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山旅をZINEにしよう![3]高尾山編

山の「記憶」を「記録」に
その他 2020年07月10日

こんにちは。フリーランス編集者の小野泰子です。仕事だけでなく、プライベートでもZINE(ジン/小冊子)を作っている、根っからの雑誌好きです。山や旅、そして日常で気になったことを拾い上げ、紙に落とし込んで一冊にまとめる作業を長年楽しんでいます。

ZINEとは、MAGAZINE(マガジン/雑誌)に由来する造語なのだとか。個人が自費で制作したり、大手の流通を通さずに広めたりする小冊子を指します。

この連載では、山旅がより思い出深いものになるZINE作りを提案したいと思います。毎回、私が出かけた山を題材に、自由自在なZINEの世界をご紹介。第3回目は東京都・高尾山編です。

自粛期間が明け、どこに登ろうかと考えたとき、まずは近場の低山で、これまでも親しんできた高尾山を選びました。みなさんはもうどちらかの山へ出かけましたか? 登山を再開して感じたことを、さっそく“山ZINE”で表現してみませんか。

Contents

●高尾山の山旅について

●使った材料

●作り方
 1_テーマとタイトルを決める
 2_見せ方を考える
 3_仕様を考える
 4_サムネイルを書く
 5_レイアウトする
 6_印刷・製本する

●最後に

高尾山の山旅について

上京してもう何度となく通っている高尾山。今回は梅雨の晴れ間を狙い、1人で登ってきました。いくつものコースのなかから、上り道と下り道を組み合わせます。途中、お気に入りスポットに寄ることもふまえ、もっとも山道らしい稲荷山コース&せせらぎ沿いの6号路を選びました。

朝イチの電車で起点となる高尾山口駅へ。ソロハイカーが多めな印象です。みなさん、久しぶりの山を待ち望んでいたんでしょうね。ほぼ3か月半ぶりの登山開始。足の裏が土の傾斜をとらえる感覚が懐かしい! 一歩前に踏み出すたびに脚が、そして全身が喜んでいるのがわかります。再び山を歩けてうれしいと。

のんびりと写真を撮りながら半日、山で過ごしました。結果、お気に入りスポットのよさを再確認したり、今まで見過ごしていたことに気づいたり。そして、「withコロナ時代」の登山というものを強く実感しました。マスクの着用やソーシャルディスタンスといった「beforeコロナ時代」には想像もしなかったルールに沿いながら、これからも山を楽しみたいと思った次第です。

 

登山口に、beforeコロナ時代にはなかった注意喚起のプラカードが。2mの目安はイノシシ親子!


使った材料

・B5の紙9枚(ページ数により増減を) 
・A4のトレーシングペーパー1枚(なくてもOK)
・好みのクリップ1個~

 

今回、B5の紙は百均の「らくがき帳」から必要分を切り離して使った

 

作り方

1 テーマとタイトルを決める

山に出かけ、心動かされた事柄をテーマにします。今回の高尾山では、出発前からすでに「登山再開」がテーマとして浮かんでいました。行き慣れた山に久しぶりに登り、何に対して、何を感じるのか、いわば「自分観察」を楽しんでみることに。

タイトルはテーマを反映させるとよいですね。そこで、高尾山に対し、「またまた、こんにちは! 久しぶりだけれど、今日はよろしくね!」といったニュアンスの「ハロー アゲイン(Hello,Again)」という挨拶表現にしました。

 

2 見せ方を考える

ZINEは自分だけのために作ってもいいし、誰かに見てもらうために作ってもいい。今回は、「伝えたいな、聞いてもらいたいな」という気持ちが強かったので、後者です。

見せ方は、テーマがもっとも伝わるようにしたいもの。自分観察をしながら、高尾山を登るなかでいくつもエピソードを拾い上げたのですが、多すぎたり、似かよっていると読み手に負担をかけるので、選り抜くことに。ちょうど「ハロー アゲイン」の文字数と同じ、7つのエピソードに絞り込みました。こじつけですが、こういうのもアリだと思います(笑)。

1つの見開き(向かい合った左右2ページ)で、1つのエピソードを展開するとわかりやすいですね。それぞれに文章と写真1、2点を入れることにしました。

 

見開きごとに1つのエピソードを入れる。これは「再会を果たした狛犬」の見開き

 

