。モアブには全部で6つの異なるモデルがありますが、それはどんな用途で作られた靴なのでしょうか?
「モアブは、さかいやスポーツではトレッキングシューズとして販売しています。ソールが非常に柔軟に作られているため、トレッキングシューズのなかでも、より普段使いを意識して作られた靴といえるでしょう。旅行先でトレッキングを楽しみたいとか、近くの公園を散策したいとか、そういった用途にオススメです」(さかいやスポーツ斎藤さん)
これは里山の日帰りハイキングにもピッタリではないでしょうか。里山ではコースの半分が不整地、もう半分がアスファルトといった場合が多々あります。ソールの硬い靴だとアスファルトの上は歩きづらいですが、靴底に柔軟性があるモアブなら軽快に歩くことができますね。
「ゴアテックス素材による防水機能を備えており、グリップ力に定評があるビブラム社のソールが使われています。トレッキングシューズとして十分な性能を持った上で、価格は1万円台という手頃さも人気のポイントですね」(同)
一般的なスニーカーと同じぐらいの値段で買えるのなら、確かに日帰りハイキングに適した機能が揃っているモアブが欲しくなります。次はモデルの違いについて確認しましょう。モアブには「モアブ FST ゴアテックス」(以下、FST)「モアブ 2 ゴアテックス」(以下、モアブ2)「モアブ 2 ゴアテックス ワイドワイズ」(以下、ワイドワイズ)の3アイテムがあり、それぞれ、ローカットタイプとミッドカットタイプがあります。
「最もスタンダードなモデルがモアブ 2になります。FSTはフィット感や履き心地を改良し、履いた時のホールド性を向上させることで、より登山やスポーツ向けに開発されたモデルです。ワイドワイズは、モアブ 2と同スペックで足幅を広くしたモデル。モアブ 2を履いた際に窮屈だと感じた方は試してみるといいでしょう」(同)
ローカットとミッドカットの主な違いは履き口の高さですが、実はかかと側のソールパターンにも違いがあります。ミッドカットのほうがローカットに比べて、ヒールリフト(かかとの積み上げ)が高い。これが下りの斜面で地面に食い込むことでブレーキ力を高めてくれるのです。ミッドカットのほうが整備されていない道を歩くことを想定した設計になっているのでしょう。
街での普段履きはもちろん、手軽にハイキングを楽しみたい方にも手頃な一足ですね。
製品情報
メレル「モアブ 2 ゴアテックス」 (男性用モデル)
- 価格
- 13,800円(税別)
- サイズ
- 25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約422g(片足)
メレル「モアブ 2 ゴアテックス」 (女性用モデル)
- 価格
- 13,800円(税別)
- サイズ
- 22.5〜25cm
- 重量
- 約372g(片足)
メレル「モアブ 2 ゴアテックス ワイド ワイズ」
- 価格
- 14,800円(税別)
- サイズ
- 25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約422g(片足)
メレル「モアブ FST ゴアテックス」(男性用モデル)
- 価格
- 16,800円(税別)
- サイズ
- 25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約422g(片足)
メレル「モアブ FST ゴアテックス」(女性用モデル)
- 価格
- 16,800円(税別)
- サイズ
- 22.5〜26cm
- 重量
- 約327g(片足)
メレル「モアブ 2 ミッド ゴアテックス ワイド ワイズ」 (男性用モデル)
- 価格
- 16,800円(税別)
- サイズ
- 25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約468g(片足)
メレル「モアブ FST ミッド ゴアテックス」(男性用モデル)
- 価格
- 19,800円(税別)
- サイズ
- 25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約423g(片足)
メレル「モアブ FST ミッド ゴアテックス」(女性用モデル)
- 価格
- 19,800円(税別)
- サイズ
- 22.5〜26cm
- 重量
- 約364g(片足)
カメレオン|ミッドカットモデルは初めての富士山にもオススメ
モアブに次いで投稿数が多いメレルのシューズが「カメレオン(CHAMELEON)」です。さかいやスポーツではモアブと同じトレッキングシューズとして販売されていますが、まずは違いを確認しましょう。
「カメレオンは、モアブよりも前に発売されたトレッキング向けのシューズです。モアブとの大きな違いはソールパターン。吸盤のような独特な形状で、全方向にグリップ力を発揮します。ソールの剛性はモアブと比べるとやや硬めといえるでしょう」(さかいやスポーツ斎藤さん)
衝撃から足裏を守り、安定性を高める「フレックスプレート」と呼ばれるパーツがソールに組み込まれているのも特徴の一つです。モアブが普段履きを意識したトレッキングシューズだったのに対して、より登山での使用を前提にして作られているシューズがカメレオンといえるでしょう。
そんなカメレオンにも様々なモデルが存在しますが、なかでもハイキングにオススメなのは、最もメジャーな「カメレオン7 ストーム ミッド ゴアテックス」と、アッパーにレザーとメッシュを採用することで耐久性と速乾性を持たせたハイスペックモデル「カメレオン 7 ミッド ゴアテックス」。いずれもゴアテックス社の防水透湿素材を使い、ビブラム社製のソールを搭載してグリップ力も抜群。ハイキングシューズとしての性能はモアブと同様に十分であるといえます。
そこで気になるのが、どの程度の山に使うことができるのか、という疑問です。インターネットでこのカメレオンを検索してみると「富士山でも使えますか?」といった質問をよく見かけました。この点についてはいかがでしょうか?
