登山後は“ひなびた”温泉へ! ひなびた温泉研究所ショチョー岩本勲さんオススメを紹介
登山後の温泉の気持ちよさったら、もう格別。一度でも味わったことがある人ならきっと賛同してくれるはずだが、せっかく山奥に行くのなら、ひなびた温泉に足を伸ばしてみてはいかがだろうか?

みなさんは登山帰りに、どのような温泉をチョイスしますか? 今回おすすめしたいのが、日本各地の山の麓にある、ひなびた温泉。
「ひなびた温泉」とは、観光的な温泉とは一線を引き、地元の人々に長年愛されているローカルな温泉です。
WEBマガジン「ひなびた温泉研究所」を運営し、「ひなびた温泉パラダイス」(山と溪谷社)を執筆した、まさにひなびた温泉第一人者の岩本勲さんにその魅力とおすすめの温泉を聞きました。
編集部: ひなびた温泉の魅力はなんですか?
岩本さん: ひなびた温泉の魅力は、時間がしみ込んでいるかのような味わいにあります。建物のたたずまい、浴室の柱、壁、床、湯船、桶、湯そのものにも、長い時間がしみこんでいるような。それは人工的に作れるものではなく、長い時間をかけてじっくり熟成してきたのです。しみこんだ時間のぬくもりがたまりません。また、地元の常連さんとの触れ合えるのも楽しみです。
編集部: ひなびた温泉は雰囲気だけでなく、お湯もいいんですか?
岩本さん: ひなびた温泉は、長きにわたって人々に愛されてきた温泉です。なぜ愛されたのかというと、湯がよかったからです。人の絶えない古びた食堂の飯がうまいのと同じです。ひなびた温泉へ行けば、ほとんどハズレはありません。
編集部: 岩本さんのおすすめを教えてください!
岩本さん: 東日本では那須湯本温泉雲海閣です。雲海閣の特徴といえば、浴槽に続く長~い長い階段。長いだけでなく、ここはドラマ「日本ボロ宿紀行」にも登場した古い宿。ホラーな通路を通って浴槽へ行きます。
しかし、その先には間違いなしの名湯が待っています。硫黄の香りがプンプンする白濁した強酸性の熱めの湯が実にまろやかです。

那須湯本温泉 雲海閣(栃木)

栃木県那須郡那須町大字湯本33
TEL:0287-76-2016
通年営業(9時~20時)/入浴料400円
近くの登山地 ――茶臼岳(1915m)
九合目まで通じているロープウェイの山頂駅から茶臼岳、朝日岳、三本槍岳を縦走して山麓駅に下ると約6時間。
岩本さん: 西日本でおすすめは、鉄輪温泉の市の原共同温泉です。地元の人のための共同浴場のことを、温泉マニアの間で「ジモ泉」と呼びます。ここはまさにジモ泉です。浴室は正統派別府のジモ泉という感じで、激渋です。別府らしい熱めでさっぱりとした気持ちいい湯です。まわりにはたくさんの共同浴場があるので、共同浴場巡りをするのもいい。

鉄輪温泉 市の原共同温泉(大分)

DATA
大分県別府市新別府7組
TEL:0977-67-6877
通年営業(5時30分~22時)/入浴料200円
近くの登山地 ――由布岳(1583m)
円錐型の山容から、「豊後富士」とも。登山口は3ヶ所あるが、どのコースも往復約4時間。
さて、ひなびた温泉の渋くて奥深い魅力、伝わりましたでしょうか。山歩きの後に、疲れた体を熱い湯に沈める。考えただけでニヤニヤしてしまう人もいるのでは。
発売中の『山と溪谷2月号』では、第2特集で全国各地のひなびた温泉を一挙紹介! ひなびた温泉に興味を持ったという人は、ご一読を。岩本さんが上梓した『ひなびた温泉パラダイス』も合わせてぜひ。
今週末のハイキングの候補地は、ひなびた温泉を基準に選んでみてはいかがでしょう。
プロフィール
山と溪谷編集部
『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。
From 山と溪谷編集部
発刊から約90年、1000号を超える月刊誌『山と溪谷』。編集部から、月刊山と溪谷の紹介をはじめ、様々な情報を読者の皆さんにお送りいたします。
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