【書評】山の危険と救助のリアルに迫る『剱の守人 富山県警察山岳警備隊』
(評者=木元康晴)富山県警察山岳警備隊は60年に近いその歴史のなかで、ノウハウを積み重ねてきた。山の危険を熟知した上で、二重、三重のバックアップも講じ、確実な登山者の救助をめざしている。
山に関する新刊の書評を中心に、山好きに聞いたとっておきもご紹介。
【書評】山の危険と救助のリアルに迫る『剱の守人 富山県警察山岳警備隊』
(評者=木元康晴)富山県警察山岳警備隊は60年に近いその歴史のなかで、ノウハウを積み重ねてきた。山の危険を熟知した上で、二重、三重のバックアップも講じ、確実な登山者の救助をめざしている。
【書評】社会学者がつづる「おひとりさま」の二拠点生活の内実『八ヶ岳南麓から』
大学時代はワンダーフォーゲル部に所属されていたという上野さん。八ヶ岳に来られて以来、周囲の山はほとんど踏破されたというし、膝を悪くされてからはもっぱらスキーを楽しまれる。
【書評】当事者の証言から雪崩事故の実像を導き出す『証言 雪崩遭難』
雪山を登ったことがない人にも、ある程度経験を積んだ人にも、容易に思いつくという点では、雪崩遭難はいちばん身近であろう。
【書評】北海道分水嶺700㎞仮想の荒野を歩く『北海道 犬旅サバイバル』
現代社会の本質は消費である。つまりお金がなければ社会に参加できない。であるなら、無銭旅行をしたらそこは荒野になるのでは?
こうして愛犬ナツと鉄砲を相棒にした北海道大放浪がはじまる。
【書評】雪のくに、森のくに。ブナの森に暮らす写真家による写文集『雪のくに移住日記 ブナの森辺に暮らす』
小気味のいい移住記が生まれた。舞台は長野県飯山市羽広山集落。訪ねたことのない土地だ。けれどページをめくり写真を見渡しながら、どこか「似ている」と思う。私が暮らす北海道の豪雪地帯、空知地方の里山に。
【書評】創立100周年 山小屋を支え続ける二代目のまなざし『穂高に遊ぶ』
今思うとその山小屋は、独特な空気に満ちていた。個人がもつ自主性、創造性、責任感。得体のしれぬ緊張感。ほかの山小屋では感じることのない何かが、そこには漂っていた。
【書評】64年前の謎に迫るノンフィクション待望の文庫化『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』
旧ソ連時代の1959年、極寒の雪山で9人の若い登山家が謎の死を遂げた。チームリーダーだったイーゴリ・ディアトロフの名前から《ディアトロフ峠事件》と呼ばれる遭難事故の真相は、いまだに解明されていない。
【書評】八ヶ岳山麓での自然との対話をつづった随想集『歌わないキビタキ 山庭の自然誌』
本書は、著者が東京の自宅や八ヶ岳の「山庭」などでの生き物との出会いごとに想起した心象をつづる随想である。2020年6月から23年3月までの日記ふうの6章からなる。
【書評】北の大地に生きる動植物を見つめた連載を単行本化 『伊藤健次の北の生き物セレクション』
「草木も虫も動物も、異なる姿でばらばらに生きているように見えて、大きな時間の流れの中では、隣り合い、繋がり合って生きている」(まえがきより)。こういう世界に人間も暮らしているのだと、この本は目を開かせてくれる。
【書評】登山史に埋もれた人物や出来事を丁寧にひもとく『登山史の森へ』
登山はジャッジのいないスポーツである。申請が必要なヒマラヤやデナリなどは、登山の成否が現地に残る。日本国内や欧州アルプスなどは、山岳雑誌、山岳部部報や山岳会会報などが記録を知る手がかりとなる。