3 仕様を考える

綴じ方はいろいろあり、第1回目ではもっとも簡単な平綴じを紹介しました。今回は袋綴じにトライしてみましょう。1枚の紙を2つ折りにし、外表になった2面を2ページ分として利用します。必要な枚数の紙を2つ折りにして重ね、折っていない側をとめる綴じ方です。

袋綴じは片面印刷なので、両面印刷よりもページの配置がシンプルです。また、薄い紙でも裏写りの心配がありません。ただし、片面しか利用しないぶん、ロスがでる、紙がかさむといったデメリットが生じます。

今回は7つのエピソード(14ページ)のほか、表紙(1ページ)、導入(2ページ)、裏表紙(1ページ)を設けるので、計18ページが必要に。紙に換算すると9枚。薄く、安価な紙を使い、わずか9枚を2つ折りにするので、先ほどあげたデメリットは痛手になりません。

 

9枚の紙を2つ折りにして重ねた状態。折っていない側(この場合、左側)をとめる

 

4 サムネイルを書く

この段階で、ZINEの開き方を決めておきます。これは本文を縦書きにするか、横書きにするかが関係します。縦書きなら右から左へ書くので、右開きのZINEに。今回、横書きにするので書き始めは左からとなり、左開きです。

サムネイルは、全ページを縮小表示したもの。メモ用紙に書きだすことで、ZINE全体が見通せ、頭のなかのイメージが整理できます。ざっくりと文章と写真の配置を書き、次の作業「レイアウトする」の下準備をします。

 

左開きのサムネイル。表紙、導入、7つのエピソード、裏表紙の順ですべてのページを書きだす

 

5 レイアウトする

今回もパソコンを使い、文書作成ソフト(Word)のお世話になりました。用紙設定を「B5・横向き」にし、1枚目から9枚目まで印刷する紙ごとにレイアウトしていきます。

例えば2枚目では、左半分に導入の後半、右半分にエピソード1の前半をレイアウト。エピソード1の後半は3枚目の左半分にレイアウトします。このように紙をまたぐので間違えないよう、サムネイルで確認しながら作業します。

文章も写真も「挿入→図形→吹き出し」機能を活用し、配置しています。

 

2枚目のレイアウト。左右のページの境に目印の赤線を入れ、作業後に消す

 

6 印刷・製本する

B5の紙、9枚に印刷します。その後、外表になるよう2つ折りに。ページ順に重ねたら、クリップで左側をとめて完成です。製本は超簡単! クリップは極小のバインダークリップ、幅広の山型クリップなど、タイプにより、仕上がりの雰囲気が変わっておもしろいですね。目玉クリップは4個入りを百均で購入しました。

ひと工夫して、カバーをかけてはどうでしょう。半透明のトレーシングペーパーは表紙のタイトルが透けて見えるのでおすすめです。画材店には多彩な色がそろい、色により、これまた違った印象になります。

トレーシングペーパーはA4を用意します。本体の紙よりもややハリがあるとベター。2つ折りにして本体をくるむだけでOKです。ひと手間ですが、本体の厚みに合わせ、背(マチ)を作ると本格的に。また、トレーシングペーパーをカットしたり、2色使いにしたりと、楽しさは広がります。

 

クリップでとめた袋綴じ製本。トレーシングペーパーなしのバージョンはシンプルさがいい

 

トレーシングペーパーでカバー。「背」があるパターン(右)と、ないパターン(左)

 

最後に

いかがでしたか? 今回は平綴じに次いで簡単な袋綴じに挑戦してみました。仕上げのクリップやトレーシングペーパーを付け替えることで、本体が同じでもガラッと様変わりします。アレンジが効くのは手製本の醍醐味ですね! 面倒と思う工程があれば、省いても構いません。まずは手を動かし、気楽に一冊作ってもらえるとうれしいです。

 

 

知識・雑学 写真・映像
教えてくれた人

小野泰子(フリーランス編集者)

登山、トレッキング、散歩といった歩くこと全般をテーマに、山岳系の雑誌、書籍、ウェブに携わる。プライベートでも四季を通じて山に入り、縦走、アルパインクライミング、雪山登山にいそしんでいる。アイルランドでの3週間のトレッキングなど、旅の記憶を手製本に落とし込むこともライフワーク。山のみならず、街で出合った“山の片りん”をインスタグラム(@ono_b_yasuko)に投稿中。

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