「豆腐料理が単品でも食べられますよ~」。丹沢・大山のこま参道で立ち寄りたい「塚本みやげ店」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

下山後に味わいたい粋なごはんを紹介するライター西野 淑子さんの「下山メシのよろこび」。今回は、都心からのアクセスもよく、古くから信仰の山としても知られる丹沢・大山へ。

12月上旬の大山山頂の様子。晴れていると相模湾も一望

 

丹沢・大山登山の入山口、大山ケーブルバス停からケーブルカーの山麓駅に向かう「こま参道」には、土産物屋や食事処など、いくつもの店が建ち並ぶ。362段の階段の登りはちょっと息が上がるが、お店を眺めながら歩くのは楽しい。

店先に大山名物“大山こま”などのお土産が並ぶ「塚本みやげ店」

道中には大山名物の豆腐料理や猪鍋を供する店も点在している。たっぷり時間が取れるなら、昼食に豆腐料理を味わいたいのだが、山の帰りに立ち寄るには若干慌ただしいのが現実だ。大山の下山後、一息つきたいときに訪れる、私のお気に入りが「塚本みやげ店」だ。“みやげ店”という名前ではあるが、広い食堂スペースがある。

 

「豆腐料理が単品でも食べられますよ~」

笑顔が素敵な女将さん

お店の前を通ると、女将さんが声をかけてくれる。大山の豆腐料理店の多くは、さまざまな豆腐料理をコース料理風にいただくシステムなのだが、この店は単品で味わえる。おすすめは豆腐の上に甘辛の味噌が乗った味噌豆腐。寒い時期は温かい豆腐にしてもらうこともできる。シンプルに豆腐の風味が味わえる冷やっこや温やっこもいい。

うどん、そばも提供している。新そばの時期は女将さんが「今は新そばでおすすめよ~」と声をかけてくれるので、ついつい頼んでしまう。

 

先日、ハイキングの講座の帰りに訪れた。天気があまりよくなく寒い日だったので、暖かい店内に入り、女将さんはじめお店のみなさんの笑顔にほっとする。大人数で訪れても、あまりきれいではない大きなザックを背負っていても、オーダーでもたもたしても、いつもにこやかに応対してくれるのが有り難い。この日は豆乳杏仁豆腐と大山コーヒー、温かい味噌豆腐をオーダー。

味噌豆腐は、シンプルな大山豆腐の上に、濃いめの甘辛の味噌と辛子が乗っている。味噌と辛子を混ぜつつ、豆腐ととともにいただく。豆腐と味噌、辛子の調和がいい。冷たいと豆腐のスッキリした風味が際立つが、温かいと豆の風味が感じられるように思う。これは日本酒と合わせたいな…。

筆者おすすめの「味噌豆腐」。甘辛の味噌と辛子をアクセントに

 

豆乳杏仁豆腐はやさしい味わい。人気メニューゆえ、遅い時間に行くと売り切れのことも多いのだが、今回は久しぶりに味わえた。ふわっとした食感と豆乳の風味。上にうっすらと乗っている蜜がほどよい甘みで癒される。あっという間に食べてしまうけど、もうちょっと食べたいなと思うくらいがちょうどいいのかもしれない。

心も体もいい感じに温まった。ごちそうさま。

人気メニューの「豆乳杏仁豆腐」と「大山コーヒー」

 

お会計をしながら、店内やお店の外に並んだ土産物に目がいく。…あ、日本酒の小瓶もあるのか。これは酒好きのお友達に喜ばれそうだ。今度は仕事でないときに、味噌豆腐をつまみに、このお酒を飲みたいな。

名水でも有名な大山の伏流水で造られる「手作り本地酒 阿夫利大山」

塚本みやげ店

大山ケーブル乗り場に向かうこま参道に建つ。大山こまなどの木製玩具民芸品、大山の名産品を販売する。お休み処では各種豆腐料理や甘味、そば・うどんなどの軽食が味わえる。

住所:神奈川県伊勢原市大山658
電話:0463-95-4391
HP:なし

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

編集部おすすめ記事