東京・御嶽駅改札口から徒歩すぐ。中華料理店「東峯園」で野菜たっぷり手打ちラーメン

下山後に味わいたい粋なごはんを紹介するライター西野 淑子さんの「下山メシのよろこび」。今回は、新宿駅よりJR青梅線で約1時間40分、御岳山や大岳山をはじめ、高水三山などの登山口となる御嶽駅で立ち寄った中華料理店を紹介する。登山帰りだけでなく、クライミング、カヤックやラフティングなどアクティビティの腹ごしらえにもよさそうだ。

JR青梅線御嶽駅前。「手打ラーメン」と看板の出ている、その中華料理店のことはずっと気になっていた。

年に数回訪れる御嶽駅。下山後に御嶽駅に立ち寄るときは、バス乗り場前の「のしこん」で刺身こんにゃくを買って帰り、その日の夕食に出すのが定番だ。…しかし、ふだん御嶽駅に立ち寄るのは、昼食には遅く、夕食には早すぎる中途半端な時間帯。なかなかその店「東峯園」に足を踏み入れるチャンスはなかったのだ。

登山ルートの下見が思ったより早く終わり、昼過ぎに御嶽駅にたどり着いた。チャンス到来。

平日の昼、作業着姿のお仕事の人、地元の常連さん、観光客らしき人で席は埋まっている。店内は明るくてきれい。そういえば昨年改装をしていたんだった。

ラーメンや炒飯、中華丼などの定番の中華料理と、丼ものや定食類などがメニューに並んでいる。周りの人の食べているものを見るといろいろだ。観光客ぽい人はラーメンを、お仕事中とおぼしき作業着姿の人は定食をがっつり食べている。「肉、野菜、しめじが入ったみたけラーメンがおすすめ」と書いてあったので、素直に従うことにする。それから餃子も。厨房が近く、炒め物の軽快な音が聞こえてきて、よい匂いが店内に漂う。料理 を待ちながら幸せな気分。

みたけラーメン登場。炒めた野菜がドーンと乗って小山のようだ。まずスープを一口。あっさりとした、でも野菜などのうまみが感じられる、醤油ベースのスープ。もやしやキャベツ、しめじはシナシナとシャキシャキのちょうどよい加減。ときどき登場する豚肉も存在感がある。具がだいぶ多く、どんどん食べ進めているのになかなか麺にたどり着けない。ようやく麺にたどり着くと、中太、やや平打ちの麺。あっさりとしたスープとの相性がいい感じ。のどごしがよく、つるつるっと入っていく。

ラーメンを食べているうちに餃子が登場。小ぶりでかわいらしい。種じたいに濃い味がついておらず、ほっくりとしたやさしい味わいだ。サイズ感も味も、ご飯のおともというより、ビールのつまみに良さそうな感じ。5個あっという間にたいらげてしまい、もう一皿食べたかったかもと後悔。

中華料理というと濃い味だったり、油がこってりというイメージで、下山後にそれはそれで美味しいし満足するのだけど、このお店で味わった料理は、和食のように身体にやさしく染み渡る。予想外なのに心地いい。

次回は丼ものや定食でご飯をがっつり味わってみよう。お酒のおつまみになりそうなメニューもいろいろあったから、下山後に軽く飲んで帰るのにもいいかもしれない。なにせ駅まで徒歩1分程度、走ればすぐだ。…いや、その油断が間違いのもとか。美味しいものは時間を忘れさせるから。