高台の露天風呂からは丹沢の山々が眺められて気持ちがいい。山行帰りに「秦野天然温泉さざんか」へ
下山後に味わいたい粋なごはんを紹介するライター西野 淑子さんの「下山メシのよろこび」。今回は、丹沢の山々が眺められる露天風呂がある日帰り入浴施設へ。今日歩いた山を眺めながら登山の疲れを癒し、お腹も満たす。
丹沢の山から下りると行きたくなる温泉がある。
小田急線の東海大学前駅から歩いて5分の「秦野天然温泉さざんか」。正直、丹沢の山々から下りたあとに行くにはアクセスがややよくないし、駅から温泉までも歩ける距離ではあるが、最後に坂を上らなくてはたどり着けない。
それでも、山行がうまく進んでいい時間に下山できたら、自分にご褒美で立ち寄りたくなる。
男女別に内風呂と露天風呂があり、内風呂はジェットバスやジャクジー、電気風呂、サウナなどがある。大浴場はヒノキの浴槽や岩風呂、さらにはつぼ風呂などあってバラエティ豊か。広過ぎない面積にいろいろな湯船があるので、あれこれ浸かってみたくなる。
高台にあるので、露天風呂からは丹沢の山々が眺められてなかなか気持ちがいい。さわやかな風を感じながら、今日歩いた山のことをぼんやりと考える時間が心地よい。
久しぶりにいい感じに山行が進み、さざんかに立ち寄ることができた。
温泉でさっぱりしたら、お腹がすいた。館内の食堂「だいこんや」に入った。 地元秦野の食材を取り入れた、季節ごとの食材で作る旬の和食が味わえる食事どころだ。明るく広い店内、窓際のカウンター席にひとり座った。
とりあえずビールが飲みたいと思ったら、「快速セット」なるものがある。ビールと枝豆、おつまみで700円。まずはそれ。ご飯もしっかり食べたかったので、「だいこんや御膳」も注文。
たしかにすぐに出てきた「快速セット」。山盛りの枝豆、冷や奴、もやしとわかめの和え物。おつまみが思ったより多い。和え物を一口。ちょうどいい味付けで、箸もビールも進む。豆腐の風味もいい。下山後にちょっと飲むだけなら、この1セットで十分満足できるだろうな。
ビールを飲み終えてボーッとしていると、お待ちかねのだいこんや御膳が登場。風呂桶をイメージした寿司桶に、いくつもの小鉢が並べられて、彩りがよくかわいらしい。大根と豚の角煮、大根の甘酢和え、かつおのたたき、温泉たまご、などなど。小さなデザートもついている。
どの料理も素材の味をいかした上品な薄味、身体に優しく染み渡る。美味しい物をちょっとずつ、たくさんの種類食べたいときに、この料理はとても嬉しい。食べ進めていくうちにお腹が満たされ、幸せな気持ちになるのだ。
身体も心もいい感じに温まった。ごちそうさまでした。
あとで調べてみたら、旬の料理を提供するため、メニューは随時入替えをしているのだという。そうか、今度は夏、沢登りの帰りにでも来てみよう。次回は飲みメインでおつまみをあれこれつまみ、そばで締めるのもよさそうだ。どんな料理に出会えるだろうか。
秦野天然温泉さざんか
丹沢の山々を眺めながら、豊富な湯量の天然温泉を楽しめる日帰り入浴施設。手もみ処やあかすり処などのリラクゼーションも豊富。旬の和食が味わえる食事どころ「だいこんや」あり。
住所:神奈川県秦野市南矢名2-13-13
電話:0463-78-0026
HP:https://onsen-sazanka.com/
プロフィール
西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)
初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。
下山メシのよろこび
登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。