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特徴的な背面構造で背負い心地が抜群! テント泊装備を入れた「オスプレー アトモスAG 50」で、八ヶ岳へ

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2019年06月28日

 

今月のPICK UP オスプレー/アトモスAG 50

価格:26,000円(税別)
サイズ:S、M、L
容量:S=47L、M=50L、L=53L
重量:S=1870g、M=1910g、L=1950g
カラー:3色

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※女性用には「オーラAG 50」がある

 

メッシュでフィットする特徴的な背面、「アンチグラビティ(AG)システム」をチェック!

日本列島が梅雨入りし、山に残っていた雪はその雨でどんどん溶けだしている。テント場の多くも地面が露出し、高山でもテント泊山行が行いやすくなってきた。

今回取り上げるのは、オスプレーの大型バックパック「アトモスAG 50」。数年前から販売されている定番的人気商品で、テント泊装備一式が入るサイズ感である。

体の大きさに合わせてS、M、Lのサイズから選べ、Mサイズが容量50リットル。「アトモスAG 50」という名称ながら、Sサイズは47リットル、Lサイズが53リットルと、Mサイズ以外は容量がいくらか上下する。また、同シリーズにはさらに大きい「アトモスAG 65 」もあり、女性用に「オーラAG 50」「オーラAG 65 」も用意されているが、基本構造はすべて同じと考えてよい。

その特徴は、なんといっても背面構造を中心としたフィッティングシステム「アンチグラビティサスペンション」にある。これは弾力性が高いメッシュ素材で立体的な設計を行い、体を包み込むような背負い心地を実現したものだ。

非常に立体的な構造のため、1枚の写真では説明できないが、まずは以下の写真を見ていただきたい。背面とショルダーハーネスの内側にはひとつひとつの目が広いメッシュが使われていることがわかるだろう。

しかも、このメッシュには縫い目や継ぎ目がなく、1枚の大きな生地。だから、伸縮性がどの部分でも損なわれていない。

次の写真は、ウエストの部分を上から、そして下から見たものだ。一切力を入れていない状態で、これだけの立体的な曲線を描き出している。

上から見たとき(左の写真)と、下から見たとき(右の写真)を比べたときに、直径の大きさが違って見えるのは、上から下に向かって少し広がったデザインになっているからだ。これは腰に荷重をかけやすくするためである。

メッシュの孔の直径は約1㎝。他のバックパックではあまり見たことがないくらい大きい孔で、なにかのときにはここから土や小石がメッシュ裏に入りこみそうだ。もっとも、背負って立った状態になると、外部に露出している部分は別の目の細かいグレーのメッシュになり、岩場を通過する際に上から小石が振ってきたり、森の中で木の葉や枝に触れたりしても、異物が背面の内側にまで入ることは少ない。たとえ入り込んだとしても、簡単に出すことができるだろう。

このメッシュの張りはとても強く、その下の荷室の生地(白いラインが描かれている部分)との間に隙間が生み出される。ハーネスをしっかり締めて直立した状態で計測してみたところ、その隙間は3~5㎝ほどで、通気性は非常に高そうだ。

ショルダーハーネスの表面もメッシュで覆われているが、体に当たる面は目が粗いメッシュ、外側は目の細かいメッシュと、使い分けられている。

その内側には肉抜きされたパッド。この肉抜きによって、軽量化と通気性の向上が図られている。

サイドにある赤いストラップを引くことで、背面長の調整も可能だ。その範囲は8㎝程である。

調整時はメッシュの裏側に指を差し入れる必要があり、あまり手軽な方法とはいいがたい。だが、多くの人は一度正しい背面長にセットしたら、その後に何度も再調整をすることはないはずだ。少しくらい調整しにくいとしても、この点は大目に見たい。

ショルダーハーネスとバックパック本体をつなぐスタビライザーもおもしろい構造だ。ただシンプルにストラップで連結しているのではなく、細長い板状のパーツを組み合わせてあり、ストラップを引くと、この部分も連動して伸縮するのである。

このパーツのために、歩行中にショルダーハーネスが左右へぶれるのが抑えられる。肩へのフィット感も向上するようだ。

ヒップハーネスの調整方法もまたユニークである。ポケットの裏側には面ファスナーを組み合わせたスリットがあり、その部分にプレートを差し込んで腰に当たる長さを調整するのだ。

ただ、このプレートはそれほど厚みがあるわけではなく、腹部に当たると少し硬く感じた。ヒップハーネスのパッドの長さが少し足りないために、プレートが腹部に干渉してしまったのかもしれない。身長177㎝の僕は今回、サイズMでテストしたが、僕の腰回りの太さを考えると、サイズLならばパッドの長さが足り、よりフィットした可能性が高そうであった。

さて、以下の写真は、背面長、ショルダーハーネス、ヒップハーネスを調整してから背負った様子である。先ほど述べたように、体の動かし方によっては、ヒップハーネスのプレートが腹部に当たるが、それ以外に問題はない。とくに背中から腰にかけてのフィット感はすばらしく、まさに包み込まれているかのようである。

左の写真を見ると、バックパックと体の間に黒い部分ができているのがわかる。ここがアンチグラビティサスペンションの黒いメッシュで隙間を空けた部分だ。見ただけでも通気性の高さがイメージできるだろう。

 

テント泊装備を背負い、アトモスAG 50の持ち味を感じながら硫黄岳へ!

