山のトイレ事情。「青空トイレ」のときに、気に留めておきたい3つのこと

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インドメタシン配合 さんより質問!

質問:お腹が弱く、登山中によく便意をもよおします。トイレが有るときはいいのですが、ない場合は「野に放つ」こともあります。紙は持って帰りますが、モノはどうなのでしょうか? マナー的には持ち帰りなのでしょうが、野生動物も野に放っているのだから、良いのではないかと思うのですが。

 

できるだけトイレで用を足すのが、やはりベストなのですが、そうもいかない場合もありますよね。利用者が比較的多くメジャーな山では、登山口などにトイレが完備されている場合が多いので、出発時に必ず行っておく習慣はつけたいものです。

「持ち帰り」の是非については、この場では触れませんが、青空トイレの場合に気を付けたいことがあります。まず第一に‟その場所が安全であること”です。「霧の中でトイレに行ったまま方角が判らなくなってしまった」、「急峻な斜面で滑落してしまった」などのトラブルは意外に多いのです。

また、沢などの河川に大腸菌などを流さない工夫も大切です。沢が近い場所は避ける習慣をつけましょう。

そして、できるだけ自然環境を壊さないように配慮してください。土・地面に直接置かれた場合、大気と土の力で短時間のうちに分解します。かつてはプラスチックの超小型のスコップを携帯して、地面に穴を掘り埋める方もいましたが、青空トイレの人がそれぞれに山に穴を開けるのは、どうでしょうか? もちろんペーパーは水溶性のものでも密封できる袋などに入れて持ち帰るべきです。

「野生動物も野に放っているのだから、人間も良いのではないか」については、鹿の糞が大量に積もるようにある場合がありますが、鹿など野生動物の糞も大腸菌などは持っていて、環境への影響は、無いわけではないようです。また補足ですが、キツネ、テンなどは特に糞の中に細菌などがいる場合があり、むやみに触れたりしないことが大切だそうです。

避けがたく青空トイレの場合、安全であること、さらに、河川は避け、できるだけ自然環境を壊さないように十分に配慮してください。

プロフィール

山田 哲哉

1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。 著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
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