冬山で遊ぶなら揃えたい! スノーシューを選ぶポイントをチェック

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雪山遊びのエントリーとしてだけではなく、バックカントリースノーボードや、本格的な雪山登山のアプローチ用としても利用されるスノーシュー。さまざまなモデルが存在するが、その中で最適なものを選ぶには?
ICI石井山専新宿ビックロ店の植田寿洋さんに、スノーシューの各モデルの違いについて解説してもらった。

 

POINT
  • 選ぶならヒールリフター付きがオススメ。価格差以上のパフォーマンスの違いがある
  • 上位モデルにいけば、それだけ性能が高まる
  • 軽量さを選ぶか、頑丈さを選ぶかも選択肢のひとつ

 

編集部T:スノーシューには様々なモデルがありますが、何を基準に選べば良いでしょうか?

植田さん:今回は、多くのラインナップを持つ、MSRのスノーシューを例に見てみたいと思います。いくつかモデルがありますが、値段としては、だいたい2万円から4万円くらいになります。この値段の差は、基本的には性能の差と考えてください。性能には「使いやすさ」「歩きやすさ」「軽量性」などがありますが、それぞれを確認しながら選ぶのがポイントとなります。

編集部T:まずはリーズナブルなものから教えてください。

植田さん:もっとも手の届きやすいものとなると「EVO」となり、価格は20,000円、次が「EVO ASCENT」で27,000円となりますが、この2モデルには値段以上に大きな違いがあります。それは「ヒールリフター」の有無です。これがあると無いでは、大きな性能差となります。

最も手頃な価格となるEVO (本体価格/20,000円 税別)

 

スタンダードなスノーシュー、EVOアッセント (本体価格/27,000円 税別)

 

植田さん:スノーシューを履いて歩く際には、カカトが浮いて雪面を引きずっる形で歩きます。その際にカカトが上がって足をおろした時、ヒールリフターがあると、カカトがスノーシューにペタっと着かない、つま先立ちのような形で立つことが出来ます。
この機能があれば、傾斜がある登り坂を歩いた時にずっと楽に歩けます。登り坂を歩くときは、基本は斜面に対して垂直ではなく、つま先立ち状態で歩くものです。ヒールリフターがあるモデルは、カカトを下まで降ろさなくても歩けるので、脚への負担、とくにふくらはぎへの負担が軽減されます。
「上り坂だけ我慢すれば良いじゃないか」と思うこともあるかもしれませんが、山では平地に見えても起伏があるものです。値段としては7000円の違いですので、基本的にはヒールリフター付きのモデルを選ぶべきでしょう。

ヒールリフターの有無が大きな違い。基本的にはヒールリフター付きがオススメ!

 

編集部T:さらに上位機種となると、何が変わってきますか?

植田さん:次の上位機種となると、この「REVOアッセント」になりますが、これはスノーシュー自体の形状に違いが出てきます。裏側を確認すると一目りょう然ですが、歯が外側にめいいっぱいついているので、雪を踏んだ時に、よりグリップがききやすくなります。これだけしっかりとした爪であれば、雪が多少硬くても食い込むし、トラバース(斜面の横断)するときに、横ずれしにくくなります。
スノーシューでトラバースする際には、特にずれやすく、ちゃんと意識して蹴り込んでいかないと歩けません。それを楽にしてくれる、という違があります。
さらに上位機種の「ライトニングアッセント」になると、横方向にさらにもう1つ歯が加わるので、トラバースのときなどでは、より安定して歩けます。

スタンダードモデルのEVOアッセントより、強力なグリップ力を発揮するREVOアッセント (本体価格/34,000円 税別)

 

REVOアッセント(写真下)のほうが、歯がスノーシュー外側いっぱいに付いていて、より高グリップ力を発揮する

 

編集部T:このタイプ(REVOアッセント)とこのタイプ(ライトニングアッセント)では、本体の素材がずいぶん違いますね。

植田さん:この2つの違いといえば重量になります。ライトニングアッセントは、軽い素材のデッキを張るタイプで、軽量化優先という人にはこちらの選択になるでしょう。

軽量化を目指すなら「ライトニング アッセント」の選択となる (本体価格/42,000円 税別)

 

編集部T:もうひとつ、「エクスプローラー」というモデルもありますね。

植田さん:これは、装着するバインディング部分の違いです。靴とスノーシューをストラップで固定するか、ラチェット式のバンドで固定するかの違いです。例えばバックカントリーをするスノーボーダーには、装着が簡単なラチェット式が多く選ばれています。
どちらでも、かまいませんがストラップ式の利点は、全部で3本のストラップで固定しているので、もし1本が千切れても、固定できることです。ラチェット式は千切れたり壊れたりすると、固定は困難となります。
ただ、ストラップやラチェットが千切れることは滅多にないとは思います。もちろん経年劣化はありますのでそのリスクはあります。一般的には5~6年すれば劣化しますので、長く使っているものは念のため予備のストラップを用意しておくと良いでしょう。

靴との固定部分がラチェット式で着脱がスムーズな「REVO エクスプローラー」 (本体価格/30,000円 税別)

ラチェット式(右)は着脱がラクチン、ストラップ式(左)はもしもの時の対応幅が広がる

 

植田さん:まとめると、雪原をハイキングする程度であれば「EVO アッセント」で十分でしょう。一般的な登山のアプローチ用として色々な傾斜を体験したいなら、軽量化・頑丈化の選択で、「REVO アッセント」「ライトニング アッセント」の選択が変わってくる、という感じはないでしょうか。

 

プロフィール

植田 寿洋(石井山専新宿東口ビックロ店 勤務)

石井山専新宿東口ビックロ店で登攀具を担当。三度の飯より岩が好き。四季を通じて、沢登り、ロッククライミング、アイスクライミングを楽しんでいます。

石井山専新宿東口ビックロ店

首都圏最大級の山・アウトドアの大型専門店。「安全」をテーマに、ユーザーのライフスタイルに合わせたさまざまな商品を提案している。店内では、登山学校の講習やワークショップなども開催中。

住所: 東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
TEL: 03-5312-9550
営業時間: 11:00~20:00
アクセス: 新宿三丁目駅A5直結、新宿駅・西武新宿線西武新宿駅下車徒歩5分

 ⇒ホームページ

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