さて、今回のテストに選んだのは、山行時に少しでも好天が期待できそうだった八ヶ岳である。すでに梅雨に入っているのだから、雨が降る可能性が少ないだけでも幸運と考えた。

目標の山頂を硫黄岳とし、フィッティングを終えた僕は、桜平から歩き始めた。登山道は前日に降ったらしき雨で濡れていたが、ときどき初夏らしい日差しも感じられ、梅雨の時期にしては悪くない天気である。

ただ背負うだけではなく、実際に荷重をかけて歩いてみると、アトモスAG 50の持ち味がよくわかる。一般的なヒップハーネスは「ハーネスを腰に巻きとめる」といった感覚なのだが、アンチグラビティサスペンションを取り入れたアトモスAG 50には「腰にはめる」という言葉が似合う。椅子のようなものの「背もたれに身を預けている」という表現もできるかもしれない。悔しいことに、この感覚は写真と文章だけでは説明しきれない。興味がある方は、ぜひショップで試してみてもらいたい。

次に収納力をチェックしておこう。腰のポケットは、一般的な大型バックパックにつけられているものと比べ、いくぶん大きめで、かなり背中寄りについている。僕は今回、右にスマートフォンを入れてみたが、このポケットは大きめでも厚みはそれほどでもなく、なによりかなり湾曲しているので、スマートフォンのような板状のものは入れにくい。ポケットが湾曲している理由は、アンチグラビティサスペンションのためにポケット部分の裏にもメッシュが使われ、体から浮くようなデザインになっているからで、つまり通気性重視のために、ポケットの使い心地をいくらか犠牲にしているのである。一方、左には折りたたんだ地図を入れたが、こちらは地図の柔らかさもあって問題なく使えた。

雨蓋には一般的な大型ポケットのほか、その上にも薄いポケットが付属。内部にはフックもあり、カギなどの大事なものを固定できるようになっている。フロントにも大型ポケットがあり、バックルで留められるので、ウェアなどを押しこんだときも落ちにくい。

メインの荷室は、ボトム部分にもファスナーが付いた二気室構造だ。内部の仕切りはストラップで留められているだけなので、簡単に一気室にして使用することができる。

内部をのぞき込むと、ハイドレーションシステム用のポケットがつけられた荷室の背中側が、湾曲しているのがわかるだろう。ただし、少しだけ。背面の「アンチグラビティサスペンション」を外側から見ていると、メッシュ生地と荷室のあいだに隙間を作るため、もっと湾曲させてあるように感じるが、思ったほどではない。しかし、これはよいことだ。なぜなら、荷室が大きく湾曲していると荷物が体から離れ、重心も外に移動して荷重が背中に乗らない。その結果、歩きにくくなって疲労の原因になる。だが、アトモスAG 50にはそんな心配があまりない。実際に、荷物の重さで体が振られる感覚はほとんどなく、よい意味で「普通」に歩くことができた。

サイドのポケットは工夫されている。1リットル程度のボトルが余裕で入る大きさだが、ただ大きいだけではなく、上からも横からも入れられる形状なのだ。

上から入れたほうがボトルは落ちにくいが、横から入れれば荷物を降ろさずに立ったままでもボトルを取り出せる。どのように使うかは、自分の好みだ。

アックスなどを取り付けるループは左右につけられている。根元には収納用のスリットがあり、使用しないときは完全に隠すことができる。


同様にアックスの上方を留めるコードも収納可能だ。些細な点だが、岩場などでは周囲に引っかかる危険を少しだけでも下げられ、安全性が増すだろう。

チェストハーネスのストラップのバックルには、ホイッスルがつけられている。何かのトラブルのときには、周囲の人の注意を集めることができるはずだ。

口でくわえる部分がとても小さく、吹きやすいとは言えない。だが、わざわざ別に購入して取り付ける必要はなく、必要最低限の機能と考えれば十分に有用である。

オーレン小屋に向かって登山道は徐々に標高を上げていった。だが、林道部分も長く、手入れも行き届いているので、どこも歩きやすい。

だが、テント泊用の荷物となると、それなりの重量だ。僕は足腰への負担を軽くしようと、トレッキングポールを両手に持って歩いていた。

トレッキングポールを歩行開始時から使用しないのであれば、折りたたむなり、短く縮めるなりして、サイドやフロントに取り付けておけばいい。しかし問題は歩行中、一時的に使わないときはどのように持ち運べばいいのかということだ。

