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編集長が会社を40日間留守にするには、仕事を前倒しにする必要があるわけで・・・

アウトライヤー 萩原編集長のヒマラヤ未踏峰挑戦記
ガイド・記録 2020年04月02日

遠征隊への出発が近づく萩原編集長。遠征の予定は約40日間、その間の仕事を前倒しで行うために奮闘する萩原氏の心の叫びは、全サラリーマン登山者の悲哀かもしれない。

 

世界最忙? クライミング雑誌編集長

Date 2013年09月09日(月)


世の中には「インターナショナル・クライミングエディターズ・サミット」なるイベントがあります。これは世界中のクライミング雑誌の編集長が一堂に会し、それぞれの国の登山事情について情報を共有しながら、ともにクライミングを楽しみ、親交を深めようといった趣旨のもと、2009年にアメリカのコロラド州で初めて開催されたものです。

初回の参加メンバーは10カ国24人。 ゴールデンにあるアメリカ山岳会本部に集まった各国の編集長は、エルドラド・キャニオンからユタ州の砂漠地帯へと移動し、キャッスルトンタワー、フィッシャータワー、インディアンクリークなどでクライミング三昧の日々を楽しみました。夜はモアブ砂漠で盛大な焚き火を囲みながらのキャンプ。まさに浴びるよ うにビールを空けて親交を深めたものです。

第一回エディターズサミットで登ったキャッスルトンタワー(右端の尖塔)


キャッスルトンタワー2ピッチ目の登攀の様子


第2回目の会合は2011年 秋のドイツ。おりしも世界最大のビールの祭典、オクトーバーフェストの期間中で(ホスト国のドイツはこれを計算してた?)、初日からミュンヘンの特設ビア ホールで特大ジョッキを傾け、翌日からはフランケンユーラやフリークライミング発祥の地と言われるエルベ砂岩地帯などでクライミングを楽しみつつ、「インターネット時代におけるクライミング情報発信のあり方」などをテーマに話し合ってきました。

で、彼らとの交流のなかで、とにかく皆が驚いていたのが日本の剱岳の雪の物凄さ。

これはあらかじめ空撮や黒部横断などの強烈な写真を用意していったので、その反応は想定内でしたが、やはり彼らは青い目を丸くして食い入るように画面に見 入っていました。そして、標高は低くとも日本にはヒマラヤに匹敵する厳しい雪山があり、ギリギリボーイズに代表される世界水準のクライマーたちはここをト レーニングの場として育ってきたという背景について、十分に納得できた、との感想を得たものです。

そしてさらにもうひとつ、彼らが等しく驚いていた(というかあきれていた)のが、ニッポン人(というか私自身)の仕事の密度でした。

『ROCK&SNOW』と『CLIMBING joy』、合わせて年間6冊は、実質2人で編集していること。そしてそれは私にとって必ずしもメインの仕事ではなく、ほかに単行本を8冊、カレンダー5冊、DVD登山ガイドの編集・執筆なども担当し、年間で計20タイトル以上を刊行していること。

平均睡眠時間は3時間程度で、今回も帰りのルフトハンザ機内で読むためのゲラをかかえてきたことなどを話したところ、皆に言われたのは「あんた、働きすぎ」。

まあ、たしかに今も会社のデスクでシッティング・ビバークを日常茶飯事としている現状ではありますが、先日、少し似た環境にある韓国人ジャーナリストと深夜のメールのやりとりをしていたときに言われたのが「ハギワラさん、あなたは休みを必要としているよ(直訳)」。とうとう彼に同情されてしまったということは、やはり山岳雑誌の編集者としては「世界最忙」と言えるのかもしれません。

ちなみにこのブログの左右に紹介している雑誌・書籍・カレンダー・写真集は、今年4月から9月までの半年間に私が担当したものです。半年で雑誌を含めて11冊は頑張り過ぎ? なのかもしれませんね。

ということで、どうやら「休みを必要とされる」編集長としては、来週から約40日ほど会社を留守にさせていただき、ヒマラヤの風に吹かれてくることにしました。夏休み全部と勤続30年記念のリフレッシュ休暇、それに、たしか過去15年くらいは有給休暇をとっていなかったことなどを考えれば、20日ちょっとの休暇は許していただけるのかな・・・と、甘えさせていただきたく思います。

ただですね、長期間休むということはそれだけの仕事を前倒しですすめなければならないわけで、この「仕事の山」がじつに険しい。もしかするとヒマラヤの山よりも険しい。出発まで10日を切った今、超爆速モードで仕事の山を登攀中でありますが、ともあれ無事に出発できるように頑張ってみることにします。

⇒次号/出発日迫る! 慌ただしく荷物を準備して高度順応トレーニングも進める

教えてくれた人

萩原 浩司

モットーは「ウラヤマからヒマラヤまで」。あらゆる山登りに対して深い興味と愛情を注ぎ、南高尾山稜の陽だまりハイキングから北アルプスの縦走登山、残雪の南会津スキーツアーに奥秩父の沢登り、小川山のフリークライミングや八ヶ岳のアイスクライミング、中央アルプスの冬季登攀、そしてたまには海外登山と、オールラウンドに山を楽しんでいる。普段の仕事は山と溪谷社の編集者。

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