「履き口がくるぶしまであるミドルカットのモデルを選べば、砂や小石などが靴の中に侵入するのを防ぐことができるので、十分使えると思います。ただし、登山道を歩いた経験が少なく、富士山を登る自信が無い方には、一般的な登山靴をオススメしますね」(同)
防水性やグリップ力といった登山に必要な機能は全て備えているので、あとは履く人の経験次第だそうです。
他にも「残雪期も含めて雪山で履くことはできるのか?」といった質問も見かけました。これについてはいかがでしょうか?
「シューズ全体が柔らかいため12本爪アイゼンを装着することができません。また、保温材や断熱剤が入っていないため、本格的な雪山登山では使えないのですが、残雪期の簡単な雪山なら、少々寒いことを我慢すれば、チェーンアイゼンなどを履いて楽しむことはできるでしょう」。
雪山も、時期と装着するアイゼンにさえ気を付ければ、カメレオンを履いて楽しむことができるとのこと。普段履きの靴と登山用の靴を明確に使い分けているハイカーには、モアブよりカメレオンの方がオススメと言えそうです。
製品情報
メレル「カメレオン7 ストーム ミッド ゴアテックス」(男性用モデル)
- 価格
- 17,800円(税別)
- サイズ
- 25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
(SPICY ORANGE、DANDELIONは25〜28cmのみ) - 重量
- 約448g(片足)
メレル「カメレオン7 ストーム ミッド ゴアテックス」(女性用モデル)
- 価格
- 17,800円(税別)
- サイズ
- 22.5〜25cm
- 重量
- 約364g(片足)
メレル「カメレオン7 ミッド ゴアテックス」(男性用モデル)
- 価格
- 25,000円(税別)
- サイズ
- 25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約489g(片足)
メレル「カメレオン7 ミッド ゴアテックス」(女性用モデル)
- 価格
- 25,000円(税別)
- サイズ
- 22.5〜25cm
- 重量
- 約399g(片足)
レザー|手間暇かければ長年履き続けられる「良き相棒」に
最後に紹介するのが「レザー(LEATHER)」です。光沢のあるフルグレインレザー(高品質な本革)で作られたその姿には、重厚感が宿っています。明らかに他の登山靴、トレッキングシューズとは異なる雰囲気を醸し出しているこのレザーは、どのようなシューズなのでしょうか。
「メレルが創業して間もないころ、1981年に米国のバックパッカーマガジンで「北米で最も機能的で快適な靴」に選ばれたブーツを原型にした、日本限定の復刻モデルが、このレザーです」。(さかいやスポーツシューズ館斎藤さん)
防水透湿フィルムが使われていないため、登山で使う場合には市販のクリームなどを用意して、自身で防水処理を施す必要があると斎藤さんは言います。手間のかかる靴ですが、手入れの分だけ愛着が湧きます。そういったところを楽しめる人には、ちょうどいいかもしれません。
「革に痛みがでないように丁寧に手入れを行なえば、10~15年は履くことができます。この寿命の長さは魅力的と言えるでしょう。まさに、育て上げる楽しみがあるシューズなのです」(同)
一般的な登山靴の寿命は4~5年と言われているので、この年数には驚きです。長く履き続けられる理由は、アッパーに使われているフルグレインレザーによります。フルグレインレザーは履き続けることで足に馴染んでくるとよく耳にしますが、実際はどうなのでしょうか?
「足に馴染ませるために必要なことは、履き続けることに加えて、靴に適した歩幅、歩き方をイメージして使うことです。靴底が硬い靴は、ソールが柔らかい靴を履いた時の歩き方、つまり、つま先を曲げて蹴り出すような歩き方ができません。その為、おのずと歩幅も短くなります。それを知らずに、無理に蹴り出すような歩き方を続けると、足に馴染むどころか、革が痛む可能性もあります。靴に適した歩き方を意識しながら長年履き続けることで足にも馴染み、良い相棒になっていくのです」(同)
これは興味深い話ですね。「道具と仲良くやっていくにはどうしたらいいかを考えることが大事だ」と斎藤さんは教えてくれました。
レザーは防水処理を施せばテント泊山行にも対応できるそう。この靴をじっくり手入れしながら、今度はどこへ行こうか、なんて考えるのも、レザーを使っていくうえでの楽しみになりそうです。どこへ行くかはあなた次第!
製品情報
メレル「レザー」(男性用モデル)
- 価格
- 53,000円(税別)
- サイズ
- 23cm、24cm、25〜28cm、29cm、30cm ※25〜28cmは0.5cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約697g(片足)
メレル「レザー」(女性用モデル)
- 価格
- 53,000円(税別)
- サイズ
- 23〜25cm ※1cmごとのサイズ展開
- 重量
- 約697g(片足)
※掲載した情報は、2019年3月現在のものです
「みんなの山道具」ユーザーのおすすめ度調査
ヤマケイオンラインのユーザーが実際に使っている登山用品を投稿するコーナー「みんなの山道具」。この記事ではユーザー投稿を登山ブランドごとにピックアップし、人気順(投稿数順)にギアをまとめた。