その点、アトモスAG 50にはトレッキングポールの上部を一時的に留めるためのコードがショルダーハーネスにつけられている。

簡単に締めたり緩めたりでき、固定しやすい仕組みだ。

それに対し、下部はバックパック本体のボトム近くにループがあり、そこにトレッキングポールの末端を通すだけである。

じつにシンプルだ。だが、これで充分に用をなすのである。

下の写真は、コードとループでトレッキングポールを固定した様子だ。トレッキングポールを伸ばしたままだと、このように先端が膝近くになり、険しい岩場などでは邪魔になる可能性が高い。

その際は折りたたんでから、同じようにサイドに固定したほうがよいだろう。折りたたむのは面倒だが、バックパックを下ろしてサイドポケットに入れたりするよりは楽だ。そして、再び必要になったときにはすぐに取り出すことができる。

 

テントを設営、荷物を減らして歩くときも、小技が効いて使いやすい!

オーレン小屋に到着。早めの時間から歩き始めたため、まだ8時過ぎである。僕はこの小屋のキャンプ場にテントを張り、それから硫黄岳山頂を目指すことにした。不必要な荷物をテントに置いていけば、身軽に行動できる。

ただし、今回はバックパックのテストを兼ねた山行だ。僕はあえて荷物を減らしすぎないようにして、ある程度の重さを維持したまま山頂へ向かうことにした。

このとき、アトモスAG 50が持つ「フラップジャケット」というおもしろいディテールを試してみることができた。これは雨蓋代わりに荷物の出し入れ口を覆う薄手のパーツ。写真の左が通常の雨蓋で、右がフラップジャケットである。雨蓋のポケットを利用するほどの荷物がない場合は、雨蓋を取り外してしまい、軽量なフラップジャケットのみで行動できるというわけだ。

荷物が少ないときは雨蓋を取り外して使えるバックパックは多いが、ただ雨蓋を外しただけだと、内部の荷物がこぼれ落ちたり、雨水が入りやすくなったりする。だがフラップジャケットがあればそんな心配は減る。ロープやヘルメットを固定するのにも便利な形状だ。

山頂に向かう前に荷物を減らしたとき、僕は二気室の下の区画には何も入れず、ストラップを引き絞り、つぶしてしまった。

その際に機能したのが、サイドのグレーのストラップだ。一般的なバックパックであれば、コンプレッションストラップはサイドだけを引き絞るようになっているが、アトモスAG 50のストラップはサイドからボトムへと90度下に方向を変えてつけられている。そのためにストラップを引き絞ると、荷室の下の部分もいっしょにつぶせる。だから、荷物を減らしたバックパックはよりコンパクトになり、扱いやすい。

ある程度の荷重を残しつつも、出発時よりもコンパクトになったバックパックを背負い、僕は硫黄岳へ歩き始めた。

天気は不安定だが、雨が降る気配はいまだない。少し速足で歩いていると汗ばんでくるほど僕の体感温度は高い。だが、アンチグラビティサスペンションの効果もあって、背中が汗でべったりと濡れることはなかった。

快調に歩いているうちに、硫黄岳の山頂に到着。平日だったが、さすが人気山域とあって、登山者の数は想像以上だった。

 

まとめ: 背負い心地も、細部も良く「かゆいところに手が届く」バックパックだ

僕はこの後、根石岳のほうへ稜線を縦走していくことになる。そのあたりの話は、次回に……。

さて、アトモスAG 50について振り返ろう。

トータルでの感想は、「かゆいところに手が届く」バックパックということだ。腰のポケットの使い勝手は好みがわかれそうだが、メインの荷室やポケット類は総じて使いやすい。コンプレッションストラップの取り付け方も便利で、完全に収納できるループ類も気が利いていた。フラップジャケットは単純なパーツではあるが、十分に機能を発揮してくれる。

なにより、アンチグラビティサスペンションがもたらす背負い心地は上々だ。あまりにも立体的なので収納時にはあまりコンパクトにできず、自宅に置いておくと少々邪魔になるかもしれないと考えてしまったほどである。これだけユニークな背面とヒップハーネスは類を見ず、オスプレーらしい独自性が光っていた。

最後に触れておきたいのは、その価格だ。これだけの背負い心地とディテールを持ちながら、じつにリーズナブルなのである。初めて大型バックパックを買おうと思いながらも、予算面で不安がある方には、ぜひ一度は実物を見てみるとよいのではないだろうか。

 

今回登った山
硫黄岳
長野県
標高2,760m

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ザック
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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