雪を求めて十勝岳連峰へ。三段山でバックカントリースキーを楽しむ
記録的な暖冬が続く今シーズン。雪を求めて十勝岳連峰・三段山へ。近年、国内外のバックカントリースキーヤーに人気が高まる注目エリアです。

年が明けると大雪山もふかふかの雪に覆われ、バックカントリーの適地となります。特に十勝岳連峰一帯は、十勝岳、前十勝岳、富良野岳、三段山といったバックカントリーに適したコースが豊富で、吹上温泉保養センター「白銀荘」をベースキャンプとしたバックカントリースキーヤーが集まります。
10年前までは、一部のバックカントリースキーヤーしか訪れませんでしたが、週刊ヤマケイ(現在休刊)や『山と溪谷』でご紹介した6~7年前からは、外国人にも情報が広がり、ニセコから足をのばしたり、東洋人の観光客がトレッキングで訪れるようになり、賑わいをみせるようになりました。
時にはマイナス20℃~30℃にも冷えることから、現在外国人に人気のニセコ一帯の雪質とは異なり、パウダーと言うよりダウンのような軽い雪質です。手のひらにのせた雪に息を吹きかけるだけで飛んでいってしまうような軽さなのです。また、朝陽が差し込む時間帯では空中の水蒸気が凍って光るダイヤモンドダストも見られ、幻想的な風景を楽しむことが出来ます。

その中でも三段山(1748m)はスノートレッキングも盛んです。樹氷の森の中を散策したり広大な山域と富良野岳を望める第2の壁(通称二段目)を登り切った標高1300m地点まで登るツアーや、夏道を辿りながら頂上まで登り切るツアーまで、それぞれの体力にあったコースを散策する事が出来ます。
しかし、天候によって自分のトレースがすぐに消えてしまったり、ホワイトアウトや吹雪で視界がなくなりルートを探せなくなったり、強風やマイナス20℃にもなる低温に体調を崩したりと、リスクが高いのが北海道の冬山です。初心者や地形の把握が乏しい方は、ガイドと一緒に登ることをお勧めします。

バックカントリースキーで三段山を滑走
毎年何回も訪れる私ですが、先月、2019年12月27日に登った最新の情報をお届けしたいと思います。

2年連続の暖冬で、降雪が少ない北海道において、十勝連峰一帯も例外ではなく、バックカントリーを楽しむエリアを広げることが出来ないでいました。それでもかろうじて三段山なら、バックカントリースキーを楽しめるだろうと、一人で登ってきました。2~3日雪が降っていないせいもあって、トレースがあちらこちらに続いてます。今回は膝上ラッセルもなくトレースを利用させて貰いながら、2時間で登りました。

通常の所要時間はスキーとスノーシューとは異なりますが、登りで2時間から3時間30分、下りは40分から3時間と差が出てきます。バックカントリースキーのコースとしては夏道コースと南西コースの二通りが一般的です。

標高1300m付近で合流した地点から上部は広い尾根伝いに「三段目」まで登り、その先は山頂を見ながら雪質の良いルートを探しながら山頂まで登ります。今回は適度な新雪が残っていたため、スキーアイゼンを使わず登れました。山頂からは富良野岳や十勝岳が見え隠れするような雲がかかるものの、微風のためマイナス10℃ほどの気温の中、1時間程過ごして、スキー滑走を楽しみながら降りてきました。

▼今回の山行動画
※積雪期の山は、雪の状態や天候によって、難易度、コースタイムが大きく変わります。計画時には必ず出発前後の天候やエスケープルート、山小屋などの避難できる場所を確認しておきましょう。また、バックカントリースキーは、特に雪崩等の危険を伴います。初心者のみの入山は避けましょう。
プロフィール
谷水 亨
北海道富良野市生まれの富良野育ち。サラリーマン生活の傍ら、登山ガイド・海外添乗員・列車運転士等の資格を持つ異色の登山家。
子育てが終わった頃から休暇の大半を利用して春夏秋冬を問わず北海道の山々を年間50座ほど登って楽しんでいる。
最近は、近場の日高山脈を楽しむ他、大雪山国立公園パークボランティアに所属し公園内の自然保護活動にも活動の範囲を広げている。
YouTubeでも北海道の山々の魅力を動画で配信中。YouTubeチャンネル今がいい山、棚からひとつかみ
山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。
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