山を安全に歩くために必要な「バランス力」と「脚筋力」を確認して鍛えよう!

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安全に登山を行うには、十分な体力・筋力が必要となるのは言うまでもない。ところで、登山に必要な筋力についてご存じ? 登山道を歩くために特に重要とされる「バランス力」と「脚筋力」について確認して、安全登山につなげよう。

 

登山では、街の中にはあまりない登り下りの道や不整地の斜面を、長時間にわたり荷物を背負って歩きます。特に上や下へ大きく移動する動きは、日常生活ではあまり行いません。そのため、山を歩くには普段使う以上の力が要求されます。

登山中に特に重要な力となるのは「バランス力(平衡性)」と「脚筋力」ですが、ともに加齢により衰えやすい力です。この2つの力を維持するためには、どのようなことに気を付ければよいでしょうか。

 

バランス力(平衡性)

バランス力は日常生活でも大切ですが、登山ではその重要度は格段に上がります。どの程度のバランス力を持っているかを知る方法の1つに閉眼片足立ちがあります。今の自分を知るために試してみましょう。

  • ① 両手を腰に当て、両目を閉じ、片足を床から浮かせてスタート。
  • ② 上げた足は軸足に触れないようにします。
  • ③ 上げた足が床に触れるか、支持足の位置がずれた時点で終了です。
  • ④ 左右それぞれの足で2回ずつ計り、良い方を値とします。

※ 周りに障害物がないか確認するとともに、転倒には十分注意してください。

下の表で自己評価をしてみましょう。

評価値 1 2 3 4 5
  ~7秒以下 7.1~17秒 17.1~55秒 55.1~90秒 90.1秒~

(中央労働災害防止協会 身体機能計測評価表 より)

バランス力は加齢と共に下方に変化します。平均で20歳では男性39.5秒/女性38秒、40歳では男性24秒/女性25.1秒、そして60歳では男性9秒/女性9.5秒まで下ります。

この力を下げないためには、日常生活の中で片足立ちを行うことを習慣づけると有効です。隙間時間にできるだけやってみましょう(閉眼片足立ちの年齢別平均は同協会のホームページに掲載されています)。

 

脚筋力は歩きの基本

続いて脚筋力です。脚筋力の中でも、加齢により特に衰えやすいのが大腿四頭筋(太もも前部の筋肉)です。この筋肉は下りで体にかかる衝撃(体重の2~3倍)を支える重要な筋肉で、膝周りを安定させる役割も持っています。この筋肉の力が弱いと、下りで膝痛などの故障につながることがあります。

大腿四頭筋を鍛えるには、スクワットやイスからの立ち上がり運動、階段の上り下りが有効です。筋肉は高齢となってもトレーニングによって発達します。階段の一段一段が力になると信じて、地道に筋力を高めてください。

バランス力と脚筋力をしっかり付けて、安全に末永く登山を楽しみましょう。

 

プロフィール

長野県山岳総合センター

長野県大町市にある長野県立の施設。「安全で楽しい登山」の普及啓発を主目的に、「安全登山講座」と動植物・地形地質をはじめ山の自然を総合的に学べる「野外活動講座」を、年間約60講習開催。講習参加者のうち、長野県外の方が約6割を占める。

⇒長野県山岳総合センター
⇒Youtube

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