出発日迫る! 慌ただしく荷物・装備を準備、高度順応トレーニングも進める

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出発まで、いよいよカウントダウン開始となった萩原編集長。その前に、さまざまな準備に奮闘。高地順応、機材のチェック、新兵器の投入・・・。遠征の前の準備がどんなものなのか、その様子を確認してほしい。

 

標準装備、カシオ 「プロトレック PRW-3000」

Date 2013年09月10日(火)


以前の記事でプロトレックに「Janak Chuli」モデルがあることを紹介しましたが、なんと、このたび、カシオさんから新型のプロトレックを全隊員に支給していただくことになりました! 今年(2013年)の7月に新発売となったPPW-3000です。

★ヒマラヤ未踏峰挑戦記:プロトレックに「Janak Chuli」モデル

新開発トリプルセンサーVer.3を搭載した同モデルは、圧力センサーの精度を高めて高度計測の間隔を短縮化し、計測単位が5m単位から1mへと飛躍的に向上、シンプルなデジタル表示画面で、より軽く、薄く、使いやすい設計となっています。

隊員に支給されるプロトレックPRW-3000。登頂成功の際には、ベルトに大学のロゴと登頂記念のネームが刻印されることになっている


人類未踏の稜線で、1m単位での高度計測ができることは魅力的。急激な気圧変化に対してアラームを鳴らすという新機構も頼もしいかぎりです。

とはいっても先述の「Janak Chuli」モデルを置いていくわけにもいかず、おそらく今回は「2台持ち」で登ることになることでしょう。しかし、たまたま隊員たちとの最終打ち合わせの席上で、2台のプロトレックを両手につけていたところ、「ハギワラさん、それ、すごく頭の悪い人のように見えます」という辛らつな意見が・・・。高所での携帯の方法についてはもう少し研究しようと思います。

 

富士山頂宿泊訓練と低酸素室トレーニング

Date 2013年09月12日(木)


いよいよ出発が迫ってきたということで、先週末は計画どおり、富士山頂での宿泊訓練に行って来ました。パートナーの村上隊員が来られなくなった代わりに、NHK-BS1「実践! にっぽん百名山」でお世話になっている釈 由美子さんが同行。

「富士山頂写真家」小岩井大輔氏が働いている吉田口山頂の扇屋さんに1泊し、早朝の猛烈な風雨という悪条件を体験するなど、充実したトレーニング山行となりました。

須走口から富士山頂をめざす。天気がよかったのはこのあたりまで・・・


そして昨日は18時から、「ミウラ・ベースキャンプ」の低酸素室にて標高5500~6000m条件下でトレーニング。そのまま標高4000m条件下で睡眠。

ただし猛烈に仕事がたまっているため、22時消灯のところを24時までパソコンに向かってから低酸素室にもどり、それから6時間、快眠しました。6時に起床して低酸素室を出ると、シャワーを浴びて2時間ほど仕事を続けてから、そのままスタジオへ。

ミウラベースの低酸素室でトレーニング中。楽そうに見えるがけっこうツライ


今日は「実践! にっぽん百名山」の収録日だったのですね。ヒマラヤに出かけている間の分を前倒しでカバーするため、朝の9時半からスタジオに入っていました。

低酸素ボケの私の話を、MCの釈さんがうまくリードしてくれたおかげでなんとか収録終了。それから出社して、現在は『CLIMBING joy』表紙の入稿と、『山と溪谷』の記事編集をしている合い間にこれを書いています。どうやら今夜もビバークになりそうな予感・・・。

先発隊はすでにカトマンズに入り、食料等の調達をしてから本日、キャラバンに出発する予定です。しばらくは現地からの便りが滞るかもしれませんが、気になる方は青山学院大学山岳部のホームページへどうぞ。

 

ノートPCを分解してSSD搭載マシンに改造

Date 2013年09月17日(火)


「高所では気圧の関係でハードディスクが動かなくなる」「キャラバン中の衝撃でハードディスクが壊れる心配があるので注意」といったアドバイスを受けて、ヒマラヤに持っていくメインマシンはSSD(ソリッド・ステート・ディスク)に載せかえた機種にしました。

ベースキャンプまで衛星モデムとソーラーバッテリーを担ぎ上げるので(もちろんポーターさんたちが、ですけど)、現地から、なにがしかの情報を送れるように工夫してみたいと思います。

で、バックアップ用にもう一台、ネットブックを持っていこうと思い、こいつもついでにSSDに換装してしまおうと、まずはメモリの増設から始めてみました。キーボードをはずし、各種コネクタを引っこ抜き、中のパネルをひっくりかえしてお目当てのメモリ発見。そお~っと差し替えて無事にメモリの増設完了! 動くかどうかドキドキでしたが、いちおう動くことを確認しました。なぜかネジが1本余ったけど、ま、いいか。

無残に解体された状態のネットブック。その後、パワーアップして復活した


が、しかし、残念ながらここで時間切れ・・・。寝る時間がほとんどない状況下で、PCをいじっている余裕などなくなってしまったのです。SSD換装は涙を呑んで見送り、とりあえず今回はこのマシンをサブ機として荷揚げし、気圧や振動がHDにどう影響を与えるものなのか、高所実験をしてみたいと思います。

⇒次号/社内の自分の席を確保して、いよいよ出発!

プロフィール

萩原浩司(はぎわら・ひろし)

1960年栃木県生まれ。青山学院法学部・山岳部 卒。
大学卒業と同時に山と溪谷社に入社。『skier』副編集長などを経て、月刊誌『山と溪谷』、クライミング専門誌『ROCK&SNOW』編集長を務めた。
2013年、自身が隊長を務めた青山学院大学山岳部登山隊で、ネパール・ヒマラヤの未踏峰「アウトライアー(現地名:ジャナク・チュリ/標高7,090m)」東峰に初登頂。2010年より日本山岳会「山の日」制定プロジェクトの一員として「山の日」制定に尽力。
著書に『萩原編集長危機一髪! 今だから話せる遭難未遂と教訓』、『萩原編集長の山塾 写真で読む山の名著』、『萩原編集長の山塾 実践! 登山入門』など。共著に『日本のクラシックルート』『萩原編集長の山塾 秒速!山ごはん』などがある。

アウトライヤー 萩原編集長のヒマラヤ未踏峰挑戦記

NHKの「実践! にっぽん百名山」の解説などでおなじみ、萩原編集長こと萩原浩司氏は、2013年秋、ネパール・ヒマラヤ未踏峰、「アウトライアー(現地名=ジャナク・チュリ)」を目指した。 母校である青山学院大学の山岳部のOB会長も務める萩原氏は、自ら総隊長としてこの遠征隊に参加、その準備から登頂、そして帰国までを萩原氏の目を通しながら伝えていく。

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