「プロフェッショナル 」出演の看護師が教える精密検査の結果は「耳4つ」で聞いたほうがいいワケ

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2人に1人ががんになる今、病を抱えて自分らしく生きていくときに大切なこととは? 第47回フローレンス・ナイチンゲール記章受章、「プロフェッショナル」出演で話題、在宅ホスピスケアと訪問看護で多くのがん患者と家族に寄り添ってきた看護師・秋山正子氏による『がんと共に生きていくときに、知っておいてほしいこと』が刊行された。医療との上手なつきあい方、つらいときの心の持ち方、圧倒的な命の輝きまで、室井佑月氏(作家)、西智弘氏(緩和ケア医)推薦の本書から、内容の一部を紹介します。

診察結果は、「耳4つ」で聞きましょう

知人の看護師が、がんを告知されたときの話です。

医療知識も現場での経験ももちろん豊富にあり、大学で講座までもつ人でしたが、いざ自分が告知を受けてみるとパニックになり、帰り道の記憶が一切なかったといいます。

唯一覚えているのが、線路の上の陸橋を通りかかったときのことだそうです。

行き交う電車を見下ろしながら「実際に、ここから飛び込む人がいるだろうな」と思ったのだとか。

しかしすぐ、そう考えた自分にゾッとして、帰路を急いだとのこと。

自分には、家に帰って不安や恐怖を受け止めてくれる家族がいたからよかったけれど、もし誰もいなかったらかなりつらかっただろうと、知人は話していました。

現在、本人へのがん告知率は、ほぼ100%。他の病気についても同じです。

自己判断がむずかしくなっている高齢者や、本人が告知を拒否しているなどの例外を除いて、まず当事者に告知するのが、医療界のスタンダードになっています。

本人は「蚊帳の外」で家族が先にがん告知を受け、治療の決定権までゆだねられていた時代とは大きな違いです。

しかし医師側からすれば、この変化は当然だともいえるのです。

個人の病気の情報は本人のものですから、まっさきに当事者が知るべきですし、複数ある治療法の中から最善と思われるものを選択するのも、患者自身だからです。

言われてみれば、当たり前のことですね。

ただし、情報を受け取る側が、この状況を単純に喜べるかというと、そうとも言い切れません。聞くほうとしては、必ずしも心の準備ができているとはいえないからです。

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