レインウェア、これを買えば間違いない! -いまどきレインウェアの選び方 1-

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登山をする上での必須装備、レインウェア。以前は「レインウェアといえば、ゴアテックス」と言われるほどゴアテックスが定番だったが、最近では通気性の高い防水素材「ポーラテック ネオシェル」など特徴を持った素材や、アウトドアメーカーのオリジナル防水素材を使ったレインウェアなど、独自の機能を盛り込んだ製品が増えてきた。デザインや機能が多様化する中で、レインウェアをどのように選ぶのが良いか。さかいやスポーツのウェア売場・販売責任者の高橋さんに、レインウェアの基本的な選び方について聞いてみた。

 

POINT
  • メーカー独自素材が増え、多様化したデザイン
  • 選ぶ基準は「雨具に何を求めるか」
  • 初心者が選んで間違いないものは...

 

何よりも「雨具に対して何を求めるか」です

熱心に説明してくれる、さかいやスポーツ・高橋さん

編集部N: 今は装備に「軽さ」が求められることが多くなり、レインウェアも軽量モデルがどんどん出ていますね。他にも多機能なもの、独特なデザインのものが目立ちます。

高橋さん: 以前はゴアテックス素材のレインウェアが定番でした。しかし、最近では通気透湿性を重要視した「ポーラテック ネオシェル」やメーカーのオリジナル素材のレインウェアでも高機能な製品が増えてきましたね。様々なブランドが既成概念にとらわれずそれぞれの考え方でレインウェアをつくるようになったので、デザインも機能も多様化してきているのだと思います。

編集部N: たしかに、ゴアテックス以外の防水透湿素材をよく見るようになりました。

さかいやスポーツ、レインウェア売り場の様子

メーカー独自の素材も増え、デザインにも幅ができた

高橋さん: とはいっても、ゴアテックスは防水性能や安心感が非常に高いので、根強い人気があります。ゴアテックスからも、最近は柔らかくて着心地も良い「GORE C-KNIT(ゴア シーニット) バッカーテクノロジー」という素材も出ているので、まずはゴアテックスの中から自分の山行スタイルと着心地に合ったものを選ぶ方もいますね。

編集部N: なるほど。多様化している分、選び方が難しいですね。何を基準にすればいいでしょうか。

高橋さん: 何よりも「雨具に対して何を求めるか」です。価格が高くても防水、耐久性があるものがいい、という安心感を求めるのであれば、ゴアテックスを選べば間違いないでしょう。そうではなく、多少耐水圧が低くても快適な通気がほしければ「ネオシェル」もっと独自の機能が欲しいという方は、メーカーオリジナル素材のレインウェアを選ぶといいと思います。

編集部N: 防水性に安心感を求めるならゴアテックスと。

高橋さん: また、日本は雨が激しくて高温多湿なので、耐久性があり劣化も少なく、防水力がとても高く、透湿性があるウェアを選びたい。そうなると、ゴアテックスの上下セットのレインウェアがベストな選択になります。

上下セットのレインウェア 上下セットのレインウェア売り場の様子

上下セットのレインウェアが並ぶ、さかいやスポーツ ウェア3階

 

「まずは簡単なもので...」みたいに選ばないように

編集部N: 初めての登山なら、上下セットは安心ですね。

高橋さん: ただ、ゴアテックス素材のレインウェアは値段が高くなりがちです。価格を抑えたい方は、ミズノの「ベルグテック EX」や、モンベルの「サンダーパス」あたりも防水力が十分ありますから、予算に合わせて選んでください。安全性を重視して選ぶなら、耐久性の高さと劣化が少ないこと。そして、防水力が高いことが重要です。

編集部N: 透湿性についてはどうでしょう?

高橋さん: 今まで紹介してきたウェアの中でも3レイヤー(表地と裏地の間にゴアテックス・メンブレンをはさんだ3層構造)を選べばベタつきも抑えられ、比較的快適に使えます。ゴアテックスの「GORE C-KNIT」は柔らかいし、着心地もいいから、数値以上の透湿感が感じられるんじゃないかと思います。

編集部N: 選択肢がたくさんありますが、高橋さんから見て、登山者のレインウェアの選び方に変化はありますか?

高橋さん: 一昔前は、デザインが良かろうが悪かろうが、レインウェアと登山靴は必ず揃える! という方が多かったと思いますが、最近のお客さまは少し考え方が違う印象です。登山靴とザックは自分を着飾るメインアイテムなので、そこにはお金をかける。その一方で、レインウェアは、オシャレに見えるものの中で、雨に強そうなものを持っていけばいい、と思っている方も多いようです。それだけレインウェアの重要性が低くなっているのかなと。

編集部N: 性能よりも見た目を重視する傾向があるんでしょうか。

高橋さん: 『山と溪谷』 2017年6月号でホーボーさんが「GTR ホーボージュンプレゼンツ 第15回 レインウェア(スタンダード編)」をやっていましたよね。ああいうレインウェア特集を、かつては色々なメディアでやっていた気がするんですが、今は減ってきている気がします。露出が少なくなって、耐久性や防水性の高いゴアテックスのレインウェアがカッコ悪いものって思われないか心配しています。

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編集部N: 登山者の中でレインウェアの優先順位が下がってしまうのは、もったいないですね。

高橋さん: 初めての登山でレインウェアを一式揃えないといけない方も、とりあえず低山で晴れにしか行かないから、まずは簡単なもので...、みたいに選ばないようにしてほしいです。レインウェアはとても大事です。遭難した時に、レインウェアによって救われた人も多いですから。

いまどきレインウェアの選び方 その2「重さ100g!? トレイルランニングや低山ハイキングにおすすめなレインウェア」に続く...!

 

プロフィール

高橋 典孝(さかいやスポーツ ウェア館)

山の世界で働いて20年のベテラン。ウェアに関する知識はオタク級だが山道具も大好き!!
ゆったりオートキャンプからガッツリ登山まで何でもこなすが特に最近は、トレイルランニング、テンカラ釣りに没頭中。

さかいやスポーツ

創業以来、約60年にわたり神田神保町で全国の登山家やアウトドアマンに愛されている登山用品店。ウェア、シューズ、ギアなど品目別の専門館を6店舗展開。ウェアや道具に詳しいスタッフが丁寧に解説してくれるので、ビギナーでも安心。

住所/東京都千代田区神田神保町2-48
TEL/03-3262-0432
営業時間/11:00~20:00
アクセス/神保町駅A4出口より徒歩6分、JR中央・総武線水道橋駅東口より徒歩8分

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